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1章 始まりの高2編

解決策を講じて

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 激昂した表情で迫ってきた啓吾。相当ハイになっているようだ。それは、僕もまた然り。怖いのに期待している自分がいる。
 啓吾が僕のお尻を鷲掴む。りっくんが、既におちんちんの入っている穴を指で拡げて、啓吾のおちんちんを招き入れる。

「んぁ····お尻、あちゅい······苦し····ん゙··ひぅっ」

 啓吾の先っぽが捩じ込まれてくる。純平くんと昂平くんよりも大きい2人のおちんちんだ。本当に入るのだろうか。

「結人、力抜ける? 締まり良すぎて入んねぇ」

「ゆいぴ、口開けて」

 りっくんは喉の奥まで舌を突っ込んで、まるで、口でえっちしているかのようなキスをする。

「んぇ゙っ····ぁ゙····んぅ······」

「お、緩んだ。結人、挿れるよ。痛かったら言えよ」

「ひゃい····入るの? んぁ····やっ、入っ、ゔぅ゙ぅん····」

 ぐっと押し込まれ、2本を飲み込んでしまった。朔の完勃ちよりも圧迫感があり、交互に突かれると快感が引く間もなく押し寄せる。2人のおちんちんが、ナカを押し拡げながら擦れ合う。

「い゙っ、ひぐぅぅ····お゙っ、あ゙ぁ゙ぁぁっ!! ん゙ん゙っ····」

「ゆいぴ、んっ、大丈夫?」

「だい、じょ、ばないぃ····にゃかで、こしゅれてぇっ····ひあぁっ!! んぐぅ····りっく··と、け··ごのおちんち····交互に、ゴリゴリして、も、らめ····噴くの、止まんにゃ、あ゙ぁ゙ぁぁっ····」

「あー、キッツ····。動きづらいな」

「そだね。ゆいぴ大丈夫そうだし、立ってやる? もうちょい奥まで挿れれそうだし」

「いいねぇ。莉久、結人抱えて。俺ムリ」

「わかってるよ。ゆいぴ、1回抜くよ。1本ずつ抜く? それとも、いっぺんに抜く?」

「はぁ··っん゙····いっぺんに? なに?」

「あはは。じゃ、いっぺんに抜くからトばないでね」

 りっくんが囁いた数秒後、啓吾と同時にズルンッと引き抜いた。

「イッ、やぁぁあ゙ぁっ!! なんっ、あっ、イクの、止まんにゃい····」

「おいで。もっと滅茶苦茶に、ぶっ飛んじゃうくらいイかせてあげるから」

 りっくんはそう言って、再び挿入して僕を抱き上げた。りっくんに抱きつき、啓吾のが入ってくるのを待つ。

「今度は、さっきよりも奥まで挿れるからね。ゆいぴが本気で無理だと思ったらアレ言ってね」

「アェ····あぃ····」

「結人、挿れるよ」

 啓吾は囁くと同時に、奥の扉の手前までねじ込んだ。

「うぁっ、バカ啓吾····ゆっくり挿れろよ。キツいんだから」

「ローションつけすぎたかな。めっちゃ滑った。つーか加減難しいな。うわ~····莉久の、ナカでビクビクしてる」

「キモイ事言うなよ。あー、これマジですぐイキそう····。場野、それ後で送ってよ!」

 はたと八千代を見ると、ちゃっかり録画しているではないか。

「やちぉ、なんれ撮ってゆの? やら、恥じゅかひいよぉ」

 八千代は、僕の訴えなど無視して撮り続ける。さらに、啓吾がお尻を開いて見せ、どんどん羞恥心を駆り立てる。

「まぁ、俺らもこれやりたかったかんね。先越されて、実は結構ムカついてたんだよねぇ。後でじっくり見よ。つぅか場野も、俺か莉久とだったら挿れれそうじゃねぇの?」

「また今度な。続けてやったらマジでケツ締まんなくなんぞ」

「んぇ? やちぉ、シないの? 」

「お前な····。んな煽ってくんな。あんま懲りねぇと、朔と挿れてマジでケツ壊してやっからな」

「ひぅっ····」

「あ、めっちゃ締まった。結人、ケツ壊されてぇの? ドM過ぎねぇ?」

「ゆいぴ、首絞めとかスパンキングとか悦んじゃいそうだよね。噛まれるの、イッちゃうくらい好きだし」

「だな。ケツ叩いてやろっか?」

 なんて言って、啓吾がお尻を撫で回す。

「んぅ? 僕、何かダメな事しちゃった? 啓吾、怒ってぅの?」

 ダメだ。快感が全身をぐるぐるしていて、考えが纏まらない。お尻を叩かれるほど、何かいけない事をしてしまったのだろうか。思い当たる節はないのだけれど。

「結人は精神面がアレだな。そういうプレイだって、ちゃんと教えてやんねぇと怖がるだろ」

「なるほどね~····。なんつぅ可愛さだよ。なぁ、結人。俺怒ってねぇよ。叩いたらね、結人がもっと気持ちくなれるかなぁって思っただけ」

「た、叩いて気持ちくなりゅの? なんれ? お仕置きじゃないの?」

「違うよ。そういう性的嗜好····ゆいぴが変態か確かめるんだよ」

 耳元で意地悪をされ、僕は噴き散らかしてしまった。

「あっはは。ゆいぴ、囁いただけで噴いちゃったね。啓吾、やっちゃえ」

 その言葉を聞くや否や、啓吾が僕のお尻をパチィィンとひっぱたいた。

「んあぁぁぁっ!!!? やっ、んはぁっ····」

「すーっげぇ····うねるわ締まるわ····これもうムリ。莉久、俺イキたい」

「ん、俺も。ゆいぴ、ちょっと頑張ってね。俺らイクから」

「ひん゙っ····やぁっ、あ゙ぁ゙っ、うっぁぁあぁ!! もっ、イクの、止まんにゃぁっ! 奥゙っ、それ····交互にダメ、しゅごいのぉっ!! いぎっ····イ゙クイ゙ッッぅあ゙ぁッ!!!」

「あぁ····ゆいぴ、可愛い。イクよ····んんっ····」

「あー····俺も。出る····んぅ゙っ」

 2人は奥にグンッと押し込み、かなり大量に射精した。2本の間から、それがボタボタッと垂れ落ちる。凄い量だ。
 啓吾がおちんちんを抜いて、りっくんが僕をベッドに寝かしてくれた。そして、また勢いよく引き抜く。

「ゆいぴ、足開いて」

 そう言って、りっくんは膝を持って開脚させた。そこを、八千代がバッチリ撮影している。

「えンっろ····穴締まりきんねぇな。ふやっふやじゃん」

「お、垂れてきたな。どうだ結人、2本挿れられんの気持ち良かったか?」

「ん····良かっ··た····」

 八千代に聞かれ、素直に答えてしまった。

「またシたい?」

 啓吾が僕のおデコを撫でて、優しくもえっちな表情で聞く。
 
「えっと、ね····シたい、かも」

 2本でナカを蹂躙される快感は、一度知ってしまうと簡単に手放せない程のものだった。それに加え、従属とでも言うのだろうか。滅茶苦茶にされればされるほど、愛されていると感じてしまう。自分が良いように使われて、それで皆が気持ち良くなってくれるのが嬉しいのだ。

「んじゃ、たまにやってもいいんだな? 勿論、結人に負担がない頻度でするからさ」

「うん。あのね、叩かれるのもね、気持ち良かったよ。痛いのに気持ちぃなんて、変だよね····」

「変じゃねぇよ。莉久が言ってただろ? “性的嗜好”だって」

 前髪をサラッと避けて、おでこを撫でられるのが気持ち良い。まだお尻がヒクヒクしているし、八千代に動画を消すように言わなくちゃいけない。けれど、僕の瞼はもう開いてはくれないらしい。



 翌朝。皆より早く目が覚めた僕は、こそっと部屋を抜け出し、朝食の準備をしにキッチンへ。だが、冷蔵庫を開けて落胆した。

「何にも無いや····」

「コンビニ行くか?」

「わぁっ!? ····びっくりしたぁ。おはよ、朔」

「おはよう。驚かせてわりぃ」

「ううん。大丈夫だよ」

「身体は?」

「大丈夫。なんともないよ。ありがと」

「そうか。なら良かった。コンビニ、どうする?」

「行く。あ、また置き手紙していく?」

 朔と2人で抜け出すのは海以来だ。あの時は皆、凄く焦ったとか言ってたっけ。

「ははっ。そうだな。また、皆が焦るようなやつ書いて行くか」

 そして、朔が書いた置き手紙には『結人は俺が連れていく』とだけ書いてあった。書き終えた朔は「普通だな····」と呟いたが、行き先も何も書いていないので充分焦ると思う。


 コンビニから帰ってくると、案の定八千代がイラつきを顕に待っていた。

「お前ら2人とも、なんで電話出ねぇの?」

「あ、スマホ持ってくの忘れてた」

「俺はマナーモードにしてた。わりぃ」

「はぁぁ····。お前らな、あんな置き手紙して電話通じねぇとか、どんだけ焦ると思ってんだ」

「置き手紙な、面白いの書けなかったと思ってたんだ。焦ったのか····。成功だな、結人」

「お前、いっぺん殴んぞ」

「そう言えば、八千代って朔には手出さないよね」

 朝食の準備を始めながら、ふと気づいた疑問を投げ掛けた。すると、あからさまに八千代が視線を逸らした。

「あー····そうか?」

「そうだな。手出された事ねぇな。袋ぶつけられた事はあるけど。なんでだ?」

「····なんとなく」

「何か理由あるんだろ。誤魔化すなよ」

「八千代、誤魔化すの下手だよね」

「はは。結人に言われてるぞ」

「朔、それは僕に失礼だよね」

「お、わりぃ。で、なんでなんだ?」

「しつけぇな····。あー····クソッ······キレーだからだよ」

「何がだ?」

 見ると、八千代が耳まで真っ赤だ。

「お前の顔がだよ」

「······は?」

 朔が、非常に怪訝そうな顔をした。そりゃそうだ。予想外すぎる返答に、僕も固まってしまった。

「八千代、朔のこと綺麗だって思ってたの? 確かに綺麗だけど、意外····」

「俺の顔、キレーなのか? キレーってなんだ?」

 朔が軽くパニクっている。この2人、なんだか凄く面白い。

「朔の顔は造形美ってレベルで綺麗だと思うよ」

「は····? なんだそれ。初めて言われたぞ」

「お前、散々面がいいって言われてんだろ。そういう意味なんだよ」

「そうだったのか。まぁ、顔なんか何でもいいけど、それが手出さないのと関係あんのか?」

 何でもいいとは言ってくれたものだ。モテる事など気にしない朔にとっては、この上なくどうでもいい事なのだろう。羨ましい限りだ。

「関係····って言われるとわかんねぇけど、なんとなく手出し辛ぇんだよ」

 八千代は卵を掻き混ぜながら、照れくさそうに言った。

「そうか。てっきり、俺が面白い事とか言えねぇから、絡み辛いのかと思ってた」

「朔は充分面白いと思うよ」

「そうなのか? 俺と喋っててつまんなくねぇか?」

「え、そんな事思ってたの? なんで? 朔と話すの楽しいよ。なんか凄く落ち着くし」

「····そうか」

 朔はベーコンを切りながら、ホッと胸を撫で下ろすような、やんわりと嬉しそうな笑みを零した。

「ねぇ、僕も何か手伝いたいんだけど」

 そう、僕だけちょこんと椅子に座らされ、何も仕事をもらえないでいる。

「だってお前、包丁危ねぇって大畠が言ってたから仕方ねぇだろ····」

「朔だって料理した事ないんでしょ? なんで普通に使えてるの?」

「····なんでこれが使えねぇんだ?」

「ぶ、不器用だから?」

 なんだか物凄く悔しい。

「そんじゃ結人、こっちで焼いてみるか?」

 そう言って、八千代が呼んでくれた。火傷に注意しながら、朔が切ったベーコンを炒め、八千代が溶いた卵を流し込む。それを箸で混ぜながら焼く。
 程よく火が通ったところで、スクランブルエッグの完成だ。サラダとクロワッサンを添えて、テーブルに運ぶ。

「あっ! りっくんと啓吾起こすの忘れてた」

「そんじゃ、こう言ってみろ──」

 とんでもなく恥ずかしいセリフを、八千代に耳打ちされる。

「──えぇっ!? そんなので起きるの?」

 八千代に言われ、半信半疑だが廊下に向かってそれを言う。

「啓吾~、りっく~ん、起きて~。さ、先に僕を抱き締めた人に、フェっ、フェラしてあげるよっ」

 まさかとは思ったが、2人が同時に部屋を飛び出してきた。そして、すっごい勢いで僕に抱きつく。ちょっと浮いたんだけど····。

「僅差で莉久だな。大畠、手大丈夫か?」

「忘れてた。めっちゃ痛い」

「わぁぁっ!! 啓吾ごめんねっ! 僕がくだらない事言ったから。まさかホントにあんなので起きると思わなくって····」

「や、大丈夫。莉久が避けてくれたから。あはは。マジで体が勝手に動いた」

「ホント、感謝してよね。ゆいぴ、おはよ。後でご褒美頂戴ね」

「あ、そっか。そうだよね。もう····八千代のせいだからね!?」

「場野に言われたんだ。場野、グッジョ~ブ」

 りっくんがとてもご機嫌だ。それに反して、啓吾が若干拗ね気味だ。

「お、朝飯作ってくれたんだ。美味そう」

「そう、その為に呼んだんだった!」

「思った以上に来んの早かったな。単純なヤツらは扱い易いな」

 八千代はケラケラ笑いながら席に着いた。りっくんと啓吾が洗顔から戻り、皆席に着いたら揃っていただきます、だ。朝のこの幸せな時間が、今日という日を輝かせてくれる。


「でさぁ、挨拶っていつ行くの? 流石に今日じゃねぇよな?」

「そうだな。色々準備もあるしな」

「何か準備するの? 僕も何か準備するものある? あっ、心の準備?」

「ははっ。お前は心の準備だけしてろ。俺らは見てくれから整えるわ」

「え、そのままじゃダメなの?」

「流石に、こんなチャラチャラした格好では行けねぇよ」

 ジャージをだらしなく着崩している啓吾が言った。説得力はある。

「なんで? いつもの皆で良くない?」

「相手は未来の奥さんのご両親だぜ? 失礼のないようにしたいじゃん」

 啓吾がアホな事を言っている····と思ったが、皆も同意見のようだ。なるほど、みんな全身全霊で挑む気なんだ。

「まずは、大畠の服だな。こいつ、チャラ男な服しか持ってねぇだろ」

「何着せる? フォーマルな感じが良いよね」

 りっくんが、啓吾をじっくりと見て言う。

「大畠がフォーマル····? 想像できねぇな。莉久の服貸してやればいいんじゃないか? ジャケットとかよく着てるだろ」

「そうだね。下は? ダメージ受けてないのとか、単色のって持ってる?」

「んぇ~····無いなぁ」

「なんであんな派手なんしか持ってねぇんだよ。····お前、バイトの面接何着て行った?」

「いつものサルエルにパーカー」

「制服で行かなかったの? バイト始めた頃、ほぼ金髪だっただろ? よく受かったなぁ····」

 りっくんが呆れている。いや、逆に感心しているのだろうか。

「え、店長にオシャレだね~って褒められたんだけど」

((((どんだけ軽いんだよ····))))

「ま、いいや。後で家から服持ってくるから、色々着てみてよ」

「おっけ····って、俺が行った方が楽じゃね?」

「確かに。んじゃ、そうしよっか」

 こうして、2人はりっくんの家に行く事になった。けどその前に、僕は啓吾をお風呂に入れてあげるんだ。


「啓吾、痒い所ない?」

「ないよ。めーっちゃ気持ち良い」

「縫ったとこ痛くない?」

「ちょっと染みるけど、案外大丈夫だわ。もっと痛いかと思ってた」

 啓吾は浴槽に浸かり、器用な座り方をして仰向けで頭を出している。丁度、僕が椅子に座ると膝に頭を乗せられたので、傷口に気をつけながら洗う。

「その態勢、しんどくない?」

「大丈夫だよ。ケツだけあったかいの気持ち悪いけど」

 脚を反対側の浴槽の縁に掛けて、ほぼ浮いた状態でお尻だけお湯に浸かっているのだ。

「流すよ。目瞑っててね」

「はいはーい」

 普段は見ることのない角度で啓吾を見る。やっぱりカッコイイなぁなんて思いながら、無事に頭を洗えた。
 次は身体だ。腕は、ゴミ袋で包んでいるので濡れる心配はない。

「啓吾····、なんで勃ってるの?」

「や~····なんかさ、洗ってもらってんのえっちだな~って思ってたら勃った」

「あはは。なにそれ、わかんないよ~」


 なんて、キャッキャしながら洗っていると、りっくんに早く出ろと急かされた。また僕が逆上せてしまうだろうと、叱られてしまった。つい先日も、啓吾と入ってふざけあっているうちに逆上せてしまったのだ。
 お風呂からあがって、啓吾の髪を乾かしてあげる。片手でセットができないからと、新アイテムのカチューシャで対処していた。

(あの頭で服選ぶの、難しそうだなぁ····)

 という僕の心配は他所に、2人はりっくんの家に向かった。啓吾のいつもと違う服装なんて、楽しみでしかない。
 そして、残された僕たちはと言うと、八千代のファッションショーをしていた。こちらも同じく楽しみだ。

「八千代も啓吾の事言えないんじゃない? チンピラみたいな服多いよね」

「あ? どこがチンピラなんだよ」

 僕と朔は、クローゼットを漁りながらめぼしい服を探す。

「この間、借りた時言い辛かったんだけどな。こんな柄物のシャツ、ヤクザ映画でしか見ねぇぞ。この和柄なんか、お前が着ると高校生には見えねぇ。なんでこんなホストみたいなスーツがあるんだ?」

「あっはは! 朔、めちゃくちゃ言うね。あ、これは? 普通のジャケットあるよ。なんで着ないの? 絶対似合うよね」

「確かに勿体ねぇな。んー、それなら下はこれだな。中····シャツは柄物しかねぇのか?」

「あった。これこれ! 僕ね、八千代の黒シャツ好き」

「お、そういやこないだ買ってたな」

「結人が見てぇっつぅから買ったやつな。なんだよ、そんなに柄物ってチンピラっぽいか?」

「八千代が着るからだろうね。啓吾が着たら、たぶん雰囲気違うと思うよ。チャラくなるだけだろうけど」

「お前らは服装以前に、雰囲気がそうなってるんだと思うぞ。だから、服装くらいはちゃんとして行かねぇとダメだろ」

「あっそ····。んで、どれ着りゃいんだよ?」

 八千代が不貞腐れてしまったが、納得はしているようだ。朔はハッキリ言い過ぎな気もするが、的を得ているので反論のしようもない。

 僕たちが見立てた服に着替えた八千代を見て、思わず息を飲んだ。持っているのも知らなかったジャケットだったが、やはり凄く似合う。
 ピンと通った背筋が大人っぽくて、どう見ても高校生には見えない。無論、チンピラにも見えない。

「なかなか良いな。それで行こう」

「八千代、かっこいぃ····」

「結人、このまま抱いてやろうか?」

 八千代が耳を摘まんで囁いた。いつもと雰囲気が違う所為か、心臓が弾けそうなほどドキドキする。

「ひぁっ····えっ、なっ、はぁ!?」

「はははっ。お前、顔真っ赤じゃねぇか。なに、こういうの好きなんか?」

「べっ、別にいつもの八千代も好きだもん! それもカッコイイけどさ」

「で、抱いてほしいか?」

「····うん」

 返事と同時に担がれて、ベッドにふわりと投げられた。

「ひゃぁあ! こ、怖いよぉ」

「お前がビビって縮こまんの、めちゃくちゃ可愛いんだよ」

「なにそれぇ····。んぁ、八千代····」

 八千代が僕に跨り、垂れた髪をかき上げる。ベッドの軋みが、心臓を跳ねさせて爆ぜそうだ。
 僕は、まっすぐ目を見てを八千代を呼んだ。やっと八千代に抱いてもらえる。そう思うと、愛しさで胸がいっぱいになった。昨日は抱いてもらえなかったから、凄く触れたかったのだ。

「ん?」

「えっと····ね、昨日、八千代ともえっちしたかったの。寝ちゃってごめんね?」

「気にすんな。お前がしっかり寝れたんなら、そんで良いんだよ」

「八千代····、愛してるよ」

 僕は、思わずそう口走った。聞き慣れないであろう僕の愛の囁きに、八千代も朔も驚いた様子だ。

「どした? なんか不安か?」

「ううん。大丈夫だよ。皆ね、僕の事を一番に考えて、凄く大切にしてくれてるなぁって。皆の言葉とか、僕の扱いとかで身に沁みて愛情を感じるの。それがね、凄く嬉しいし安心できるんだ。そしたらね、無性に言いたくなったの」

「そうか。····お前が不安とか罪悪感で押しつぶされねぇかってヒヤヒヤすんだよ。気づかねぇうちに、腫れ物に触るみてぇになっちまってんな。もっと、上手くフォローしてやりてぇんだけどな」

「何言ってるの。こうして、また受け入れてもらえるだけで充分すぎるよ。それに、皆が大切に想ってくれてるおかげだよ。僕がまた笑えてるの」

 僕がニカッと笑うと、八千代はそっと瞼にキスを落とし、ゆっくりと僕に触れた。すっと服に手を入れ、横腹に添えた手を胸へと滑らせる。

「ん····。八千代の手、あったかいね」

「お前、身体冷えてんじゃねぇ?」

「寒くないよ。大丈夫だから、触るのやめないで?」

 僕は八千代の首に手を回し、クッと引き寄せてキスをした。それに応えて激しいキスを返される。

「んぇ゙····はぁ、んっ····」

「お前、覚悟できてんだろうな····」

「できてぅ····いっぱい、気持ちくしてもらうの」

「よし、アイツらが帰ってくるまで、滅茶苦茶に抱き潰してやるからな」

 青筋を浮き立たせた雄の顔で言われた。耳元で言われたわけでもないのに、お尻がキュゥゥと締まった。
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