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第一章 いざ、異世界のダンジョンへ!
禁書の化身
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さて、この一週間でわたくしは三階層まで行くことになりまして、今は三階層の湿地帯でリザードマンと戦っている所でございます。
戦いの最前線は九階層のオークなのだそうですけれども、中々に強いらしくて、最前線で戦っている方達も苦労しているという事です。
それにしても一週間経ちますけれども、チュートリアルと言うものは終わりませんわね。
期間なのか到達した階層なのかぐらい聞いておけばよかったです。
もっとも、わたくしはスレッドは読むことが殆どで書き込むことはほぼないので、チュートリアルが終わっても誰かと一緒に組むかと言われると微妙な所なのですよね。
正直一人でいた方が楽と言いますか、便利と言いますか、都合がいいのですよね。
主にわたくしのチートの事とかで。
クインゼル様とエッシャル様には、神様に禁書に武器やドロップ品を吸収させるように言われていると大分ぼかして伝えておりますけれども、勘のいいお二人の事ですから、何かに気が付いているかもしれません。
とはいえ、むやみに人に言いふらすような方達ではありませんので、そこのところは安心できます。
実はクインゼル様とエッシャル様はお二人で暮らしているのだそうですが、お二人とも殺生はあまり得意という事ではないそうで、鍛冶で生計を立てる道を選んだのだそうです。
ある意味正しい判断ですわね、無理に戦って死んでしまっては元も子もありませんし、鍛冶師が居なければ新しい道具が制作されることもなく、万屋で売っている安くて脆い道具を使うしかありません。
そう、万屋にある武器や防具は本当に初期装備と言った感じで、それほど高くない代わりにすぐに駄目になってしまうのですよね。
そのおかげで、折角貯めた資金がまた武器や防具に変わっていくという自転車操業なるものになっていると嘆いていらっしゃる方が沢山います。
わたくしは初期資金が潤沢でしたし、入手できる金額こそ四倍ではありませんが経験値四倍のおかげで無理なくレベルを上げて戦う事が出来ますので、今のところ、武器を買い取る以外でマイナスになったことはありませんね。
一階層のスライムは一匹倒すと10ジニーですが、リザードマンは一匹倒すとその十倍の100ジニー手に入るのですよ。
流石に超音波(ウェーブ)の出力を弱めて倒すことは出来ませんし、湿地帯という事であちらにアドバンテージがある戦場なのですけれども、幸いわたくしは水魔法も火魔法も得意としておりますので、特に問題なく倒すことが出来ております。
それに、ネーロは闇魔法が使えるようでして、闇魔法でわたくしの補助をしてくれるのですよ、優秀でしょう。
それにしても、この一週間、結構な量のアイテムを吸収させたと思うのですが、いつになったら眷属として顕現するのでしょうか?
タイミングがわからないですわね。
『いや、もう十分に経験値はたまっているからいつでも顕現できる状態になっているよ』
「あら、神様。ようこそおいで下さいました、お茶でもいかがですか?」
『それもいいけど、その禁書。十分に経験値はたまっているよ、むしろ顕現してもらうのを待っている状態だよ』
「あらまあ、そうなのですか。顕現させるにはどうすればよろしいのですか?」
『アイテムボックスから禁書を出して、名前を付けてあげればいいんだよ』
「ふむ」
言われてアイテムボックスから禁書を取り出しましたが、相変わらず禍々しい雰囲気ですわね。
教皇様曰く、神様が元の世界に遣わした禁書で、いまだかつて読み解けたものが居ないと言うものなのだそうですよね。
読み解けたものが居ない、そんなもの、お飾り以外の何ものでもないのではないでしょうか?
やはり、教皇様はわたくしにお節介を焼いているふりをして不用品を押し付けていたのでしょうか?
うーん、難しいところですわね。
『名前つけないの?』
「え、ああ、そうでしたわね」
名前ですか、わたくし基本的にネーミングセンスがないのですよね。
ネーロだってとある国の言葉で黒という意味ですし、この本に名前を付けるのですか。
誰も読み解けたことの無い本、無い本……ナティルなんてどうでしょう?
「ナティルにしますわ」
わたくしがそう言った瞬間、本が光に包まれまして、光の中から褐色の肌で黒髪の青年が姿を現しました。
「初めましてご主人様。僕はナティル、ご主人様の眷属のナティルです」
「あ、よろしくお願いします」
思わずぺこりと頭を下げてしまいました。
本に在った時のような禍々しい空気はありませんが、なんと言いますかこう、威圧感というか、そう言った威厳のようなものを感じまして、このような方が眷属とか本当にいいのでしょうか?
ちなみにナティルのステータスはっと。
『異界の禁書:ナティル
レベル:67
生命力:845▲、魔力量:964▲
攻撃力:621▲、防御力:539▲
魔法力:3057▲、知識力:4856▲
俊敏性:458▲、幸運力:99
主人:ティタニア』
わあ、チートですわね。
魔法力と知識力が四桁ってなんですか、ナティルが居ればすべてが解決しそうなレベルでチートではありませんか。
「ご主人様、何なりとご命令ください」
「と、とりあえずは貴方の分の家財を購入するところから始めましょうか。あとはクインゼル様とエッシャル様との専属契約を解かなくてはいけませんわね。あ、ナティルは武器や防具はどうしますか? ないのでしたらお二人に作っていただきますけれども」
「問題ありません。禁書の中にある武器や防具は僕が使える者として登録されているから、ご主人様と同じで新しく武器や防具を購入する必要はないですよ」
「そうですか」
あの禁書、そんなものが記載されているのですか。禁書なだけあって碌なものではありませんわね。
とりあえず、わたくしはスマートウォッチの万屋で改築を選んでリビング全体を広げて二つ目の寝室を作ってそこに万屋で売っている最高級のベッドを購入しまして、その他必要になるであろう物を色々と購入いたしました。
ネーロと違って椅子なども必要でしょうから、椅子や食器も購入しなければいけませんし、タオルやアメニティーも買い足しました。
改築と新しい物の購入で所持金は一気に減ってしまいましたが、仕方がありませんし、まだまだ十分な金額が残っております。
『受け入れ準備はOKだね、じゃあ僕はこの辺で失礼するよ』
「あら、お茶はよろしいのですか?」
『またの機会にね。じゃあまたね』
そう言って神様は消えてしまいました。
本当に神出鬼没な方ですね。
ああ、そうです、クインゼル様とエッシャル様に禁書にもうアイテムを吸収させる必要が無くなったので専属契約を終了する旨を伝えなくてはいけませんわね。
メッセージでお二人に専属契約終了の事をお伝えいたしましたら、チュートリアルが終わって会えるようになったら、ナティルの事を見せて欲しいと言われました。
まあ、お二人に隠すのもなんですし、お披露目するのも仕方がありませんよね。
戦いの最前線は九階層のオークなのだそうですけれども、中々に強いらしくて、最前線で戦っている方達も苦労しているという事です。
それにしても一週間経ちますけれども、チュートリアルと言うものは終わりませんわね。
期間なのか到達した階層なのかぐらい聞いておけばよかったです。
もっとも、わたくしはスレッドは読むことが殆どで書き込むことはほぼないので、チュートリアルが終わっても誰かと一緒に組むかと言われると微妙な所なのですよね。
正直一人でいた方が楽と言いますか、便利と言いますか、都合がいいのですよね。
主にわたくしのチートの事とかで。
クインゼル様とエッシャル様には、神様に禁書に武器やドロップ品を吸収させるように言われていると大分ぼかして伝えておりますけれども、勘のいいお二人の事ですから、何かに気が付いているかもしれません。
とはいえ、むやみに人に言いふらすような方達ではありませんので、そこのところは安心できます。
実はクインゼル様とエッシャル様はお二人で暮らしているのだそうですが、お二人とも殺生はあまり得意という事ではないそうで、鍛冶で生計を立てる道を選んだのだそうです。
ある意味正しい判断ですわね、無理に戦って死んでしまっては元も子もありませんし、鍛冶師が居なければ新しい道具が制作されることもなく、万屋で売っている安くて脆い道具を使うしかありません。
そう、万屋にある武器や防具は本当に初期装備と言った感じで、それほど高くない代わりにすぐに駄目になってしまうのですよね。
そのおかげで、折角貯めた資金がまた武器や防具に変わっていくという自転車操業なるものになっていると嘆いていらっしゃる方が沢山います。
わたくしは初期資金が潤沢でしたし、入手できる金額こそ四倍ではありませんが経験値四倍のおかげで無理なくレベルを上げて戦う事が出来ますので、今のところ、武器を買い取る以外でマイナスになったことはありませんね。
一階層のスライムは一匹倒すと10ジニーですが、リザードマンは一匹倒すとその十倍の100ジニー手に入るのですよ。
流石に超音波(ウェーブ)の出力を弱めて倒すことは出来ませんし、湿地帯という事であちらにアドバンテージがある戦場なのですけれども、幸いわたくしは水魔法も火魔法も得意としておりますので、特に問題なく倒すことが出来ております。
それに、ネーロは闇魔法が使えるようでして、闇魔法でわたくしの補助をしてくれるのですよ、優秀でしょう。
それにしても、この一週間、結構な量のアイテムを吸収させたと思うのですが、いつになったら眷属として顕現するのでしょうか?
タイミングがわからないですわね。
『いや、もう十分に経験値はたまっているからいつでも顕現できる状態になっているよ』
「あら、神様。ようこそおいで下さいました、お茶でもいかがですか?」
『それもいいけど、その禁書。十分に経験値はたまっているよ、むしろ顕現してもらうのを待っている状態だよ』
「あらまあ、そうなのですか。顕現させるにはどうすればよろしいのですか?」
『アイテムボックスから禁書を出して、名前を付けてあげればいいんだよ』
「ふむ」
言われてアイテムボックスから禁書を取り出しましたが、相変わらず禍々しい雰囲気ですわね。
教皇様曰く、神様が元の世界に遣わした禁書で、いまだかつて読み解けたものが居ないと言うものなのだそうですよね。
読み解けたものが居ない、そんなもの、お飾り以外の何ものでもないのではないでしょうか?
やはり、教皇様はわたくしにお節介を焼いているふりをして不用品を押し付けていたのでしょうか?
うーん、難しいところですわね。
『名前つけないの?』
「え、ああ、そうでしたわね」
名前ですか、わたくし基本的にネーミングセンスがないのですよね。
ネーロだってとある国の言葉で黒という意味ですし、この本に名前を付けるのですか。
誰も読み解けたことの無い本、無い本……ナティルなんてどうでしょう?
「ナティルにしますわ」
わたくしがそう言った瞬間、本が光に包まれまして、光の中から褐色の肌で黒髪の青年が姿を現しました。
「初めましてご主人様。僕はナティル、ご主人様の眷属のナティルです」
「あ、よろしくお願いします」
思わずぺこりと頭を下げてしまいました。
本に在った時のような禍々しい空気はありませんが、なんと言いますかこう、威圧感というか、そう言った威厳のようなものを感じまして、このような方が眷属とか本当にいいのでしょうか?
ちなみにナティルのステータスはっと。
『異界の禁書:ナティル
レベル:67
生命力:845▲、魔力量:964▲
攻撃力:621▲、防御力:539▲
魔法力:3057▲、知識力:4856▲
俊敏性:458▲、幸運力:99
主人:ティタニア』
わあ、チートですわね。
魔法力と知識力が四桁ってなんですか、ナティルが居ればすべてが解決しそうなレベルでチートではありませんか。
「ご主人様、何なりとご命令ください」
「と、とりあえずは貴方の分の家財を購入するところから始めましょうか。あとはクインゼル様とエッシャル様との専属契約を解かなくてはいけませんわね。あ、ナティルは武器や防具はどうしますか? ないのでしたらお二人に作っていただきますけれども」
「問題ありません。禁書の中にある武器や防具は僕が使える者として登録されているから、ご主人様と同じで新しく武器や防具を購入する必要はないですよ」
「そうですか」
あの禁書、そんなものが記載されているのですか。禁書なだけあって碌なものではありませんわね。
とりあえず、わたくしはスマートウォッチの万屋で改築を選んでリビング全体を広げて二つ目の寝室を作ってそこに万屋で売っている最高級のベッドを購入しまして、その他必要になるであろう物を色々と購入いたしました。
ネーロと違って椅子なども必要でしょうから、椅子や食器も購入しなければいけませんし、タオルやアメニティーも買い足しました。
改築と新しい物の購入で所持金は一気に減ってしまいましたが、仕方がありませんし、まだまだ十分な金額が残っております。
『受け入れ準備はOKだね、じゃあ僕はこの辺で失礼するよ』
「あら、お茶はよろしいのですか?」
『またの機会にね。じゃあまたね』
そう言って神様は消えてしまいました。
本当に神出鬼没な方ですね。
ああ、そうです、クインゼル様とエッシャル様に禁書にもうアイテムを吸収させる必要が無くなったので専属契約を終了する旨を伝えなくてはいけませんわね。
メッセージでお二人に専属契約終了の事をお伝えいたしましたら、チュートリアルが終わって会えるようになったら、ナティルの事を見せて欲しいと言われました。
まあ、お二人に隠すのもなんですし、お披露目するのも仕方がありませんよね。
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