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第4章 ギルド拡充

第75話 オマージュ

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 「わっしょーい! やって来ました! 3級!」

 「外に出るのを嫌がってたくせに~。いざ出るとテンション高いね~」

 なんだろうね。外に出るまでの過程が面倒なのかな。いざ出ると楽しくなってくるんだよ。

 「ポテに見送られたからいつもより1.2倍増しのテンションでお送りするぜ!」

 「あれは見送ったって言えるのかな~」

 家から出る時にポテに行って来ますしたら、ご飯を食べてお眠だったのか、ベッドに転がりながら一声鳴いただけだった。
 あいつに寂しいという感情はあるのかね。

 それから車を走らせて落札した狭間へ。
 近くのパーキングに車を停めたんだけど、既に野次馬が大量発生していた。
 SNS経由で知っていたとはいえ、近隣の方に迷惑すぎやしないだろうか。
 近くに狭間が出現しただけでも迷惑なのに、野次馬もセットで来るんだから。

 「マナーの徹底は急務だな」

 「SNSで呼び掛けはしておいたけど~。後は民度が試される感じだよね~」

 人間には期待薄だろうなぁ。
 日本はまだマシな方なのかな? アメリカとかパパラッチが凄そう。
 100年経って変わったのかもしれんが。

 「さてさて、今回は桜さんがメインで攻略する訳ですが!」

 「アンデッドじゃなさそうで一安心だよ~」

 野次馬を適当にあしらって、3級の狭間に突入した。腐ったアンデッド特有の匂いはしないから、桜さんでも戦えるだろう。

 「ちょっと待ってね。これ、もう撮れてる?」

 「その上のボタンを押したらスタートされるよ~」

 「一時停止する時は?」

 「その隣のボタンだね~。でもノーカットで撮るんでしょ~?」

 その予定だけどね。何があるか分からないから。
 それにちょっと機械は難しいので。
 撮影が始まる前にある程度聞いておかないと、俺の馬鹿を映す事になっちゃうでしょ?
 この前のゲリラ配信でも、ちょっと馬鹿にされたんだから。

 「にしても、3級でフィールドタイプって珍しいな」

 「ね~。いつもの洞窟みたいな感じだと思ってたよ~」

 目の前に広がるのは森。
 特に違和感とかも感じないし、偶々なんだろうけど。森って、魔物を特定するのが難しいんだよな。

 「憑依ポゼッション:純潔ガブリエル

 万が一の時の為に憑依だけはしておく。
 桜さんも指から極細の糸を垂れ流しており、戦闘準備はばっちりだ。

 「はい。じゃあ撮影開始ー」

 ポチッとな。これで大丈夫だよね?

 「ねぇねぇ。これで本当に撮れてる? 不安なんだけど」

 「上にマーク付いてたら大丈夫だよ~」

 あ、これか。よしよし。大丈夫そうだな。

 「はい。どうも皆さんこんにちはー。織田天魔でーす。今日は3級攻略なんですけどね。桜さんメインで頑張ってもらおうと思います」

 「いえ~い!」

 うむうむ。桜のノリがよろしい。
 楽しんでるようでなによりだ。

 「こっからは特に解説もなく垂れ流しになると思いまーす」

 俺が解説とかしながら進んでもいいけど、途中で飽きる可能性があるので。
 それなら最初から放棄する。

 「ん? あーなるほど。鳥系か」

 「遠距離への攻撃手段がないと辛そうだよね~」

 ゆっくりと歩きながら森を進んでると、バサバサと翼が羽ばたく音が聞こえた。
 どうやら今回の魔物は鳥系の魔物らしい。

 「フォレスト・イーグルじゃん。なつか…」

 「夏~?」

 「いや、なんでもない」

 懐かしいって言いそうになった。
 異世界であいつは良く狩ってたんだ。
 美味いんだよ、あれ。庶民のご馳走だった。
 危うく動画に流すところだったぜ。

 「思ったよりも早いから気をつけろよ」

 「魔法使ってるよね~?」

 「風魔法な」

 自分の速度を上げるのと、攻撃手段として使ってる。ランクはDと一人前の冒険者なら勝てるけど、慣れてきた頃に、油断するとやられるタイプの魔物だ。

 「んふふ~。糸使いには先達がいるからね~。ありがたくオマージュさせてもらうよ~。弾糸」

 そう言った桜の指から高速で射出されたのは糸を丸めた弾丸。
 桜はどんな糸でも出せるらしいからな。
 金属糸でも丸めて出せば、もう立派な銃である。
 翼に弾が貫通して、フォレスト・イーグルは墜落。そのまま絶命して魔石へと変わった。

 「フッフッフッ~」

 「その笑い方はモロなんだよなぁ」

 そこまで似せるとパクってるのがモロバレである。糸使いのキャラって強キャラばっかりだもんなぁ。漫画とかラノベを見るだけで技の参考になるよね。

 「あ、素材回収も俺の仕事だ」

 俺は風魔法で魔石を手繰り寄せる。
 そして。そのまま持っていた大きなカバンに放り込む。

 「桜の糸の方が回収に向いてそう」

 「今日はだんちょ~が雑用してくれるんでしょ~」

 おっしゃる通り。桜には攻略に集中してもらおう。雑用はなんでもやりますよ。
 異世界ではほとんど一人でなんでもやってたんだ。任せてくだせぇ。

 「さて、この調子で進もうか」

 「試したい技はまだまだあるよ~! この日の為に漫画を読み込んで来たからね~! それに一本の糸で上手く首を刎ねる練習もしないと~! 並列起動したいからたくさん数が出てくれると嬉しいな~」

 桜さんは更にパクリ宣言を為された。
 まぁ、勝てるならなんでも良いや。
 俺だって、カッコいい魔法とか普通にパクるし。
 いや、言い方が悪いな。オマージュさせてもらうし。
 それで強くなれるなら、なんでもやるってもんよ。

 
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