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11話 婚約宣言 その2
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「婚約……ですか?」
「うむ、そういうことだ。私とぜひ、婚約をしてほしい」
「……私でよろしければ……」
冷静な言葉……私はこの時、驚くくらいに自分を律することが出来ていた。戸惑いも最小限だ。ハルト様のキスと優しい笑顔を見たのが大きな理由にはなっているけれど。私は静かながらも、自らの想いを彼に伝えることに成功した。
「そうか、とても嬉しいよ。もちろん、当人同士の承諾だけでは成立はしないが、シエルの気持ちがわかっただけでも十分だ」
「ハルト様は私なんかでよろしいのですか?」
「シエルじゃないとイヤだ。君のことは10年間、片時も忘れたことはなかったよ」
凄く嬉しいハルト様の言葉。キスをしてくれただけではなく、婚約宣言までしてくれるなんて思ってもみなかった。シグマとの婚約破棄からの見返りとしては、お釣りが来るレベルだわ。
でも、このハルト様の婚約宣言という爆弾発言。私は冷静に受け答えができたけれど、周囲に居る貴族たちの驚きようは尋常ではなかった。それは当然のことだけれど……。
「王太子殿下はなんておっしゃったの……? 婚約をしてほしい……?」
「婚約宣言になるのでは……!?」
「嘘よっ! あの引く手あまただった王太子様が……今のご年齢になるまで結婚をなさらず、不思議に思われていたのに……!」
「よりにもよって、アクアマイトの伯爵令嬢に婚約宣言をするなんて……!」
貴族街の庭園に居た貴族たちは様々な反応を見せていた。ざっと聞いた限りでは、あんまり好意的な言葉はなかったように思える。ただ一人、メイドのメルレーンの怪しげな笑顔を除いては。
彼女は「おめでとうございます、お嬢様」と明らかに言っていた──。
──────
「周囲が非常に騒がしくなってきたな」
「はい、そうですね……あの、ハルト様」
「なんだ?」
「ハルト様は、こういう状況を想定されて、婚約宣言をなされたのですか?」
ハルト様の真意は私には完全にはわかっていない。だから、この機会に尋ねてみた。
「そういうことだ。君が承諾してくれるかは、ある意味では賭けだったが。伯爵令嬢と王太子との婚約騒動というのは、どこで発表したとしても騒がれるさ。なら、こういった場所で堂々と宣言するのも有りかと思えた。私がいままで、誰とも婚約をしなかったことへの裏付けにもなるしね」
「ハルト様……」
確かにハルト王太子殿下は今まで婚約をした過去がない。それは私のことを、ずっと想っていてくれてたからだったんだ。
ものすごく嬉しい……でも、それだけじゃない、不安だってある。今後、楽ではない障害が訪れる気がするけど……でも、ハルト様と二人なら普通に乗り越えられる自信の方が大きかった。
「うむ、そういうことだ。私とぜひ、婚約をしてほしい」
「……私でよろしければ……」
冷静な言葉……私はこの時、驚くくらいに自分を律することが出来ていた。戸惑いも最小限だ。ハルト様のキスと優しい笑顔を見たのが大きな理由にはなっているけれど。私は静かながらも、自らの想いを彼に伝えることに成功した。
「そうか、とても嬉しいよ。もちろん、当人同士の承諾だけでは成立はしないが、シエルの気持ちがわかっただけでも十分だ」
「ハルト様は私なんかでよろしいのですか?」
「シエルじゃないとイヤだ。君のことは10年間、片時も忘れたことはなかったよ」
凄く嬉しいハルト様の言葉。キスをしてくれただけではなく、婚約宣言までしてくれるなんて思ってもみなかった。シグマとの婚約破棄からの見返りとしては、お釣りが来るレベルだわ。
でも、このハルト様の婚約宣言という爆弾発言。私は冷静に受け答えができたけれど、周囲に居る貴族たちの驚きようは尋常ではなかった。それは当然のことだけれど……。
「王太子殿下はなんておっしゃったの……? 婚約をしてほしい……?」
「婚約宣言になるのでは……!?」
「嘘よっ! あの引く手あまただった王太子様が……今のご年齢になるまで結婚をなさらず、不思議に思われていたのに……!」
「よりにもよって、アクアマイトの伯爵令嬢に婚約宣言をするなんて……!」
貴族街の庭園に居た貴族たちは様々な反応を見せていた。ざっと聞いた限りでは、あんまり好意的な言葉はなかったように思える。ただ一人、メイドのメルレーンの怪しげな笑顔を除いては。
彼女は「おめでとうございます、お嬢様」と明らかに言っていた──。
──────
「周囲が非常に騒がしくなってきたな」
「はい、そうですね……あの、ハルト様」
「なんだ?」
「ハルト様は、こういう状況を想定されて、婚約宣言をなされたのですか?」
ハルト様の真意は私には完全にはわかっていない。だから、この機会に尋ねてみた。
「そういうことだ。君が承諾してくれるかは、ある意味では賭けだったが。伯爵令嬢と王太子との婚約騒動というのは、どこで発表したとしても騒がれるさ。なら、こういった場所で堂々と宣言するのも有りかと思えた。私がいままで、誰とも婚約をしなかったことへの裏付けにもなるしね」
「ハルト様……」
確かにハルト王太子殿下は今まで婚約をした過去がない。それは私のことを、ずっと想っていてくれてたからだったんだ。
ものすごく嬉しい……でも、それだけじゃない、不安だってある。今後、楽ではない障害が訪れる気がするけど……でも、ハルト様と二人なら普通に乗り越えられる自信の方が大きかった。
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