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友達
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1週間経つと言葉がお互いの言葉が分かるようになった。はじめてお互いの言葉が分かるようになるとこの世界の事本当の意味で分かるようになった。
この国がシュターレン国のザダンという町であること。
アレンが独身で、狩人として森で暮らしている事。
アレンと年が同じなこと。
「カオリ」
アレンが練習した日本語の名前で香織の名前を呼ぶ。香織はアレンに名前を呼ばれるとくすぐったい気持ちになる。恋人を呼びように優しい声で呼ばれることなんて自分の人生であっただろうか。向こうと文化が違うのだから、仕方がないと思いアレンの気持ちに気が付かないようにしていた。
いつか、諦めてくれる。いつか素敵な女性が現れて彼と結婚する。邪魔な香織は出て行かないといけない。口にせず、その時のために香織はアレンと勉強をする。
――半年後
アレンと香織は行為をしたことがなかった。口づけと手で触るだけ。何気なく入った洋服店で行為のことを聞かれて、はぐらかすと気の毒そうな顔をされた。お腹周りのサイズを確認されて、以前より痩せたことを言われた。
この世界に来てから香織は健康的な食事のおかげか以前と比べて筋肉質になり、痩せていた。食事が塩コショウしかなかったので市場で売られている香辛料を購入して、調理をするとやりたかった知識が沢山あふれ出る。小麦も売られていたので火の調整も難しい窯でパンを作れた時は感動した。瓶が売られていたのでリンゴを使って天然酵母を作り何度も作り改良を重ねたパンは柔らかく販売してほしいと言われている。
この世界で役に立っている。
顔を見てお礼を言われると嬉しい気持ちになる。以前と比べて人の顔をよく見るようになった。前と比べて体調もいい、生理の時も体が軽い。月に一度体調の確認のため、アレンと共に寺院に併設された病院に行く。目が悪かったが治療して良くなったので眼鏡も外せるようになった。光を見つめていただけなのに。高度な技術があるのだろう。
首輪を外して後頭部が噛まれていないか確認される。
「カオリ、あなたは子供が妊娠できる体ですよ」
先生に言われても香織は曖昧な態度を取ることしか出来なかった。何か言いたい先生をアレンは首を振って止める。薬を貰って無言で出て行くと、お酒を買って馬に乗って家に帰る。
次の日、家に市場でパンが欲しいとよく言っているリリアンという少女がやってきた。リリアンは最初に出来た友達で女性しか知らない知識を教えてくれる。アレンが作ってくれた外にあるテーブルと椅子にお茶を用意するとアレンの事を聞かれた。大きな木の側にあり、黄色い葉っぱが繁々と咲いている。
「カーリー、この世界では交尾がとても大切な事なの。アレンはとてもいい番になる。出来ないのはどうして?」
香織は目を伏せたまま、リリアンに答えた。アレンは家の中にいて声が聞こえていないことを確認した。
「女として魅力がないから。夫と結婚してから行為というものが出来なかったわ。」
「どうして?」
冷めているお茶をゴクリと飲んでも香織は口がカラカラになっていた。恥ずかしい部分をリリアンに聞かれる。向こうの世界の友人にも聞かせたことがなかった女の部分。
「勃起するんだけれど、中折れして射精してくれないの。私の事、女として見てくれなくて。結婚したら家族になるんですって。きっと中が気持ちよくないの。アレンも失望するわ。」
「それはカーリーのせいじゃない。私から言うのもあれだけど、アレンは我慢している。アレンはいい人よ、伴侶としてカーリーのいい番になれる。カーリーのその心の傷はいつ癒えるの?」
「……いつ癒えるんだろうね。分からないわ。アレンはいい人ね、そばにいて実感するわ。彼に愛されたら至上の喜びよ。」
リリアンは、ぱあっと顔が明るくなり香織の手を握る。
「でも、彼も夫と同じようになるのが怖い。もう否定されたくないの。アレンの邪魔になるなら、この家を出て行くわ。アレンは魅力的だから違う人と子供を作ればいいの。生まれてくる子は可愛い子よ。」
二人はその後市場の最近できたお店の話をしたり、香織の世界の話をした。夕暮れになると馬に乗ったリリアンは思い出したように香織に言った。
「もうじき冬になるわ。ここで冬を越すの初めてでしょう?アレンによく聞いてね」
「分かったわ、リリアン元気でね」
リリアンに別れを告げて、香織が家の中に入ると食事がちょうどよく出来ていてアレンが用事があると家から出て行く。用があると言って、今日は帰ってこないと香織の顔を見ずに言う。
戸締りをしっかりするように言われて、香織は初めて家でひとりで過ごす。
この国がシュターレン国のザダンという町であること。
アレンが独身で、狩人として森で暮らしている事。
アレンと年が同じなこと。
「カオリ」
アレンが練習した日本語の名前で香織の名前を呼ぶ。香織はアレンに名前を呼ばれるとくすぐったい気持ちになる。恋人を呼びように優しい声で呼ばれることなんて自分の人生であっただろうか。向こうと文化が違うのだから、仕方がないと思いアレンの気持ちに気が付かないようにしていた。
いつか、諦めてくれる。いつか素敵な女性が現れて彼と結婚する。邪魔な香織は出て行かないといけない。口にせず、その時のために香織はアレンと勉強をする。
――半年後
アレンと香織は行為をしたことがなかった。口づけと手で触るだけ。何気なく入った洋服店で行為のことを聞かれて、はぐらかすと気の毒そうな顔をされた。お腹周りのサイズを確認されて、以前より痩せたことを言われた。
この世界に来てから香織は健康的な食事のおかげか以前と比べて筋肉質になり、痩せていた。食事が塩コショウしかなかったので市場で売られている香辛料を購入して、調理をするとやりたかった知識が沢山あふれ出る。小麦も売られていたので火の調整も難しい窯でパンを作れた時は感動した。瓶が売られていたのでリンゴを使って天然酵母を作り何度も作り改良を重ねたパンは柔らかく販売してほしいと言われている。
この世界で役に立っている。
顔を見てお礼を言われると嬉しい気持ちになる。以前と比べて人の顔をよく見るようになった。前と比べて体調もいい、生理の時も体が軽い。月に一度体調の確認のため、アレンと共に寺院に併設された病院に行く。目が悪かったが治療して良くなったので眼鏡も外せるようになった。光を見つめていただけなのに。高度な技術があるのだろう。
首輪を外して後頭部が噛まれていないか確認される。
「カオリ、あなたは子供が妊娠できる体ですよ」
先生に言われても香織は曖昧な態度を取ることしか出来なかった。何か言いたい先生をアレンは首を振って止める。薬を貰って無言で出て行くと、お酒を買って馬に乗って家に帰る。
次の日、家に市場でパンが欲しいとよく言っているリリアンという少女がやってきた。リリアンは最初に出来た友達で女性しか知らない知識を教えてくれる。アレンが作ってくれた外にあるテーブルと椅子にお茶を用意するとアレンの事を聞かれた。大きな木の側にあり、黄色い葉っぱが繁々と咲いている。
「カーリー、この世界では交尾がとても大切な事なの。アレンはとてもいい番になる。出来ないのはどうして?」
香織は目を伏せたまま、リリアンに答えた。アレンは家の中にいて声が聞こえていないことを確認した。
「女として魅力がないから。夫と結婚してから行為というものが出来なかったわ。」
「どうして?」
冷めているお茶をゴクリと飲んでも香織は口がカラカラになっていた。恥ずかしい部分をリリアンに聞かれる。向こうの世界の友人にも聞かせたことがなかった女の部分。
「勃起するんだけれど、中折れして射精してくれないの。私の事、女として見てくれなくて。結婚したら家族になるんですって。きっと中が気持ちよくないの。アレンも失望するわ。」
「それはカーリーのせいじゃない。私から言うのもあれだけど、アレンは我慢している。アレンはいい人よ、伴侶としてカーリーのいい番になれる。カーリーのその心の傷はいつ癒えるの?」
「……いつ癒えるんだろうね。分からないわ。アレンはいい人ね、そばにいて実感するわ。彼に愛されたら至上の喜びよ。」
リリアンは、ぱあっと顔が明るくなり香織の手を握る。
「でも、彼も夫と同じようになるのが怖い。もう否定されたくないの。アレンの邪魔になるなら、この家を出て行くわ。アレンは魅力的だから違う人と子供を作ればいいの。生まれてくる子は可愛い子よ。」
二人はその後市場の最近できたお店の話をしたり、香織の世界の話をした。夕暮れになると馬に乗ったリリアンは思い出したように香織に言った。
「もうじき冬になるわ。ここで冬を越すの初めてでしょう?アレンによく聞いてね」
「分かったわ、リリアン元気でね」
リリアンに別れを告げて、香織が家の中に入ると食事がちょうどよく出来ていてアレンが用事があると家から出て行く。用があると言って、今日は帰ってこないと香織の顔を見ずに言う。
戸締りをしっかりするように言われて、香織は初めて家でひとりで過ごす。
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