あのパンの香りが届かないように
パン屋の看板娘であるマリナ・ベッカーは、近頃不可思議なパンの香りを感じるようになっていた。
街で事件が起こるのに合わせるようにパンの香りが鼻腔を刺激し、その後は事件自体がなかったことになっているのだ。
時を同じくして街に現れた奇妙な風体の少女。関連があると思い、事件のことを知っているかと問うマリナに、少女――ミレイはこう答える。
「……憶えて、るんですか……?」
ミレイは、『死ぬと過去のある地点に戻る』という能力を駆使して、街に起こる事件を解決していた。過去を改変することでその記憶は人々から失われるが、なぜかマリナだけはどちらの記憶も憶えていたのだ。
ミレイのことが放っておけなかったマリナは、彼女を自宅のパン屋に招く。徐々に交流を深め、絆を結んでいく二人。
しかしその陰では、黒いローブの集団――悪魔崇拝者が暗躍しており……やがて二人は、街を揺るがす大事件に巻き込まれていく……
これは、死のループに囚われた少女と、その死を唯一記憶するパン屋の看板娘が、街を脅かす事件に立ち向かいながら、互いに唯一無二の関係を築いていくファンタジー。
・小説家になろう、カクヨムでも掲載しています。
街で事件が起こるのに合わせるようにパンの香りが鼻腔を刺激し、その後は事件自体がなかったことになっているのだ。
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