竜の花嫁〜最弱回復術師から世界最強の花嫁への道〜

かーにゅ

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本編

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サト視点

魔法を使い強制的に眠らせたリオをベッドに寝かせる。

「フィオナ」
「はい」
「…中庭で休憩していた時お茶菓子も置かれていたよな?」
「はい」
「その中でリオが食べたものは?」
「…いや…その…ひとつも手をつけておられませんわ。話している間もわたくしの一挙一動に気を配っているようで…」
「…あぁ本当にあやつが憎い」

リオに満足な食事を取らせず、血を抜き取り、そのうえで危険だとわかっている魔の森に捨ておいた勇者を…許せぬ。

「竜王様」
「なんだ?」
「勇者は竜の血を引いておられるのですか?」
「あぁ…落ちた奴が人族に囚われ多数の女と交じわされた時に出来た子の子孫があの勇者だ」
「…というと紫ですか」

数百年前に子竜が浮島から落ちてしまった際、人族に囚われてしまった悲しき事件だ。…私達も救助に行ったのだが…もう弱りきって浮島に戻ることも叶わなかったのだ。

「では…番様も通られたあの道を通れると言うことですね」
「…ひとつを除いて全て閉じておこう」
「ひとつだけですか?」
「勇者の進路にひとつ残しておけばよかろう。…私が手を下す」
「その時はわたくしも呼んでくださいね」

あぁ…フィオナも紫の出身だったな。紫は毒竜の一族。おおよそ毒薬と解毒薬を使いながら死ぬよりも酷い目に合わせるのだろう。

「必ず約束しよう」
「はい。…それで竜王様」
「まだ何かあるのか?」
「…番様を寝巻きに着替えさせても?そのままでは寝苦しそうですわ」

…そうだったな。

着替えはフィオナに任せ、ゲートを閉じていく。ひとつを除いて。

…少しくらい罠を仕掛けてもよかろう。

ついでに魔力で作った偽の竜も設置しておく。

これだけでもあの勇者には本物にしか見えぬだろう。…数代前も引っかかったようだしな。

あまりに弱ければ偽の竜に殺され、逆に竜の国にたどり着いても竜の国は全てが浮島。外側から紫、黒、赤、黄色、青、緑。白はその全ての上にあり私達のいる王宮もその白の領域にある。だが竜人にとっては浮島と浮島の間の距離など造作もない程だ。…稀に子竜が落ちてしまうぐらいだが今では結界があり隙間から落ちたものは下の人界までは落ちぬようになっている。

「…リオにも結界を付けなくてはな」
「魔道具でしたらお早めに頼んでくださいね。…番様の容姿ではすぐ狙われてしまいますから」

…私のリオを狙う?許さぬ。たとえ同族と言えど…生まれてきたことを後悔するまでいたぶってやろう。
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