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浄水場の設備保全係として、22年間一日も休まず点検を続けてきた44歳のおっさん・田所健二。 台風の夜、ポンプ室で光る点検口を開けた彼が目を覚ましたのは――異世界の枯れ井戸の底だった。 彼に与えられた職業は、この世界に存在しない【保全技師】。 スキルは【点検】【修繕】【予防保全】と、どれも地味なものばかり。 だがこの世界のスキルは「続けた日数」で育つ。8,030日連続の点検実績を持つ健二の熟練度は、とっくに上限を突破していた。 【点検】すれば、井戸の詰まりも、魔物の弱点も、赤い印で丸見え。 【修繕】すれば、三か月枯れていた井戸から水があふれ出す。 剣も通らない岩喰いトカゲも、点検ハンマーで配管を叩く程度の力でコンと叩けば一撃で崩れ落ちる。 「いや、そんなに強く叩いてないんだけどな」 本人に最強の自覚はまったくない。 井戸番の娘ミナの手料理に舌つづみを打ち、偏屈なドワーフと工具談議に花を咲かせ、なついたスライムと畑を耕す。 そんなのんびりした日々の裏で、王国じゅうの井戸が次々と枯れはじめていて――。 「まあ、点検してみないとね」 壊れる前に見つけて、壊れたら直す。 地味な仕事を積み重ねてきたおっさんが、異世界の水と人々の暮らしを守る、ほのぼの無双ファンタジー。
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