冬に出会って春に恋して
高身長高収入高学歴。顔良しスタイル良し将来有望。人生イージーゲームのように生きてきた立花柊。結婚願望も恋人を欲することもなく遊べる相手が息抜き程度にいればいいと考えるようになった三十代に突入し、昇進して役職を得たことによる多忙さ極める日々に遊びが日常の中から外れつつあったある日、とあるイベントに遭遇した。
ナンパだ。それも一人に対し二人でのナンパ。遊び相手に飢えている若者ではなく見るからにチンピラ。
相手は素人が見てもわかるほどの上質な着物に身を包んだ二十歳前後だろう若者。
困っている様子はあったが対応の仕方の気の強さに通り過ぎようと考えていた柊の身体は思考とは裏腹に走り出していた。女の手をしっかりと掴んで。
立花柊、嫌いなことは面倒事。のはずが、自らその面倒事に首を突っ込んでしまったことを後悔しながらも足は止めなかった。
聞けば女は齢十七。しかも絶賛家出中。その中身はスマホどころかテレビさえ知らない現代を生きる古代人のような娘で。
面倒でしかない相手のはずが、ひょんなことから始まった女との同居生活。婚約者と偽り、旦那様と呼ばれる偽りの日常。
期限付きの偽りの生活の中、二人は少しずつ想いを寄せ合うが──……
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