老いない花は、返事を待つ
海と山に囲まれた青凪町には、アゲラタムの花に願いを告げると、返事が届くまで色あせないという言い伝えがある。
丘の園芸店「青枝園」を手放す決断に迷う花村紬は、記憶が薄れゆく祖母・澄江のそばで、青紫の花を守っていた。
ある日、古い菓子缶から見つかったのは、五十四年前の手紙と、投函されなかった一通の返事。
そこには、若き日の祖母と育種家・有馬清一が交わした約束、奪われた名誉、そして「あなたの返答を待ちます」という切なる言葉が眠っていた。
もう遅すぎるのか、それとも今からでも届けられるのか。
長く色あせない花が、世代を越えて失われた信頼と幸せを結び直す、静かで心温まる再生の物語。
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