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第114話 顔面蒼白
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「話を戻します」
ユキが眉間に縦じわを寄せて言う。
「もう既にご存じかとは思いますが、星崎さんと同行していたレイナが当社の図面を勝手にシュレッダーにかけまして。そのせいで施工に大きな支障をきたしているんです」
『ああ、あの件ね』
まるで他人事のような口調だ。
「その図面の修復のために、私と佐野さんは今こうして現場事務所にいるんです」
『違うよ。あれは鈴木がやったんだ。レイナじゃない。だから責任を取らせて解雇したんだ』
何をぬけぬけと。佐野の目がつり上がる。コーヒーを飲んでとりあえずは収まった怒りが再び爆発する。
「お言葉ですが、鈴木さんはその時、現場に出ていて現場事務所には不在でした。そしてレイナがシュレッダーをかけたのを当社の者が見ております」
『変だねえー、星崎は鈴木がやったと言ってたよ。だからその場で鈴木をどやしつけ、星崎と鈴木とレイナの三人で土下座して謝罪したんだと。いやあ、レイナまで土下座したって聞いた時は感激した。彼女の誠実さと献身ぶりにはホント頭が下がる。当社の社員にしたいくらいだ――というか、ここだけの話なんだが、私の秘書兼、星崎の補佐として内定してるんだ。もちろん正社員としてね』
「――ッ!」
さすがにユキも驚愕の色を隠せない。佐野に至っては顔面蒼白だ。
ユキが眉間に縦じわを寄せて言う。
「もう既にご存じかとは思いますが、星崎さんと同行していたレイナが当社の図面を勝手にシュレッダーにかけまして。そのせいで施工に大きな支障をきたしているんです」
『ああ、あの件ね』
まるで他人事のような口調だ。
「その図面の修復のために、私と佐野さんは今こうして現場事務所にいるんです」
『違うよ。あれは鈴木がやったんだ。レイナじゃない。だから責任を取らせて解雇したんだ』
何をぬけぬけと。佐野の目がつり上がる。コーヒーを飲んでとりあえずは収まった怒りが再び爆発する。
「お言葉ですが、鈴木さんはその時、現場に出ていて現場事務所には不在でした。そしてレイナがシュレッダーをかけたのを当社の者が見ております」
『変だねえー、星崎は鈴木がやったと言ってたよ。だからその場で鈴木をどやしつけ、星崎と鈴木とレイナの三人で土下座して謝罪したんだと。いやあ、レイナまで土下座したって聞いた時は感激した。彼女の誠実さと献身ぶりにはホント頭が下がる。当社の社員にしたいくらいだ――というか、ここだけの話なんだが、私の秘書兼、星崎の補佐として内定してるんだ。もちろん正社員としてね』
「――ッ!」
さすがにユキも驚愕の色を隠せない。佐野に至っては顔面蒼白だ。
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