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オナーニッビュル国を歩く

じゅうきゅうわめ

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 3人と1頭の旅路は問題なく進んでいる。
 面倒だったのは、エルさんだ。
 俺の異空間収納に興味を示したエルさんが何回も収納から物を出し入れさせてきたりとかね。
 そこらに落ちてる物から、どこで捕まえてきたのか鹿とかをね……異空間収納に入れてみて、って。
 生命のあるものはダメだと言ったら、目の前で傷をつけて瀕死にして差し出してきた時には殴ろうかと思った。
 ジュークに頭叩かれてたから良しとしたけど、次やったら置いていきたいと思う。
 更には実験の産物をジュークに薦めるのだ。
 これが別に|ただの・・・回復薬とかなら言う事もなかったんだけど……。

「お疲れジューク。これ飲むかい?」
「大して疲れてもいないが……何だこれは?」
「ふふ……飲んでからのお楽しみ」

 王都までの道中、どうしても野宿をする必要がある。
 その野宿も魔物に襲われる可能性や俺の『女神の加護』の範囲の関係、更にテントが小さいからどう頑張っても2人しか寝られなかった。
 なので、1人が見張りをすることが決定されていた。
 3人で持ち回りでね。
 これは後は寝るだけだ、となった時の一幕である。

 俺がテントの中に布団を敷いて、ちょうど外に出た時だ。
 今回の見張り番はエルさんだった。
 眠くならないように実験道具を与えたんだけど、実験に夢中になって見張り番の役目をこなせるのかはちょっと心配した。
 ジュークもエルさんも大丈夫だろうと言うから、まあ……大丈夫だと思いたい。

 エルさんはジュークに向かって瓶を差し出していた。
 会話だけ聞けば回復薬らしき物だろうと思う。
 だがしかし、俺の鑑定がその瓶の中身を教えてくれた。

「ちょ、それ『精力増強剤』じゃん!」
「え、そんなのになってたの?」

 エルさんが差し出す瓶を受け取ろうとしていたジュークがそのまま固まった。
 エルさんは瓶を見下ろしてへぇー、って軽く驚いてる風だった。

「シオンが居ればジュークで試さなくても良さそうだね」
「ジュークを検体にする気だったんですか!?」
「だって……調べる為の道具がないんだもん」

 あっけらかんと言い放つエルさんに頭が痛くなる。
 実験はある程度旅路が落ち着いてからやって欲しい、切実に。
 そしてその瓶の中身はどうして出来たのか聞いた所、回復薬の材料に俺の精液を足したものらしい。
 あえて聞きたい。
 何故そんなものを足したのか!!
 そう詰め寄ってもエルさんは飄々と「何事も試してみないとわからないじゃないか」と言い切りました。
 俺が肩を落としても「他にもあるし、色々試してみたいね」と、わくわくし始めてしまって、俺もジュークも黙るしかなかった。

「……出来上がった物は俺が鑑定しますから……それまでは誰にも使わないでくださいね」

 そう念を押すことしか出来なかった。
 ……だけど、実験で『精力増強剤』や『催淫剤』、『精力回復薬』を実験結果として作っちゃうのはまだマシな方だった。
 いや、マシでもないか……。
 割合がー、とか言って『精力増強剤(小)』から『精力増強剤(特)』まで作ってたからねぇ。
(小)(中)(上)(特)の4段階ね。
 これが『催淫剤』も同じように4段階分作ってたし。
 他には『無痛薬』や『筋弛緩剤』とか……『夢見薬』というものも出来上がっていた。
 いくつかは医療とかにも使えそうなんだけど、エロ向けアイテムもいくつか出来上がっていて、俺の体液はいいお金になる、とエルさんは言ってた。
 そして実験道具買おうってさ……。
 ブレないよね。

 そして、そんな実験をしてれば材料が足りなくなるのが道理である。
 手袋をしてカップを持ったエルさんに躙り寄られたことが何度あったことか……。
 テントの中なんて狭いから逃げられないし、しまいにはジュークにもバレて……何故か2人掛りで俺を苛めてくるし……。
 いや、気持ちいいから別にいいんだけどさ。
 ジュークの精気はご飯にもなるしね。
 ただ、エルさんの『採取』っていう形がもやってする。
 ホント俺の精液をカップに取ったら、テントからさーっと出て行っちゃうんだよね。
 エルさんに性欲ってないのかな?
 エルさんにそう聞いたら実験の方が大事って言うし、ジュークは俺だけで満足出来ないのか、とか言い出すし……。
 あの後は激しかった……きゃっ。

 これが緊張を孕む旅路の途中の出来事か、と思わなくもないけれど、魔物に対しては攻撃力過剰過ぎて俺に出来ることが少ないのが事実だ。
 警戒するのも、ジュークもエルさんも危険察知能力が高い。
 真面目に俺のやることがなくて、歩くことが仕事状態になってた。
 そんなお荷物状態の俺がエルさんやジュークに物申すなんて……出来ないよね。
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