完結 契約婚約のはずでした――氷の貴公子に、いつの間にか本気で溺愛されています』
「君が望むなら、契約が終わった後は自由にするといい」
家の危機を救うため、私は氷の貴公子と呼ばれる公爵・アレクシオス様と、期間限定の『契約婚約』を結んだ。
お金のため。
家族を守るため。
そう自分に言い聞かせて、偽りの婚約者として彼の隣に立っていたはずだった。
けれど――。
優しく向けられる眼差し。
他の男性が近づけば見せる、隠しきれない独占欲。
熱を出した私を一晩中気遣ってくれた、大きな手の温もり。
いつしか私は、彼を目で追い、触れられるたびに胸を高鳴らせるようになっていた。
そんなある日、第二王子ジュリアン殿下から思いがけない求愛を受ける。
するとアレクシオス様は、苦しげにこう告げた。
「君の幸せを、私が奪ってはいけない」
「契約が終われば、君を引き止める権利は私にはない」
――そして彼は、私のために身を引こうとする。
嫌……。
離れたくない。
誰かに譲るなんてできない。
そこでようやく私は気づいた。
私が彼の隣にいたかった理由は、お金でも家族のためでもない。
私は――アレクシオス様を愛している。
けれど、彼もまた自分の想いを押し殺し、私を手放そうとしていて……。
「もう、自分を誤魔化せない」
「君を誰にも渡したくない」
偽りから始まった契約婚約。
すれ違い、傷つきながらも、二人が最後に選ぶのは――『本物の愛』。
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