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直した椅子が消えた。
その椅子を頼んだ父親のことを、娘はもう覚えていなかった。
魔法が失われて百年。
辺境の村で暮らす修繕屋の息子レトは、壊れたものを直すのが得意な、ごく普通の少年だった。
けれど、村で始まった奇妙な「欠落」は、やがて妹エナにまで及ぶ。
食卓から皿が一枚減り、父は娘を見て「どこの子だ」と尋ねる。
名前を書き残しても、思い出を語っても、妹は薄れていく。
「ここにいろ」
消えかけた手を握りしめたとき、百年間途絶えていた魔法が目を覚ました。
だが、救えたはずの妹は、レトから離れると再び消え始める。
二人は治療法を求め、失われた魔法文明の遺跡へ旅立つ。
なぜ魔法は消えたのか。
なぜ、誰も使えなかった力が自分に宿ったのか。
その答えを追う一方で、レトが訪れた土地では、止まっていた魔導具が動き始めていた。
これは、妹を救いたかった少年が、世界の秘密に触れていく物語。
文字数 44,129
最終更新日 2026.10.05
登録日 2026.09.29
東京二十三区には、それぞれ王がいる。
一年前まで、そんなものはいなかった。覚えているのは、俺だけだ。
恋人・澪が消えた夜から、東京は変わった。
彼女のスマートフォンに残された二十三の名前。それは、この街を支配する王たちの名前だった。
一周忌の朝、黒瀬玲司は、区境を越えて王の能力を借りる《越境》に目覚める。そして、真相を追う手段を得た彼に、王が殺意を向ける。
区王の能力説明には、一つだけ嘘がある。
その嘘を見抜けるかどうかが、生死を分ける。
澪に何があったのか。
なぜ王たちは、俺を殺そうとするのか。
答えを求め、玲司は次の区境を越える。
文字数 22,979
最終更新日 2026.10.05
登録日 2026.10.02
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