閃光

「俺、母親の中から出てきた時のこと、覚えてるんだよ」

 嘘つけよ、と少年は言う。

「嘘じゃない。全部覚えてるんだよ。俺の母親の中から、粘液まみれで出てきて、それで、銃が、滅茶苦茶ちっちゃな銃が、自分のへその緒と棚がってるのを、俺は見たんだよ」

 それは嘘だよ、と少年は言う。

「嘘じゃない」

 嘘だよ。

 少年はいなくなった。そして、僕は自分がこの世界において異端であることを知る。そして、この世界の外には、もう一つのーーいや、更なる世界が広がっているということも。

 僕はその時まで黙っていなくてはならない。もしもその時が来なければ、その時は……。

 僕はどうするのだろう?
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