私はビブリオテカ ―― 終わりなき博物誌編纂の過程で生きて嘆いて食べて笑って藻掻く姿に幸あれ ――
語るものも記憶するものもなくなるほど遥か昔に神々が世界を創造し、大地を用意し、生物を作り、最後の一柱が地上から去り、数千年前に名も憚られる大淫婦が討滅され、数百年前にアルヴ達の帝国が滅び、数十年前に復活した魔獣の軍勢による人類の滅びを免れ、限られたものだけが用法を知りえたイーコルと金枝の神秘が、魔法という技術体系となり、やがて、紋章術として普及し、それにより魔物と自然動物の力の差を埋め、人類が空と海も生存圏とするようになった時代――。
一人の少年が旅立つのだ。命に代えても果たしたい使命を胸に秘め。いつか出会う小箱のことも知らずに――。
一人の少年が旅立つのだ。命に代えても果たしたい使命を胸に秘め。いつか出会う小箱のことも知らずに――。
第零章 ―― 哀縁奇淵 ――
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