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連載
久々のカティヨン参上!
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「で、なんでこんなことなってるんだろうか。」
「ごめん。」
ヴィクトルは倒れ伏した男たちを見て溜息をついた。
「でも褒めて欲しいなあ。ほら、この子たち助かったんだから!」
「にしたって・・そりゃあ君は強いけど万が一ってこともあるし!伝令で知らせた後は見張るだけにしなきゃだめだよ。」
事の発端は、一人でこっそりと城下に出て美味しいお菓子屋さん巡りをしようとしたカティが泣いている女の子を目撃したことから始まった。
それは、日頃お世話になっている国王夫妻やヴィー、公爵邸のみんなへのお礼と自分のためのお菓子探訪の最中だった。
父親らしき男が必死になだめすかしているが、抱っこされた少女は泣き止む様子はない。
「おじさん、これ娘さんにあげる。」
カティは先ほど買い込んだ可愛い袋に入ったクッキーを渡した。
一瞬ぎょっとした様子の父親は、笑顔を浮かべると
「これはこれは優しいお嬢さん。おつきのものはいらっしゃらないのかな?」
「ええ。じゃあね。」
男はカティの手をぐっとつかむと
「お礼がしたいから、一緒に行こうか。」
手を掴まれた瞬間、ぞくっとした。久しぶりのこの感覚。
こいつは善良な人間ではない。この女の子の父親でさえないかもしれない。
「・・・いいけど。その子泣いてるし、一緒に行って楽しいの?」
「向こうにはお嬢さんくらいの子がいっぱいいるよ。お友達たくさんできるよ。」
「へえ~。たくさんね。でも・・・お母様に怒られちゃうかも。」
「おじさんがお母さんに連絡してやるからな。行こう?」
「うん。」
そう言いながらカティは密かに伝令を飛ばした。
連れていかれたところはスラム街のようなすさんだ雰囲気の場所の一角。その一軒家に入ると中には数名の女の子たちが泣いていた。怯えて座り込み震えている。
カティはどんと突き飛ばされ、泣いていた女の子も同様に床に座らされる。
「おとなしくしろよ。すぐにいい所に連れて行ってやるからな。」
仲間の男たちも数名その部屋にいる。
「おう!えらい上玉を連れてきたじゃねえか。」
「よし、これだけいればいいだろう。すぐに出立だ。」
上機嫌の男たちに水を差すような声がかけられる。
「ふふふふ。人身売買やめますか?それとも人間やめますか?」
「なんだと?!誰だ?!」
「闇に舞う蝶カティヨン参上!」
いつの間にか仮面をつけたカティが不敵に笑いながら立ち上がる。
しかし、顔を隠しても今更で
「お前、さっきの貴族の娘じゃないか!」
「・・・。ノリが悪い。頭も悪い。顔も悪い。」
「調子に乗るな!」
男がカティを殴ろうと手を振り上げる。周りの少女たちから悲鳴が上がった。
しかし、男はぐっと呻くと地面に押しつぶされるように倒れ込んだ。
「な・・・なんだ?」
呻く男に仲間たちは、何ふざけてるんだ?と笑いながら近寄ってくる。
そして次々に体が何かに押さえつけられるように地面に押し潰されていく。
「おっほっほっほ!か弱い女の子の心に傷をつけてただで済むと思わない事ね!!」
カティは、その部屋にあったインクで顔に落書きを始めた。
泣いていた女の子にカティは
「怖かったね、もう大丈夫だからね。この悪い人を捕まえる王子様がすぐ来てくれるからもう少し我慢しよう?一緒に落書きしたければしていいのよ。」
と声をかけた。
突然さらわれたであろうこの子たちの恐怖を少しでも和らげてあげたかった。
カティがせっせと男たちの顔に落書きをしているのを見て、小さな子ほど笑顔が戻り一緒に書き始めた。
ヴィクトルが騎士を連れて飛び込んだ時、顔中に落書きされ倒れている男たちと、笑顔が戻った少女たち。そして被害者ぶって妙に儚げを装っているカティを発見したのだった。
本日は夜にももう一話投稿します(*´▽`*)
「ごめん。」
ヴィクトルは倒れ伏した男たちを見て溜息をついた。
「でも褒めて欲しいなあ。ほら、この子たち助かったんだから!」
「にしたって・・そりゃあ君は強いけど万が一ってこともあるし!伝令で知らせた後は見張るだけにしなきゃだめだよ。」
事の発端は、一人でこっそりと城下に出て美味しいお菓子屋さん巡りをしようとしたカティが泣いている女の子を目撃したことから始まった。
それは、日頃お世話になっている国王夫妻やヴィー、公爵邸のみんなへのお礼と自分のためのお菓子探訪の最中だった。
父親らしき男が必死になだめすかしているが、抱っこされた少女は泣き止む様子はない。
「おじさん、これ娘さんにあげる。」
カティは先ほど買い込んだ可愛い袋に入ったクッキーを渡した。
一瞬ぎょっとした様子の父親は、笑顔を浮かべると
「これはこれは優しいお嬢さん。おつきのものはいらっしゃらないのかな?」
「ええ。じゃあね。」
男はカティの手をぐっとつかむと
「お礼がしたいから、一緒に行こうか。」
手を掴まれた瞬間、ぞくっとした。久しぶりのこの感覚。
こいつは善良な人間ではない。この女の子の父親でさえないかもしれない。
「・・・いいけど。その子泣いてるし、一緒に行って楽しいの?」
「向こうにはお嬢さんくらいの子がいっぱいいるよ。お友達たくさんできるよ。」
「へえ~。たくさんね。でも・・・お母様に怒られちゃうかも。」
「おじさんがお母さんに連絡してやるからな。行こう?」
「うん。」
そう言いながらカティは密かに伝令を飛ばした。
連れていかれたところはスラム街のようなすさんだ雰囲気の場所の一角。その一軒家に入ると中には数名の女の子たちが泣いていた。怯えて座り込み震えている。
カティはどんと突き飛ばされ、泣いていた女の子も同様に床に座らされる。
「おとなしくしろよ。すぐにいい所に連れて行ってやるからな。」
仲間の男たちも数名その部屋にいる。
「おう!えらい上玉を連れてきたじゃねえか。」
「よし、これだけいればいいだろう。すぐに出立だ。」
上機嫌の男たちに水を差すような声がかけられる。
「ふふふふ。人身売買やめますか?それとも人間やめますか?」
「なんだと?!誰だ?!」
「闇に舞う蝶カティヨン参上!」
いつの間にか仮面をつけたカティが不敵に笑いながら立ち上がる。
しかし、顔を隠しても今更で
「お前、さっきの貴族の娘じゃないか!」
「・・・。ノリが悪い。頭も悪い。顔も悪い。」
「調子に乗るな!」
男がカティを殴ろうと手を振り上げる。周りの少女たちから悲鳴が上がった。
しかし、男はぐっと呻くと地面に押しつぶされるように倒れ込んだ。
「な・・・なんだ?」
呻く男に仲間たちは、何ふざけてるんだ?と笑いながら近寄ってくる。
そして次々に体が何かに押さえつけられるように地面に押し潰されていく。
「おっほっほっほ!か弱い女の子の心に傷をつけてただで済むと思わない事ね!!」
カティは、その部屋にあったインクで顔に落書きを始めた。
泣いていた女の子にカティは
「怖かったね、もう大丈夫だからね。この悪い人を捕まえる王子様がすぐ来てくれるからもう少し我慢しよう?一緒に落書きしたければしていいのよ。」
と声をかけた。
突然さらわれたであろうこの子たちの恐怖を少しでも和らげてあげたかった。
カティがせっせと男たちの顔に落書きをしているのを見て、小さな子ほど笑顔が戻り一緒に書き始めた。
ヴィクトルが騎士を連れて飛び込んだ時、顔中に落書きされ倒れている男たちと、笑顔が戻った少女たち。そして被害者ぶって妙に儚げを装っているカティを発見したのだった。
本日は夜にももう一話投稿します(*´▽`*)
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