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44話 王位継承権争い その2
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「王位継承権が始まったとして……ハルト王太子殿下の勝ちは揺るがないと思われます」
メルレーンからの言葉……私は彼女の発言に安心感を持っていた。なんというか……メルレーンであれば信頼に値することを言ってくれるという信頼感があるのだと思う。
「そうか……メルレーンさんに言われると安心できるが。他の皆も同じ考えだろうか?」
ハルト様は護衛として集まっている、他の貴族の方々にも質問をしていた。
「そうですね……いかにリクイド王子が強敵とはいえ、民衆の支持がハルト様を上回るとは思えません」
「それに……我々は全員、ハルト様に投票いたしますので、カニエル公爵と言えども、これを覆すのはほぼ不可能かと思われます」
メルレーンも他の護衛の人たちも意見は変わらないようね……例え、王位継承権争いが始まったとしても、こちらには十分に勝てる要素がある。
私はそれを知れただけで、とても安心することが出来た。そう……メルレーンを含めたこれだけの面子を揃えたハルト様が負けることなんてあり得ない……あり得ないはずなんだけど……。
-------------------------------------------------------------------------
勝利を確信した……そういった状況の時が、一番危ないのだと、私は知ることになってしまった……。
ハルト様を狙う黒い覆面をした刺客……非常に大胆な行動だと言えた。ハルト様には、屈強な護衛が付いているのだから……まず、彼に辿り着く前に捕らえられてしまうはず。
しかし……その刺客の動きは一線を画していた。メルレーンが少し離れていたことも、原因になったのかもしれない。彼女が直接、ハルト様の護衛に当たることができない距離で、それは発生したから……。
「ハルト様!!」
黒い覆面の男からの攻撃は、護衛の者達のガードをすり抜けて、ハルト様の腹を突き刺していた……嘘……。ハルト様はその場に力なく倒れ伏してしまう……。そこから1秒も経たない状況で、メルレーンの強烈なタックルと極め技が刺客を襲う。その刺客の片腕が折れた音が辺りにこだましていた。
「がっ……!」
「ぐうう……!」
ハルト様と刺客……二人の鈍い声が聞こえて来る。当然だけれど、刺客の声などに護衛は耳を傾けることはしなかった。顔を覆っていたマスクは、すぐに取りはらわれる……。
「リクイド王子殿下……!?」
刺客の腕を極めていたメルレーンだけれど、予期せぬ刺客の正体に、流石に驚きを隠せないようだった。私を含め、他の護衛の人たちも同じ気持ちだと思う。
「兄上っ! なぜだ……! なぜ、政治を疎かにした……!」
意味の分からないことをリクイド王子殿下は叫んでいる。これもカニエル公爵からの洗脳だとでも言うの? いえ、そんなことは、今はどうでもいいわ!
「ごふっ……リクイドか。確かにお前ほどの実力者ならば、私の護衛をすり抜けて、私に一太刀くらいは浴びせられるかもしれんな……迂闊だったよ……! うぐ……」
「は、ハルト様!! 誰か、誰か医者を……!!」
近くに居た私は明らかに取り乱していた。目の前で起きた信じられない惨劇……こんな場面に出くわしたのは、もちろん初めてだ。私の異様な態度に危機感を感じたのか、メルレーンが咄嗟に私を抱きしめていた。
「シエル様……落ち着いてください。王太子殿下は重傷ですが、おそらく致命傷ではありません」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ……!」
リクイド第三王子がどのような言葉でカニエル公爵に操られたのかはわからない……でも、そんなことはどうでも良かった。私の愛する人の命を狙った輩……自らの手で殺してしまいたいくらいの眼差しで、私はリクイド第三王子を睨みつけていた。
メルレーンからの言葉……私は彼女の発言に安心感を持っていた。なんというか……メルレーンであれば信頼に値することを言ってくれるという信頼感があるのだと思う。
「そうか……メルレーンさんに言われると安心できるが。他の皆も同じ考えだろうか?」
ハルト様は護衛として集まっている、他の貴族の方々にも質問をしていた。
「そうですね……いかにリクイド王子が強敵とはいえ、民衆の支持がハルト様を上回るとは思えません」
「それに……我々は全員、ハルト様に投票いたしますので、カニエル公爵と言えども、これを覆すのはほぼ不可能かと思われます」
メルレーンも他の護衛の人たちも意見は変わらないようね……例え、王位継承権争いが始まったとしても、こちらには十分に勝てる要素がある。
私はそれを知れただけで、とても安心することが出来た。そう……メルレーンを含めたこれだけの面子を揃えたハルト様が負けることなんてあり得ない……あり得ないはずなんだけど……。
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勝利を確信した……そういった状況の時が、一番危ないのだと、私は知ることになってしまった……。
ハルト様を狙う黒い覆面をした刺客……非常に大胆な行動だと言えた。ハルト様には、屈強な護衛が付いているのだから……まず、彼に辿り着く前に捕らえられてしまうはず。
しかし……その刺客の動きは一線を画していた。メルレーンが少し離れていたことも、原因になったのかもしれない。彼女が直接、ハルト様の護衛に当たることができない距離で、それは発生したから……。
「ハルト様!!」
黒い覆面の男からの攻撃は、護衛の者達のガードをすり抜けて、ハルト様の腹を突き刺していた……嘘……。ハルト様はその場に力なく倒れ伏してしまう……。そこから1秒も経たない状況で、メルレーンの強烈なタックルと極め技が刺客を襲う。その刺客の片腕が折れた音が辺りにこだましていた。
「がっ……!」
「ぐうう……!」
ハルト様と刺客……二人の鈍い声が聞こえて来る。当然だけれど、刺客の声などに護衛は耳を傾けることはしなかった。顔を覆っていたマスクは、すぐに取りはらわれる……。
「リクイド王子殿下……!?」
刺客の腕を極めていたメルレーンだけれど、予期せぬ刺客の正体に、流石に驚きを隠せないようだった。私を含め、他の護衛の人たちも同じ気持ちだと思う。
「兄上っ! なぜだ……! なぜ、政治を疎かにした……!」
意味の分からないことをリクイド王子殿下は叫んでいる。これもカニエル公爵からの洗脳だとでも言うの? いえ、そんなことは、今はどうでもいいわ!
「ごふっ……リクイドか。確かにお前ほどの実力者ならば、私の護衛をすり抜けて、私に一太刀くらいは浴びせられるかもしれんな……迂闊だったよ……! うぐ……」
「は、ハルト様!! 誰か、誰か医者を……!!」
近くに居た私は明らかに取り乱していた。目の前で起きた信じられない惨劇……こんな場面に出くわしたのは、もちろん初めてだ。私の異様な態度に危機感を感じたのか、メルレーンが咄嗟に私を抱きしめていた。
「シエル様……落ち着いてください。王太子殿下は重傷ですが、おそらく致命傷ではありません」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ……!」
リクイド第三王子がどのような言葉でカニエル公爵に操られたのかはわからない……でも、そんなことはどうでも良かった。私の愛する人の命を狙った輩……自らの手で殺してしまいたいくらいの眼差しで、私はリクイド第三王子を睨みつけていた。
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