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賢者。勇者剣士と合流する。

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小型ウルフも確かに魔獣ではあるが、『小型』とつくだけあって、一匹で狙う獲物は小さい。
集団であればビッグラビットや大きめの熊も狙うかもしれないが、だいたいは小さいラビットやノームなど他の魔物が主食である。
だからウルを敵視するほどではないと思うのだが──
「……ごめん。『変異体』とは聞いていたけど、まさか毛皮の色が白なんて……アタシたちの故郷では白い毛皮の狼型魔物ってけっこう大きくてね……人が襲われることもしょっちゅうなんだ。だからてっきり……」
「あ~…なるほど……そう言えば、魔物図鑑にも北の地方では白くて大きい魔物が多いとか……」
「うん。色の珍しさから誰かが『可愛い犬』みたいな感じでミルベルのところに持ち込んだのかと思ったけど、ウルフ系だって気が付いたらもう……村を出る前の年、隣の家の跡取りがやられちゃってね……」
なるほど。
ラダには大型のウルフに対して個人的に近い恨みがあるらしい。
かといって──
《こここここわかったぁぁぁぁぁ~~~~~~~!!パトご主人~~~~……》
「あー、はいはい。ウル~~、私もいるからねっ?大丈夫だよ!あのおねえちゃんはちょっと勘違いしただけだからね?」
《ほ、ほんとですかぁ~~~……ミウミウ~~》
「あっ、やべっ!か…可愛いぃ……ミウミウ……」
「……小型ウルフってこんなだっけ……ヤバい……確かに可愛い……」
《ミウミウ~……》
よしよしとミウが撫でてやると、ウルがその腕の中に隠れるようにして身体を押しつけてかなり甘えた鳴き声で名前を呼ぶのを聞いて、ミウだけでなくミルベルも何故か目をウルウルさせて見つめる。
「えっ?何?ミウ……あんた、この子のマスターなの?」
「ううん。違うよ。さっき酒場で話した通り、パトリック賢者様がご主人なんだけど……よくわかんないけど、私もこの子と話せて……」
「え?え?えぇっ?!何?すっごくわかんない!!意味わかんないっ!!」
私もよくわからない。
まだとっかかりとはいえ、古代語で従魔契約を結ぶことで自分と従魔だけでなく、一緒にいるミウにまでウルの言葉がわかるようになった理由はまだ見つかっていないのだから。


ようやくみんな落ち着いて改めて自己紹介を行う。

リーダーの勇者剣士ケヴィン、18歳。
大斧使いの前衛戦士デューン、26歳。
後衛で弓と魔術使いミウ、16歳。
同じく後衛で鞭を武器にする治癒師ラダ、20歳。

そして私の方も自己紹介をしたが、どうやらケヴィンだけは私のことをある程度は聞いていたらしい。
「いや、確かに『賢者に会えたら』って思ってたけど……まさか、ねぇ……」
「うん。僕もお話を聞いて驚いた。と言っても直接じゃなくって、言伝の魔術で届いた手紙で知ったんだけどね。最初はミウからの『賢者見つけたから面接お願い』だったのに、そのあとすぐに『ダヴィッテ・ルーフェル・シェリエム三国承認で大賢者となる予定の者だから、無条件で勇者パーティー入りを決定していい』っていう許可証のようなものが届いたんだから」
「ひゃぁ~~~!」
ラダが大袈裟に驚いているが、幼なじみというのは見ていて面白い。
私の周りだとローレンスとマーリウスがそれに近い関係だと思うが、彼らは双子なので子の2人よりももっといろいろと通じ合っている気がする。


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