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第1章
16話
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最近の魔王はどこか余裕がありません。
何時もニコニコ笑顔で私にお菓子を食べさせてくれていた余裕のある魔王は何処に行ったのでしょう?
勿論お菓子はいつも通りおいしいですよ!
今日のお菓子はレアチーズケーキでした。
ヒンヤリと冷たくチーズの濃厚な甘さとまろやかさが口の中に広がります。
美味しくて顔が緩みます。
そんな私を何時もの魔王ならニコニコ笑顔で見ていたのですが。
最近の魔王の目は何と言うか熱が篭っている気がするのです。
ジッ、と見られるとお菓子に夢中な私でも少し居心地が悪い感じがします。
と言うか食べている姿を見られるのは意外と恥ずかしいものだと最近思いました。
こんな綺麗な人の前で顔をだらしなく緩めているのは相当恥ずかしいのでは!?
私が魔王に”あーん”させる時には何時もの穏やかな瞳なのですが。
今までよく羞恥を感じずお菓子を貪ってましたね私…。
魔王は食べる姿でさえ綺麗です。
私は食事を取ると言う概念が消失していたためつい食事に夢中になってしまします。
魔王は私より長く生きているし本当に子供が食事にのめり込むように見えていた事でしょう。
それだけでも恥ずかしいのに、最近の魔王の目は真剣な光を宿していてますます私は恥ずかしくなります。
真剣な光と熱を宿した魔王の瞳は、ミヤハルさんを見るエントビースドさんの眼差しと何処か似ている気がします。
その姿を一片達たりとも目に焼き付けて逃さない番を見る男の瞳。
そんな風にすら思える目を今の魔王はしています。
番…。
魔族は1度番を選ぶと番が死んだ後も新たな番は作らないのだとミヤハルさんが言っていました。
魔王よりずっと長く生きているミヤハルさんもお兄さんと番うまで誰とも縁を結んだことが無いそうです。
番は本能で分かるそうです。
前に魔王に婚姻をしていないのか聞いた時に未婚だと言っていました。
なら魔王は番と出会っていないのでしょうか?
人間が魔族の番である事は無いのでしょうか?
最近の魔王は良く私の事を褒めてくれます。
綺麗になった。
愛らしい。
誰の目にも晒したくない程に魅力的だ、と。
その言葉に私の心臓はバクバクと大きな音を立てて胸を突き破るんじゃないかと言う位胸が締め付けられます。
そんな言葉を甘い声で言わないで下さい。
そんな熱を宿した瞳で私を見ないで下さい。
でないと、私は勘違いしてしまいそうになります。
魔王が私の事を恋情の意味で好いてくれているのではないかと。
私が魔王の番になれるのではないかと。
そう認めます。
私は魔王が恋愛の意味で好きです。
何時からかは分かりません。
最初は美味しいお菓子を食べさせてくれる変わった親切な魔族だと思いました。
暫くして大切にしてくれる魔王を親友だと思いました。
でもミヤハルさんとエントビースドさんを見て、私もあんな風に魔王に想われたいと思うようになりました。
私が差し出したケーキを食べる時、その形の良い唇に目が行きます。
魔王の頬には何度もキスをしましたがその唇にキスをしたらどんな感触がするのでしょうか?
唇も冷たいのでしょうか?
頬よりも柔らかいのでしょうか?
ついついそんな事を考えてしまうのでお茶の時間ですらくつろげません。
そしてお茶が終わると魔王とのお昼寝が待っています。
ギュッ、と抱きしめられると私の激しく動く心臓の音が伝わってしまうのではないかと心配になってしまします。
でも同時にこれ以上ない心地よさに包まれます。
魔王の匂いに安心感を覚えます。
こんな風に誰かに護られるように抱きしめられるのは魔王が初めてです。
でも他の誰に抱きしめられてもこんな熱く切ない想いになる事は無いのだと本能で分かります。
鍛えらえれた体は私とは全然違います。
私も女らしくない筋肉質の硬い体だと思っていましたが魔王の体に比べると天と地の差です。
大きく逞しい体は私をすっぽりと包み込みます。
もし服越しでなく素肌で抱き合ったらもっと魔王に近づけて気持ちが良いのではないかと思ってしまいます。
何時から私はこんなにはしたない女になったのでしょうか?
異性と裸で抱き合いたいなど淑女の考える事ではありません。
魔王だってきっと私と素肌で抱き合いたいと思う訳ありません。
あんなに綺麗で魅力的な肢体を持つミヤハルさんに育てられたのだから魔王の理想は相当高いでしょう。
少なくとも私で満足出来るとは思えません。
あぁでも魔王は私を抱きしめながら髪や額にキスをします。
それが心地よくて、でも今は恥ずかしくて頬が上気しているのが鏡を見ずとも分かります。
魔王の胸に顔を埋めている状態なので気付かれなくて良かったです。
魔王に抱きしめられるのは緊張するけど心地よくて私はつい何時も途中で眠りに落ちてしまいます。
もっと魔王の存在を堪能したいのですが。
意識がウトウトしてきました。
もう数秒で私は眠りに落ちるでしょう。
せめて魔王が私を抱きしめて寝る事が少しでも喜ばしい事だと思っていてくれたら嬉しいのですが。
魔王、貴方の番が現れるまでどうか私を傍に置いといてくださいね…。
その思考を最後に私の意識は完全に睡魔に負けて落ちてしましました。
何時もニコニコ笑顔で私にお菓子を食べさせてくれていた余裕のある魔王は何処に行ったのでしょう?
勿論お菓子はいつも通りおいしいですよ!
今日のお菓子はレアチーズケーキでした。
ヒンヤリと冷たくチーズの濃厚な甘さとまろやかさが口の中に広がります。
美味しくて顔が緩みます。
そんな私を何時もの魔王ならニコニコ笑顔で見ていたのですが。
最近の魔王の目は何と言うか熱が篭っている気がするのです。
ジッ、と見られるとお菓子に夢中な私でも少し居心地が悪い感じがします。
と言うか食べている姿を見られるのは意外と恥ずかしいものだと最近思いました。
こんな綺麗な人の前で顔をだらしなく緩めているのは相当恥ずかしいのでは!?
私が魔王に”あーん”させる時には何時もの穏やかな瞳なのですが。
今までよく羞恥を感じずお菓子を貪ってましたね私…。
魔王は食べる姿でさえ綺麗です。
私は食事を取ると言う概念が消失していたためつい食事に夢中になってしまします。
魔王は私より長く生きているし本当に子供が食事にのめり込むように見えていた事でしょう。
それだけでも恥ずかしいのに、最近の魔王の目は真剣な光を宿していてますます私は恥ずかしくなります。
真剣な光と熱を宿した魔王の瞳は、ミヤハルさんを見るエントビースドさんの眼差しと何処か似ている気がします。
その姿を一片達たりとも目に焼き付けて逃さない番を見る男の瞳。
そんな風にすら思える目を今の魔王はしています。
番…。
魔族は1度番を選ぶと番が死んだ後も新たな番は作らないのだとミヤハルさんが言っていました。
魔王よりずっと長く生きているミヤハルさんもお兄さんと番うまで誰とも縁を結んだことが無いそうです。
番は本能で分かるそうです。
前に魔王に婚姻をしていないのか聞いた時に未婚だと言っていました。
なら魔王は番と出会っていないのでしょうか?
人間が魔族の番である事は無いのでしょうか?
最近の魔王は良く私の事を褒めてくれます。
綺麗になった。
愛らしい。
誰の目にも晒したくない程に魅力的だ、と。
その言葉に私の心臓はバクバクと大きな音を立てて胸を突き破るんじゃないかと言う位胸が締め付けられます。
そんな言葉を甘い声で言わないで下さい。
そんな熱を宿した瞳で私を見ないで下さい。
でないと、私は勘違いしてしまいそうになります。
魔王が私の事を恋情の意味で好いてくれているのではないかと。
私が魔王の番になれるのではないかと。
そう認めます。
私は魔王が恋愛の意味で好きです。
何時からかは分かりません。
最初は美味しいお菓子を食べさせてくれる変わった親切な魔族だと思いました。
暫くして大切にしてくれる魔王を親友だと思いました。
でもミヤハルさんとエントビースドさんを見て、私もあんな風に魔王に想われたいと思うようになりました。
私が差し出したケーキを食べる時、その形の良い唇に目が行きます。
魔王の頬には何度もキスをしましたがその唇にキスをしたらどんな感触がするのでしょうか?
唇も冷たいのでしょうか?
頬よりも柔らかいのでしょうか?
ついついそんな事を考えてしまうのでお茶の時間ですらくつろげません。
そしてお茶が終わると魔王とのお昼寝が待っています。
ギュッ、と抱きしめられると私の激しく動く心臓の音が伝わってしまうのではないかと心配になってしまします。
でも同時にこれ以上ない心地よさに包まれます。
魔王の匂いに安心感を覚えます。
こんな風に誰かに護られるように抱きしめられるのは魔王が初めてです。
でも他の誰に抱きしめられてもこんな熱く切ない想いになる事は無いのだと本能で分かります。
鍛えらえれた体は私とは全然違います。
私も女らしくない筋肉質の硬い体だと思っていましたが魔王の体に比べると天と地の差です。
大きく逞しい体は私をすっぽりと包み込みます。
もし服越しでなく素肌で抱き合ったらもっと魔王に近づけて気持ちが良いのではないかと思ってしまいます。
何時から私はこんなにはしたない女になったのでしょうか?
異性と裸で抱き合いたいなど淑女の考える事ではありません。
魔王だってきっと私と素肌で抱き合いたいと思う訳ありません。
あんなに綺麗で魅力的な肢体を持つミヤハルさんに育てられたのだから魔王の理想は相当高いでしょう。
少なくとも私で満足出来るとは思えません。
あぁでも魔王は私を抱きしめながら髪や額にキスをします。
それが心地よくて、でも今は恥ずかしくて頬が上気しているのが鏡を見ずとも分かります。
魔王の胸に顔を埋めている状態なので気付かれなくて良かったです。
魔王に抱きしめられるのは緊張するけど心地よくて私はつい何時も途中で眠りに落ちてしまいます。
もっと魔王の存在を堪能したいのですが。
意識がウトウトしてきました。
もう数秒で私は眠りに落ちるでしょう。
せめて魔王が私を抱きしめて寝る事が少しでも喜ばしい事だと思っていてくれたら嬉しいのですが。
魔王、貴方の番が現れるまでどうか私を傍に置いといてくださいね…。
その思考を最後に私の意識は完全に睡魔に負けて落ちてしましました。
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