『鬼姫』

「君には申し訳ないとは思ってはいるが……僕だって、1度しかない人生くらい、幸せに生きたいんだ。薄っぺらい笑みばかりたたえて、人の言うことに肯定ばかりして、人形のような君と、…一緒にいたって幸せにはなれない!」

なんですか、それ。

ガツンと鈍器で頭を殴られたような衝撃を脳内で受けた。

プリンセス・アンジー。それが私の職業。
おしとやかで無口で従順でニコニコとし、子供を作り、国民に癒しを与える、それが仕事。

だから小さい頃から自我なんてなかった。やりたいことをするなんて許されなかった。

諦めていたのよ。そうすることでしか、私のこの城の中での存在意義はなかったから。

好きでない人との結婚だって、仕事のうちだって、受け入れていたのに。

ようやく政治的な関連で国の為になることができるって、少し喜んでいたのに。

破棄。他ならぬ、私が原因で。

私の、存在って何?

私、何で生きてるの?

そう思うと止まらなかった、止められなかった。

私の中から溢れ出てくる自我、失望感、それらはメキメキと、発狂する私を蝕んで行くのだった。
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