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サバゲーって知ってる
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しおりを挟む「ヒーロのM4に比べれば、射程は短い。あれはフーの最高傑作だからな」
「たはは……」
苦笑を浮かべて、もう一度、三発セミート点射をして、構えを解いた。
「こんな感じネー。おとチャンもやってみヨー」
ひょいとエアソフトを音羽に渡した。
「は、はい」
立ち位置が入れ替わり、尋の真似をして構える。
「OK OK! でも、もっと肩の力抜いてネー。力まなくてもいいヨー」
「はい」
見よう見まねで構えてみると、エアソフトのボディの上に載った筒を、自然と覗き込むような姿勢になった。筒の中には赤い点が浮かび上がっている。
「サイトを覗けてるネー。その赤い点を的と重ねてネー」
「点を重ねる……」
体を動かして、50メートル先の丸い的と赤い点を重ねた。
「OK! 安全装置を外して、引き金を引くだけデスネー」
「はい……」
ぶしゅ。
軽く引くと、モーターとギアの駆動音。スプリングのしなり。シリンダーの頭を叩くピストン。何十分の一秒で起きる複数の音。
その音に驚いたが、なによりも飛び出したBB弾が、まっすぐに的に向かって飛んでいき、当たった事が驚きだ。
「あたった……」
「Oh! よく当たったね! フツー、初めてじゃ当たらないヨー!」
隣りでぴょんぴょん飛び跳ねながら喜ぶ尋。
「すごいネー。おとチャンは天才なんだネー!」
そこまで褒められることなのだろうか。
尋だって当ててみせたし、ひとつの弾痕に何度も弾を通してみせた。
それに比べれ、当てることくらいなんてこともないと、音羽は思った。
「もっと撃ってみヨー。弾はいっぱいあるからネー!」
ほらほら、いっぱい撃って! と急かされ、音羽は構えを取り直した。
それから最終下校時間まで撃ち続けた。
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