香りの向こうで君を思い出す
十二年前、会えなかった初恋の人。
忘れたつもりだった彼を連れてきたのは、ローズマリーの香りだった。
祖母を亡くし、遺品整理のため十二年ぶりに故郷へ戻った朝凪史依。
誰もいない家に漂ったローズマリーの香りが、彼女の胸に封じていた少年、真柴燈生の記憶を呼び覚ます。
あの日、駅で待っても彼は来なかった。
それ以来、二人の時間は止まったまま。
しかし祖母が残した木箱と、庭の古いローズマリーの根元から見つかった一通の手紙によって、史依は十二年間知らなかった真実を知る。
「俺は史依が好きだ。ずっと好きだった」
届かなかった想いは、本当に終わっていたのだろうか。
やがて、十二年ぶりに再会した二人。
失った時間は取り戻せない。けれど、過去を抱えたまま未来へ歩くことはできる。
ローズマリーの花言葉「追憶」「思い出」「変わらぬ愛」をモチーフに描く、忘れられなかった初恋と人生の再生をめぐる、大人の再会恋愛短編。
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