毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

 マリエンヌは淑女の鑑と呼ばれるほどの、完璧な令嬢である。
 王子の婚約者である彼女は、賢く、美しく、それでいて慈悲深かった。
 そんな彼女に、周りは甘い考えを抱いていた。

「マリエンヌさまはお優しいから」

 マリエンヌに悪意を向ける者も、好意を向ける者も、皆が同じことを言う。

「わたくしがおとなしくしていれば、ずいぶんと調子に乗ってくれるじゃない……」

 彼らは、思い違いをしていた。
 決して、マリエンヌは慈悲深くなどなかったということに気づいたころには、すでに手遅れとなっていた。
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