宿り木カフェ

桜居かのん

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Case5 美人故に結婚が難しくなった29歳

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既に二人でうんざりして、私は婚活中の友人に電話をした。

『あー!その上から目線男、私も会ったわ!』

『は?!』

『全然プロフと違うのよねー。
私が会ったの、多分一年前よ?
まだそんな事してるって相当まずいわよねって私が言うのもアレだけど』

「サイトの運営側に連絡した方が良いんじゃない?」

『例えば金をだまし取られたとかセクハラされたとかじゃないから、送っても無視されると思うわよ?』

「十分迷惑な人間だと思うけどねぇ」

『で次がそんな男だったと』

「もうめんどくさくなった」

『うーん、二連続で酷いハズレに当たったのね。
全員が全員じゃないし、まずはまだやってみたら?』

「なんか砂金でも探してるみたいね、膨大の土砂の中から」

『やめてよ、私も泣きそうになるじゃない』

お互いため息をついて会話を終えた。
何だか、自分の価値が酷く落ちた事を痛感させられた。
それは私にはとても恐ろしくてどうしたら良いのかわからない現実だ。
まだ私なら待っていれば、と思っていたけれど、そうしていれば時間だけが経っていくかも知れない。


怖い。

ずっと華やかだった世界から、どんどん私は遠ざけられていく。

よく考えてみたら、男性と沢山知り合っていたくせに、私の為を思って注意してくれた人なんていなかった。

男性から見てこんな今の私はどう写っているのだろう。
今までの手段が使えないのだ、通じないのだ。
安易にネット婚活なんて始めてみたけど、この方法は合っているのだろうか。
わからない、やはり怖い。
私は1人の部屋で泣きそうになっていた。




翌日、婚活サイトは開かずに、ぼんやりとネットサーフィンをする。
ほんとにネットで運命の相手なんかに出逢えるのだろうか。
やはり男性の事で悩むのだ、意見を求めるのなら男性だ。
でも今までの彼氏に聞ける訳が無い。

気兼ねなく相談できたり、愚痴を聞いてくれる異性の友達を作っていれば良かった。
そんな事を思いながら、ネットサーフィンをしていて、ふととあるサイトが目に留まった。

『宿り木カフェ』

客は女性のみ、男性スタッフが話し相手になるという変なサイトだった。
値段も安い。
どうもコーヒー一杯くらいの価格で単に茶飲み友達感覚でお話ししましょうという事らしい。

20回がマックスで話せるらしいけど、1回ずつチケットを購入するようで、途中で止めても良い、一回お試しというか、自己紹介タイムもあるようなので、試しに登録してみた。

希望のスタッフは年齢は20代から30代、ネットで交際相手を見つけて結婚した人。
せっかくだから本当にそんなことで結婚できた人がいるなら話を聞いてみたかった。
正直そんな人がここにスタッフでいるとは思っていなかったけれど。


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