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ずっとお慕いしております。

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私の名前はカトレア・ド・ネクタルテ。ネクタルテ公爵家令嬢十八才です。
私が生きるこの世界は乙女ゲーム『愛しい君に花束を』と酷似した世界です。この中世に似た剣と魔法の世界に繰り広げられる恋愛ゲームの世界。何故、酷似した世界なのかと言えばゲームとは違う所が多々あったからです。
私は元々はこの世界とは違う、日本で大学に通う学生でした。数少ない友人と同じ大学に通い、友人の進めるままに乙女ゲームを遊び楽しい日々を過ごしてました。あの日、車に突っ込まれるまでは……スマホでチェックするニュースに連日のように流れてくるお年寄りによる交通事故。遠いどこかの話だと思っていたのに、一人歩いていた所におじいちゃんが運転する車が突っ込んで来るなんて思ってもなかった。痛かったと思う。でも、それよりもおじいちゃんの顔に意識が持ってかれて良く覚えてなかった。
気がついたら世界はボンヤリしていて、しばらくたってから見えた世界は何もかもが大きくて……自分が赤ちゃんだと知って、友人が時折言っていた転生ってやつだと思った。
幾つの頃だったかしら?多分、四つか五つ位までは毎日が楽しくて幸せだった。家はお金持ちで、所謂貴族で大勢の使用人達に優しい両親に兄や姉達。
可愛らしいドレスに柔らかい靴。鏡に映る私はキラキラと輝く金髪と深い紫色の瞳の美幼女でした。
でも、でも……ある日、我が家に訪れた同い年のビックリするような美少年と会って私の何もかもが変わってしまった。
美少年の名前はレオンハルト……この国の王子様。そして私は思い出したのです。カトレアは悪役令嬢だった事を。両親に疎まれ、兄や姉達から冷たく扱われ十八才の学園最後の日に婚約破棄される事。婚約者だった王子様に手酷く宣言され、そのまま両親から勘当され平民となって行方知れずになる悪役令嬢……それが私カトレアの人生。
その未来に怯える日々が始まり、レオンハルト様との婚約が決まった。
ネクタルテ公爵家は代々宰相を担う高名な貴族家だったのです。姉達は他に婚約者がおり、年も一緒の私が婚約するには一番良いだろうと言う事だったのでしょう。両親も兄や姉達は皆、大喜びで婚約の報せが来た日の晩餐は大層豪華でした。
翌日から私は王宮で行われる王子妃教育を受けるようになりました。来る日も来る日も、ただの一日も休まず王宮に通う日々。毎日クタクタになり、家に帰る頃には一言も言葉を発したくなくなる程疲れても通い続けました。両親も兄も姉達も私の事を心配して下さいましたが、私はいずれ断罪され家から勘当される身の上です。必要以上に馴れ馴れしくすれば、私自身が辛くなります。それに疲れていれば、それを理由に早々に部屋に戻り寝台に潜り込む事が出来ます。疲れていれば夢を見る事も無く、深い眠りに落ちていけますしね。
そんな日々を十五才になるまで続けていました。王宮では婚約者であるレオンハルト殿下とは、なるべくお顔を合わせないように避けておりました。運悪くお顔を合わせても、会話はできるだけ少なくしておりました。だって、学園に入ればレオンハルト殿下はヒロインと結ばれ学園最後の卒業式に断罪されるのですもの。好きになってしまったら、殿下が愛する方と結ばれる時にお祝いを申し上げられないもの。
明日からは毎日学園に通い、その後王宮に行き王子妃教育を受ける日々へとなる。ヒロインの彼女も学園に通い出し、レオンハルト殿下とイベントを進めるのね……チクリとも痛まない私の胸に私は安心しました。私はレオンハルト殿下に恋をしていない。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

私の名前はレオンハルト。この国の第一王子だ。
かねてより宰相自慢の末娘に会いたくて、かなり無理をしてネクタルテ公爵家へと出向き彼女に会った。
宰相と同じ波打つ金髪はフワフワとしていて、まるでお伽話に出てくる妖精のお姫様みたいに可愛かった。うんと深いアメジストの瞳は菫の花よりもずっと美しくて胸がドキドキした。宰相が自慢するのが良く分かる、可憐で美しい姫。真っ白な肌もバラ色の唇も少しだけ染まった頬も何もかもが可愛くて、毎日側にいて欲しいと父上にお願いした。
彼女とすぐさま婚約し、彼女は王子妃教育として王宮に毎日来る事になった。嬉しくて嬉しくて、用も無いのに彼女が教育を受けている場所の近くに行っては何とか会えはしないかと努力してみたが中々会う事は叶わなかった。それどころか、会っても中々話は出来ないし作り笑いばかりで私は嫌われているのだろうか?と不安に思う事ばかりだった。
明日からは学園に通う事になる。学園でならばもっと会えるだろうか?話は出来るだろうか?幼いあの日に見た、彼女の笑顔をまた見れるだろうか?期待に中々寝付けれず、いつもより遅くまで起きてしまった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

馬車に乗り込み、学園に向かう。今日から始まる学園生活、なるべくレオンハルト殿下に会わないように。他の攻略者も会わないように……気を付けなくっちゃ……良く思い出して、どのルートでも攻略者と会わない場所はあったはずだもの。
私は悪役令嬢。ヒロインの引き立て役。いずれ断罪され、華やかな舞台から降ろされる役目の娘。出来るだけ目立たず、ヒロインと会わないようにしなければ……断罪されるとしても、なるべく目立つような事はしたくない。

学園についてしまった。馬車から降り、学園の学舎を目指して歩き出す。毎日王宮に行っていた私に仲の良い令嬢はただの一人もいない。普通であれば子供の頃からお茶会等に出て、各貴族家の令嬢と縁を結び情報収集や力関係を学び付き合いの何たるかを学び築き上げるのですが私は王宮で過ごし付き合いは王妃様が開かれるお茶会で令嬢ではなく御夫人方と過ごしてばかりでした。だから同い年の令嬢に仲の良い方は居らず、一人誰に声を掛けられる事も無く学舎へと向かう。

「きゃあっ!」

後ろで可愛らしい少し高い声の悲鳴が聞こえました。何度となくやった……乙女ゲームの一番最初の出会いイベント。

「君、大丈夫かい?」

ああ……何度となく聞いた声。レオンハルト殿下の優しい声。ゆっくりと振り返り二人の姿を確認する。何度となく見たスチル……でも、今までは門から見ていた風景。今度は逆からね……フワフワのピンクブロンド、スカイブルーの瞳の彼女は間違いなくヒロインだった。レオンハルト殿下の胸の中、頬を染めて見上げている。優しげなレオンハルト殿下の笑顔……ああ……好きの始まりなんですね。小さなため息を吐き出し、学舎へと向かおうとした瞬間レオンハルト殿下と目が合った。私を見て少し驚いた顔をした。私に見られたのがお嫌だったか……何だか申し訳ない気持ちで早足で学舎へと向かう。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

すれ違った馬車にネクタルテ公爵家の家紋を見つけ、気持ちが焦った。彼女は既に学園へと入っている。早く彼女に会いたい。会って挨拶をして、他愛もない話をして出来るだけ一緒の時間を作りたい。ずっと……ずっと我慢してたんだ、日々の鍛錬に座学。日々努力している彼女に相応しい男になるべく努力してきた。学園について、慌てて馬車から降りて学舎を見ればずっと先に彼女が居る。早足で学舎に向かう。目線の先、ただ見詰めるのは彼女の後ろ姿だけ……それが悪かったのか目の前にいきなりふらつき倒れそうになった女生徒がいた。少し高い耳障りな悲鳴を上げて私の方へと倒れ込んで来た。
咄嗟に抱き止め、声を掛ける。フワフワとした髪がかつての彼女を思い出させて笑顔を浮かべてしまう。確か腕で抱き止めた筈なのに、私の胸に縋り付いて見上げて来る。少し不快で何とか胸から離そうと肩を掴む。視線を感じて見やった先に彼女が私を見ていた。悲しそうな顔を私に見せてから前を向いて歩いて行ってしまった。誤解させてしまっただろうか?今日は運が悪い。この目の前の彼女と言い、行ってしまった彼女と言い。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

学園の一年目が過ぎた。彼女は着実にこなしてレオンハルト殿下と進展しているようです。やはりスチルが見たくて、何度か現場を覗きに行った。その度に繰り広げられるイベントの数々。違う角度や場所から見るスチルは新鮮で、なる程と思った。私は相変わらずレオンハルト殿下を避け続け、他の攻略対照からも逃げ続けた。最も逃げ場は王宮で、私個人に当てられた執務室だけれど。
最近の私の毎日は以前より忙しくなった。朝は日が昇る前に起きて、寝台の隣に置いたチェストから薬〈ポーション〉を一本飲み干す。寝たからと言って疲れが取れる訳では無い。薬を飲んだ後、ネグリジェにガウンを羽織って寝室から出て、居間に設置した執務机に向かう。今日の学園の勉強範囲の予習を行う。ほんの僅かでも隙を見せる事も、皆より遅れる事も答えられないような失態も私には許されない。ただひたすらに皆の手本として弛まぬ努力を続けるしかない。例え学園最後の日までだとしても。

予習を完璧に終える頃に侍女がやって来て、私の朝の支度をやってくれる。温かい紅茶を用意し、私が紅茶を飲んでいる間に湯あみの準備を行い出来たら湯あみをする。磨きあげられ、コルセットを着付けて貰い制服に指定されているドレスを着付けて貰う。去年はきつかったコルセットもいつの間にかちっともきつくなくなって、最近ではあんまり締められてる感じがしない。

「カトレア様、また少し腰が細くなりましたね。そろそろこちらの制服も手直しして頂きましょう。」

細くなった?そうかしら?気が付かなかったわ。何だか心配そうな侍女の顔が気になるけど気にする程の事も無いわよね。

「そうね、そのように手筈を整えておいて頂戴。」

侍女に頼んでおく。学園に行く支度が出来たら、このまま学園へと向かう為に馬車へと乗り込む。

「カトレア様、本日の朝食は如何致しますか?」

毎朝聞かれるけど、朝に紅茶を頂いたのだし食欲も無いのに食べれないわ。

「今日も朝食は要らないわ。それよりも早く学園に行きたいわ。」

侍女は頭を下げて私の鞄を持って先導する。私は優雅に足音もたてないように滑るように侍女について歩く。今日も早めに学園についたら図書室に行こう。本は重くて大きいけれど、色んな事柄を知るのは楽しくてつい読み耽ってしまう。私はまだレオンハルト殿下の婚約者。多くの生徒よりも早く学園につくと、鞄を教室に置いて図書室へと向かう。朝早くから居てくれる司書様に挨拶をして、少しだけ話す。司書の彼は本が好きなのか、興味のある事柄の本があるかどうか尋ねれば適切な本のタイトルと置いてある棚を教えてくれる。今日は新しい本があるかどうか尋ねれば、入ったばかりの本があるのだと言って司書室の奥から持って来てくれた。私は嬉しくて笑顔で受け取り近い机で本を広げた。初めて見る本に胸はときめき、世界に引き込まれる。そのときめきは予鈴が鳴る、その時まで続く。
朝の楽しい一時の次は学生として、教室で過ごす。二年目だと言うのに学友の一人も作れずに過ごす私はどんな風に見られているのか?これが前世であれば陰キャだとかボッチだとか言われ蔑まれるのだろう。周りから注がれる視線には慣れた。どこをどうやっても見られるのだから。
午前中の座学が過ぎれば昼食で、私は誰とも一緒に昼食を取る事なく黙々と食事を済ます。学園での食事は量が多すぎて、特別に減らして出して貰っている。何とか頑張って昼食を取るのだけど、それでも残ってしまう。一人の昼食を済ませ、席を立って教室へと帰る。午後の座学を済ませた後、王宮からの馬車に乗り込み王宮で王子妃教育を受ける。教育が済めば執務のお手伝いをして幾つかの案件を片付ける。これでやっと王宮から帰る事が出来る。
家に着けば既にお母様とお兄様とお姉様達は食事を済ませている。宰相として多くの仕事に携わっているお父様はもっと遅くなってから帰ってくる。
一人で食事を済ませ自室に戻れば、侍女が待ち構えている。

「お帰りなさいませカトレア様。湯あみの準備は出来ております。」

「ありがとう。」

浴室へと向かえば後ろから侍女がついて来る。どれくらい脱がして貰い、コルセットから何から全て脱がして貰い浴室へと進む。ゆっくりとバスタブに浸かりながら侍女な身を任せる。子供の頃から他人にありとあらゆる身の回りの世話をされていれば羞恥心も薄れて慣れてゆく。自分で何一つせずに過ごして来た。記憶はあるけれど、この先自分で自分の事が出来るか?と問われれば出来ないだろうと答える。筋肉の付き方が違うのだ、ダンスを踊る為の筋肉はあっても掃除や洗濯をするための筋肉はついてない。無理をすればあっという間に体を悪くしてしまうだろう。
侍女の手を借りて立ち上がり体を拭いて貰いネグリジェを着せて貰う。侍女の手前、寝台に潜り込むけれど眠たくはならない。

「お休みなさいませ、カトレア様。」

「ええ。」

侍女の言葉を聞いて寝台の中から息を潜めて侍女が出ていくのを待つ。僅かな扉が開け閉めする音を聞いてソロリと寝台から這い出る。気配が無い事を確認してガウンを羽織って執務机へと向かう。今日の復習をしておかないと……分からないままでいるのは好きでは無いの。デスクライトのような魔道具の灯りを付けて、復習を始める。今日の座学の復習を済ませてやっと一日のやらなければならない事が終わる。静かにしてると外に馬車が入ってくる音が聞こえる。やっとお父様が帰って来たのね。
静かに立ち上がり寝室へと戻る。ガウンを脱いでペラリと寝台の上に広げるように置いておく。そして、そっと寝台の中に潜り込む。
こうして私の一日が終わる。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

私の学園生活一年目は彼女と一緒の時間を過ごす所か会う事すら難しかった。気がつけばあの学園最初の日、抱き止めた彼女と一緒にいる事が多かった。彼女はとても優しく、婚約者と会えない私を慰めてくれた。私の気持ちを汲んで、『自分ならば何においてもお側に居るのに。』と言ってくれた。それは決して口に出来ない私の希望だった。口にすれば将来を考えない愚か極まりない発言と貴族達に笑われるだろう。私を慰め愚かな言葉を囁く彼女は所詮男爵令嬢でより高位にある貴族の責任等思いもよらないのだろう。
私の婚約者は王子妃となり、いずれ王妃となる。我が国全ての女性の手本として立たねばならない。その為に血の滲むような努力を日々積んでいるのだ。学園を卒業すれば長かった婚約期間を終え、婚姻式を行い毎日一緒に過ごせる。それだけが私の思いを留まらせ理性的にさせていた。

日々変わらぬ毎日を過ごしているつもりだった。私を慰める彼女の側にいつからか近衛騎士団団長の令息と魔術師団長の令息が現れるようになり、一見すれば私の取り巻きのように見えるが実際には彼女の取り巻きの彼等。私からすれば面倒な事だが、この程度の事は自分でどうにかしなければならない。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

学園の二年目ともなればヒロインの彼女は三人いる攻略対象者の好感度を上げつつイベントをこなしていかなければいけない。私もゲームをしていたから分かる事だった。ひたすら好感度を上げながら進めていかないと、あっという間に好感度が下がってしまう……一つでも選択を間違える事なく進める事が大事なのだ。私は相変わらずスチル見たさに隠れてヒロインの彼女と攻略対象者を見に行った。
レオンハルト殿下とヒロインのスチルそのままの風景に感動し、ヒロインの可愛らしさに内心羨ましいと感じる日々。私と違って明るい日の光のような彼女にはなれない。華々しい彼女の可愛らしさは私がどこをどう努力しても手に入れられないもの……バラ色の頬も、ピンク色の唇も……レオンハルト殿下と笑い合う姿……私には笑顔を見せる事の無い殿下。いつだって私の前では緊張して言葉を選んでいらっしゃる。いつかレオンハルト殿下はヒロインの彼女と結ばれると分かっているからこそ、適度な距離を取り詰まらない嫉妬や焼きもちを焼かないように慕う気持ちを抑えている。ああ……もう、レオンハルト殿下のお心はヒロインの彼女に傾いていらっしゃるのね……
私は毎朝ポーションを飲んで毎日を乗り切る。たまのご褒美にこっそり見る乙女ゲームスチルそのままの景色だけが生きがいになりつつあった。でも……でも本来なら私が悪役令嬢としてヒロインの彼女の恋を邪魔しなければならない。だけど私にはそんな暇が無い。如何したら良いのか分からない気持ちで過ごす内に、身に覚えのない噂を聞いた。それは私がヒロインの彼女を悪し様に言ってるらしい……という噂だった。
私は彼女と話した事はただの一度もない。彼女の事を誰かに言う事も無い。その誰かが居ないのだから。学園の些細な出来事を王宮で……王妃様と仲の良いご夫人方に言う事等あり得ない。
腑に落ちないけれど、構って時間を無駄には出来ない。私は時間に追われるままに、忙しさにかまけて噂をそのままに日々を過ごした。そして私は学園二年目を終えた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

私は二年目の学園生活をほぼ無駄に過ごしてしまった。恋しい婚約者の彼女と会っても緊張して思うように言葉が出ず、慣れ親しんだ彼女に慰められる日々。どうして上手くいかないんだろう。儚げな微笑みも抱き締めれば折れてしまいそうな華奢な体も……ほんの少しだけしか食べない彼女の食事……初めて会った時の輝くような笑顔もバラ色の頬も何もかもが懐かしい。ずっと側で彼女の笑顔を見たかった。いつでもバラ色の頬で私の隣に居て欲しかった。ただ、それだけの気持ちで彼女を望んだのに私の婚約者となった日から笑顔は消えバラ色の頬はどんどん白くなっていった。慰めてくれる彼女を見ると、かつての彼女を思い出して慰められる。ああ……カトレア。共に歩める日が来れば、かつてのように私に笑ってくれるだろうか?その白い頬をバラ色に染めてくれるだろうか……
こうして私の学園生活二年目は終わった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

学園の三年生となって私の生活は変わった。まず勉学は私の成績を鑑みて、午前中だけを特別室で受け昼前に退出する事となった。そのまま王宮へ赴き、昼食を貴族や王族と共に取り執務に携わる事となった。既にマナーやダンスは夕刻に一時間程行えば十分だと、私に教授して下さった方々がお墨付きを下さったのだ。
その一時間程を過ぎたら軽くお茶を頂いて、執務室に行き執務の手伝いを行い片付いたら家に帰る。
家に帰って夕食を頂き、湯あみを行い寝支度を終えて侍女が退室してから今日の復習と明日の予習わ行ってから就寝するようになった。勿論、寝起きにポーションを飲むのは変わらない。うっかり飲み忘れでもしたら、顔色は悪く一日満足に動く事も勉強をする事も出来ない。毎日大変ですけれど、皆様に迷惑を掛けるような事は出来ません。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

学園最後の年になった。私の毎日は特に変わり映えなく過ごしている。朝、学園に行き夕方王宮へと帰る。只それだけの変わり映えしない毎日。
以前よりも姿を見かける事が少なくなった婚約者の彼女を探そうにも、私を慰めてくれる彼女が居て中々探しに行けない。
王宮に居る事が分かっていても、彼女の所へ行く事が禁じられてる以上行く事は出来ない。何故、会う事を禁じられてるのか分からない。
私は彼女に会いたいのに。会って彼女の笑顔が見たいだけなのに……

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

とうとう学園最後の日が来てしまった。
長いようで短い三年間。私は本日、断罪され勘当され野にうち捨てられる。
婚約者になった、あの日から分かっていた未来。
学園では私がレオンハルト殿下に纏わり付く彼女を苛めている。と不名誉な噂が流れている。顔しか知らない彼女、皆に愛されるヒロインな彼女。

私とは大違い。

まるでお日様のような笑顔でレオンハルト殿下の隣にいる姿は絵画のようで美しく、記憶の中にあるスチルそのままだった。
私はどうせ断罪されるのならばとレオンハルト殿下には会わないように、僅かしかお役に立てないのだから精一杯努力してお役に立とうと必死だった。
学園最後の今日は制服ではなくドレスでの出席となる。どうせ最後……断罪されるのならばレオンハルト殿下から贈られたドレスもアクセサリーも不相応この上ないでしょう。華美にならないドレスで、私の色の地味なアクセサリーを付けて行けば上等でしょう。
侍女達にドレスとアクセサリーの指示を出した時、「勿体ない」と言われ「お嬢様に似合うドレスが贈られておりますのに」と泣かれたけど私は頑なに拒みどうしてもと言いつのり私の望むドレスとアクセサリーを身に着けた。
ドレッサーの前に座り鏡に映る自分を見る。痩せ細った貧相な女が鏡の中に居る。

「お嬢様、御髪はどうなさいましょう?」

「そうね、ドレスに合わせて大人しく結い上げて頂戴。いつまでも子供のような髪型では、恥ずかしいわ。」

「……畏まりました。」

サイドを垂らし前髪を編み込みにして後ろで纏めて編み上げられていく。真珠の付いたピンで飾り立てられ、大人っぽく清楚な髪型にして貰った。
そのままお化粧を施されていく。ドレスにアクセサリー、ヘアスタイルに合わせた大人っぽい顔へと変わっていく。今まで学生らしく口紅はピンクだったけど、今引かれた口紅の色は赤だった。

「ふふ……凄いわね。もう立派な大人のようだわ。」

「お綺麗です、お嬢様。」

「ありがとう。本当に貴方達には感謝してるわ。」

最後になる彼女達に感謝し頭を下げる。侍女達は不思議そうな顔で私を見るけれど、私は微笑んで誤魔化す。

「少し早いけれど、もう向かうわ。」

どうせレオンハルト殿下は私を迎えには来ない。ヒロインの彼女を迎えに行って来れないのだ。女性用の外套を羽織らせて貰い、エントランスに向かう。今まで私を気遣い、様々な心配りをしてくれた執事が不思議そうな顔で立っていた。

「馬車をお願い。」

「殿下は……」

当然の問いかけに少しだけ困ったように微笑む。

「連絡は何も無かったわ。行くとも行かないとも。でしたら、待って遅れるより待たずに遅れない方がよろしいでしょう。」

「……畏まりました。」

仕方がないわ、何一つ伺ってないのだもの。横付けにされた我が家の馬車に執事の手を借りて乗り込む。席に座り執事の顔をしかと見つめる。

「いつもありがとう。どれだけ助けられたか分からないわ。本当にありがとう。」

頭を深々と下げた執事は姿勢を正すと、丁寧に扉を閉めた。
そして馬車はひた走る。
行き先は王宮。学園最後の日は王宮で卒業を多くの王侯貴族に祝われ、大人の仲間入りをするのだ。
王宮に着き、今日の会場となる大広間へと案内される。王宮内で私が一人で歩いているのは当たり前の事になっていたからか誰も不審に思わず、本来ならば私がレオンハルト殿下にエスコートされてなければならない事に気が付いてはいなかった。
大広間には既に多くの学園生達が居た。暫くの間、大広間では学園生最後の夜として会話やダンスが楽しめるようになっているのだ。今いる彼等彼女等は位の低い子爵・男爵家の者達が多い。私が入って行った事で彼等彼女等は一斉に頭を下げたが、私はすぐに頭を上げるようにと言葉を発する。

「まだ、私達は学園生ですわ。国王陛下から卒業を祝われるまでは、学友として居ましょう。」

ホッとしたような彼等彼女等は仲の良い者同士語らいだす。ゆっくりと目立たない所へ行き、大広間を行き交う従者から華奢なシャンパングラスを受け取り僅かに喉を潤す。今日からはアルコールが許される、私がシャンパンを飲むのも今日が最初で最後に違いない。
スチルで見た豪華で美しい大広間。ここで私は断罪される。目の前には、きっとレオンハルト殿下とヒロインの彼女。どうせ最後に見るなら、スチル同然の美しい二人が良い。

ざわつく皆の声……レオンハルト殿下と彼女達が入って来たのね。口々に出てくる囁き声は決して良いものでは無い。むしろ悪いものばかり。ヒロインの彼女と同じような立場の令嬢が囁き合う言葉に「娼婦」とか「売女」とか「泥棒猫」とか不穏なものばかり。そんな事を言っては駄目よ……彼女は王子妃になるのよ。不敬罪になってしまうわ。私は、そんな事を思いながら遠くに見えるレオンハルト殿下とヒロインの彼女を見つめた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

卒業が間近になったある日、いつも私を慰めてくれる彼女が私を慮って婚約者を試してみたらどうか?と言ってきた。試す……カトレアはどれ程私を思ってくれるだろうか?
彼女は学園最後の日、カトレアからエスコートを言って来てくれなかったら自分をエスコートして欲しいと言い出した。私は二つ返事で良いだろうと答えた。いつまで待ってもカトレアからエスコートの件は何一つ言われなかった。結局、私はカトレアでは無い彼女を馬車で迎えに行きエスコートして馬車を降りた。
私はどれだけ頼りないのだろう。今日は私が贈ったドレスやネックレスを身に着けてくれているだろうと大広間を見回したが、私が贈ったドレスの色は見つけられなかった。彼女に似合うようにと選びに選んだドレスとネックレス。だが、どこにも無かった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「カトレア・ド・ネクタルテ!居るなら出て来い!」

ああ……始まってしまった。私はシャンパングラスを空の盆の上にソッと置いて、声のした方へと向かう。この声は近衛騎士団団長の息子の声ね。
レオンハルト殿下とヒロインの彼女、その二人の両脇に居るのは近衛騎士団団長令息と魔術師団団長令息。私を断罪する三人とヒロイン。

「ネクタルテ公爵令嬢、貴女はアリス・ド・クレアージュ男爵令嬢を過度に苛め蔑み暴力を振るったな!証拠もある!レオンハルト殿下の婚約者として権力を振るい、思うがままに過ごすなどレオンハルト殿下に相応しいと思っているのか?」

魔術師団団長令息が声を張り上げ、私を弾劾する。私に覚えが無くとも、私が罪を重ね犯したと言うのだ。
何も言わない私に近衛騎士団団長令息が息巻いて近付いて来た。チラリと見た腰には帯剣していた……側近になれば帯剣は許される。
腕を掴まれ、床に引き摺り倒される。
ああ……私はそれ程までに邪魔な存在だったのですね。悲しくて悲しくて泣きたくなる……でも私は公爵令嬢。人前で涙を溢すなんて恥知らずな真似は出来ない。

「カトレア……アリスにそんな事をやったのか?……」

青い顔で私に聞いてくるレオンハルト殿下……小さく首を振り、否定する。決して受け入れて貰えない否定。

「いいえ。私は何もしておりません。」

「嘘をつくな!」

魔術師団団長令息の大声で私の声は掻き消される。大股で私に歩み寄る彼の形相はとても恐ろしく、私は体が強張った。

「おい!変われ!」

怒号と共に私を掴む手が変わり、髪を鷲掴みにされ上を向かされた。

「お前がアリスを苛めてたのは知ってるんだよ!いい加減認めろよ!」

ここまで乱暴にされて、私は彼への怒りと信じてはくれないレオンハルト殿下への絶望と今まで努力してきた疲れで何もかもを手放す決心がついてしまった。
そう……私は疲れた。毎日毎日、泣き言一つ言わずに努力して来た。見返りも求めず、寝る間も惜しんで邁進してきた。でも、もう十分でしょう。私は楽になりたい。良いでしょう。ねぇ、レオンハルト殿下。
ヒタとレオンハルト殿下を見つめた。

「私はクレアージュ男爵令嬢を苛めてはおりません!」

「まだ、嘘をつくのか!」

「お黙りなさい!それ程までに私が罪深いと言うならば、私の首を落とせば良いでしょう!帯剣が許されているのです、罪深い私の首を落としなさい!腰抜けでないならば簡単な事でしょう!」

近衛騎士団団長令息は単純で短絡的。けしかければ簡単に乗ってしまうような粗忽者。チン……と剣が抜ける音がする。

「ずっと……ずっと、お慕いしております!」

「巫山戯るな!「待て!」」

最後は笑顔を!
美しいスチルを…………

そして私の世界は終わった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

見回しても分からない我が愛しの婚約者殿。今回の計画をしてくれた彼女の取り巻きが大声で呼び出したが、何だかおかしくないか?

「何故、あんなに荒い呼び方なんだ?」

「彼はちょっと言葉遣いが悪いのよ。いつもの事よ。」

「そうか。」

呼び出された婚約者の姿に驚いた。私が贈ったドレスもネックレスも身に着けて無かった。私は彼女に慕われて無かった?今まで贈った物は何一つ、受け取りはしても身に着け無かった?私は嫌われていたのか?だから、私と会わないように過ごした?私の気持ちは私の一方通行だったのか?目の前で繰り広げられる出来事が何処か遠い所で行われているかのような気分だった。
彼女が力尽くで引き摺り倒され、床に押さえつけられてる姿も現実では無いような気がした。
ただ、ただ私の思いが届かなかった事に立っているのがやっとだった。

ずっと……ずっと、お慕いしております!

不意に彼女の声が聞こえた。煌めく剣の光を感じた。

「待て!」

遅かった。彼女の細い首が落とされ、私の前に転がって来た。美しいカトレアの笑顔が張り付いたままの首。世界が滲んでぼやけているのに、カトレアの笑顔だけはしっかりと見える。
力の入らない体でカトレアの元へと歩み寄る。跪いて、カトレアの顔に両手を伸ばす。小さなカトレアの顔を包んで胸に掻き抱く。

「ああ……やっと私の所に来たね。ずっと待っていたんだよ、カトレア。私の最愛の女性。カトレア……カトレア…………ねぇ、もう一度言っておくれ。私を慕ってると。ねぇ……カトレア。カト……レ……ア……ぅあぁぁぁぁぁぁぁ!誰が!どうして!何故!カトレア!カトレアァァァァァ!」

-国王陛下のおなーりー!-

遠くで父上の登場を告げる声が聞こえた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

私が気が付いた時には全てが終わっていた。
私の腕の中に居た筈のカトレアは消え失せていた。
葬儀は済み、アリスとその取り巻きは公爵令嬢を手に掛けた者達として処刑されていた。
私も当然処罰を受けるべきだろう。

薄暗い部屋の中、父上が来た。

「レオンハルトよ。やっと目が覚めたと聞いて来た。子細はあの場に居た学園生達に聞いた。何故、お前はカトレア嬢を見殺しにしたのだ?」

父上のお顔は良く見えなかった。

「見殺し……私は待てと言いました。何故首を落とさねばならなかったのか……カトレア……どうして……やっと婚姻出来ると心待ちにしていたのに……」

流れ落ちる涙を止める事も拭う事も出来なかった。

「レオンハルトよ、カトレア嬢は只ひたすらに努力していた。其方の為に。其方の事は追って沙汰する。今は休むと良い。」

立ち上がり背を向けた姿はあんなに寂しげだったろうか?いつも威風堂々としていた父上、私の情けなさを嘆いておられるのですね。
ですが父上……

「誰かいるか?」

「お呼びですか。」

誰だっただろう。従者か?まぁ、良い。

「寝酒のワインをここへ。持って来たらそこの台に置いといてくれ。」

「畏まりました。」

暗い室内にワインの入ったグラスが置かれる。

「一人になりたい。下がってくれ。」

「はい。」

誰も彼も居なくなった一人きりの部屋で、台の隠し引き出しを開ける。小さな薬包……賊に入られた時の為の薬。薬包をあけ、中身をワインへと入れる。薬は瞬時にワインに溶ける無味無臭の薬だ。

「カトレア。君の居ない世界に生きてる意味は無いんだ。私にも処罰は必要だ、父上には申し訳ないけどね。王子は私だけじゃない。」

ワインを手に取り、一息に飲み干す。コトリとグラスを台に置いて、横たわる。幼い頃見たカトレアの笑顔と最後に見た笑顔が重なる。

「ああ……愛しいカトレア。私を許しておく……れ…………」

彼女の声が聞こえる。

ずっとお慕いしております。

ああ、愛しいカトレア。私も愛しているよ。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

翌日、レオンハルトの寝室に来た従者は叫び声を上げた。
眠るように絶命したレオンハルトの姿を見た王は、力無く項垂れ物言わぬ愛息を見つめた。

彼は息子の恋を応援していた。
息子の愛の深さを知っていた。
息子を支えようと努力を厭わぬ令嬢を娘のように慈しんだ。


これは哀しい物語。
悲しい運命に逆らう事無く生きた令嬢とただ恋に殉じ愛しい女を見守る事しかしなかった愚かな王子の物語。
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みんなの感想(6件)

たかゆき
2023.06.17 たかゆき

流石に婚約者同士の交流が持たれないのも公式の場に同行しないのも不自然すぎるので、前提条件が破綻している。

解除
セリ
2021.12.15 セリ

このパターンは新しいし、面白いと思います。ただ、強制力なのか知らないけれど、卒業パーティーが初めてエスコートする場(と思うの)で、愛情試す為に、相手から言われないから違う女性をエスコートする約束するか〜?と思うし、いくらショックでも、好きな女性が乱暴に跪かされ、髪の毛引っ張られて顔上げさせられてるのを止めない王子、貴方は本当に彼女が好きなの?と思いました。
悪役令嬢も、ゲーム通りならドレスも贈ってこなかった(はず)と気付いて欲しかった〜!
切ない(T ^ T)

解除
サチ
2019.06.25 サチ

初感想です。

私も基本はハッピーエンドが好きです!
ですが、久々に、アンハッピーを読んで心が動きました。
個人的には素敵なお話に会えたと思っています。ありがとうございます!

カトレアとレオンハルトの心情が簡潔で判りやすく、読んでいくうちに、
なんで?どうして?!…カトレアやレオンハルトに、本心を話せる友人がいれば、
誰かの手を取っていればと、思いながら読んでいました。

…カトレアの侍女等の他人目線のこの物語や
カトレアとレオンハルトのハッピーエンドも読んでみたいと思いました。

竹本 芳生
2019.06.25 竹本 芳生

感想、ありがとうございます\(^o^)/


まず、本心を話せる友人は貴族社会では中々難しい事。
特にカトレアは社交デビューする前の婚約で、友人自体難しい状態でした。
レオンハルトも王子である以上、友人を作る事が難しい立場でもありました。


ハッピーエンドは難しいです。
ifとしての物語も難しい……かな。
申し訳ないです。

解除
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