茜の袖を振る朝
九月十六日。
染め職人の紗和は、二十三年前に諦めた学びを取り戻すため、半年間の京都行きを決めた。
夫の圭吾は「好きにすればいい」と言うばかり。
反対されないのに、紗和の胸には寂しさが残る。
そんな折、かつての恩師・川瀬から、海外へ旅立つ娘を見送るための茜染めのハンカチを頼まれた。
言えなかった思いを、今度こそ見える形で伝えたい――。
小さな黄緑色の花を咲かせ、土の下に赤を秘めるアカネ。
染め重ねるほど深まる布の色とともに、紗和は夫に本当の気持ちを告げる。
額田王の歌と花言葉「私を思って」をモチーフに、離れても続く夫婦の時間を描く短編。
人生の後半で自分の道を選ぶ不安と喜びを、秋の朝の見送りに重ねた物語です。
染め職人の紗和は、二十三年前に諦めた学びを取り戻すため、半年間の京都行きを決めた。
夫の圭吾は「好きにすればいい」と言うばかり。
反対されないのに、紗和の胸には寂しさが残る。
そんな折、かつての恩師・川瀬から、海外へ旅立つ娘を見送るための茜染めのハンカチを頼まれた。
言えなかった思いを、今度こそ見える形で伝えたい――。
小さな黄緑色の花を咲かせ、土の下に赤を秘めるアカネ。
染め重ねるほど深まる布の色とともに、紗和は夫に本当の気持ちを告げる。
額田王の歌と花言葉「私を思って」をモチーフに、離れても続く夫婦の時間を描く短編。
人生の後半で自分の道を選ぶ不安と喜びを、秋の朝の見送りに重ねた物語です。
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ワシの子を産んでくれんか
妻に先立たれ、息子まで亡くした老人は、息子の妻である若い未亡人と二人きりで古い家に残された。
「まだ若い、アンタは出て行って生き直せ」――そう言い続けるのは、彼女の未来を守りたい善意であり、同時に、自分の寂しさが露見するのを恐れる防波堤でもあった。
しかし彼女は去らない。義父を一人にできないという情と、家に残る最後の温もりを手放せない心が、彼女の足を止めていた。
昼はいつも通り、義父と嫁として食卓を囲む。けれど夜になると、喪失の闇と孤独が、二人の境界を静かに溶かしていく。
ある夜を境に、彼女は“何事もない”顔で日々を回し始め、老人だけが遺影を直視できなくなる。
救いのような笑顔と、罪のような温もり。
二人はやがて、外の世界から少しずつ音を失い、互いだけを必要とする狭い家の中へ沈んでいく――。