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騒がしい………やっと頬の火照りも収まって、気を取り直して午後の授業に出てみれば、なんだか周りが騒がしい……?
これと言った大きな変化じゃ無い。けど廊下ですれ違った女子が横を通り過ぎた瞬間に何らかの奇声を発して走り去ったりとか、やけに色んな所から視線を感じたりとか、わざわざ他所のクラスの女子が誰目当てにかは知らんがうちのクラスに顔を出しにくる頻度が増えたりとか…
(何だ?)
最初は気にならなかったさ。女子って異常にテンション高い時があるからな?よく分からん事でキャアキャア騒いでることもあるしな?
けど、それが数日続くとどうよ?何かのブームがじんわりと学校中に広がってる?そんな感じ?
「なぁ、何か周り落ち着かなくねぇ?」
「ふ~~ん、そう?」
女子の機微にはめざとくレーダーを作動させる蒼梧が関心を示してない?
「お前、なんか知ってるだろ?」
「何をさ?」
「この騒がしさ。」
「別にうるさく無いだろ?」
ホームルームの前時間。登校してくる奴らが挨拶したり、スキンシップしたり、何かの話題で盛り上がったり…いつも通りにはうるさいわけだけど…でもそれとも違う、異質の色めきたった雰囲気というものがここ数日あるわけで…
「吐け、蒼梧。みそえ召喚するぞ?」
人の顔を見ないで携帯弄ってる蒼梧の鼻をつまむ。
「やだ…みそえうるさいし。」
「じゃ、知ってること言え?」
「………楓のファンなんじゃ無いの?」
「はぁ?……俺?」
「…正確には、もう一人…」
ものすっごく、蒼梧が嫌そうに言う。
何なのよ?もう一人って?
「誰だよ?それ?なんで俺とそいつがこんなに騒がしてんの?」
(蒼梧も嫌そうな感じだしさ。)
「それはさ~山手君に…」
「おはよう楓矢。僕がどうかした?」
蒼梧が言いかけてる時に刀貴の声が上から降ってくる。
「あ、刀貴。おっす…」
ポンッと刀貴が頭に手を置いて挨拶をしてくれる。ここ数日お互いにすっかり健全なもので、学校で刀貴は気安く手を出してこなくなった。
ま、毎日刀貴の所に入り浸るわけにはいかないし…そんな事をしたら家族にだって怪しまれるだろ?だから学校帰りにどっかに寄ったり、普通の高校生活を送ってる感じ…
なのに、何で騒がれてる?
「はよ~~」
「おはよう。それで桐谷君、僕がどうしたって?」
「あ、それがさ…」
「入り口にいる女子あれこれ。山手君、気がつかなかった~?」
「ま、賑やかだな、とは思うよね?」
「そ。楓がさ~気にしてるよ?」
「楓矢?」
「いやさぁ?騒がしく無い?」
「それが嫌なんだね?」
「まね、落ち着かないだろ?」
「分かった、待ってて。」
「刀貴?」
「忠犬くんだね?楓。」
「?」
鞄を置いた刀貴はスタスタとたむろってる女子達の中へと入っていく。
(よくあの中に行けんな…)
蒼梧だったらまだ分かる。けど、実際はそうじゃ無いけど草食系代表みたいだった刀貴が女子の群れにおくびれもせずに入って行ってるのはちょっと異様な雰囲気。それだけで何々?なんてさらなる注目を浴びてるし…
朝のホームルームが始まるまでずっと刀貴は女子達とそうやって話してた。
「猫ちゃんでした。」
「何がよ?」
「山手君、どっかに猫でもいた?」
話を聞きたくてうずうずしててやっとやって来た昼休み。ちょっと外野には邪魔されたく無いから屋上の隅の隅を陣取って昼食を食う。
「さっきの話か?」
「そ。」
「何?猫ちゃんて?」
「話の発端は、僕と楓矢が一緒にいる所を見かけた女子が何やら怪しい勘違いをして噂が流れに流れたみたいだったから、そこを訂正してきた。」
「で、猫ちゃん?」
「ふふ…うちにいた玉三郎が先日寿命を迎えてね?その相談を楓矢にしていたって事にした。」
「玉、三郎?……猫?」
居たっけか?猫なんて?猫の姿どころか猫の毛もおちてないくらいの家だったと思うぞ?
刀貴が言うには小さい頃から飼っている家族に等しい猫で、両親を早くに亡くした自分にとっては家族以上の存在であったと。それが自分の体調を崩した先日、運悪くその玉三郎も体調を崩しそのまま天に召されたと………そこに偶然居合わせた俺が親身になって色々と話を聞いてやるうちにそんな雰囲気を醸し出していた様だと……
「猫、いねぇだろ………」
なんとも単純な作り話。けど、これはことの他女子の心境を打ち抜いた様で、あの色めき立つ様な騒ぎをすんなりと収めることができた。のだが、逆に何故か刀貴が時々女子に囲まれている。
両親を早くに亡くした薄幸のイケメン山手刀貴、最愛の猫まで先日亡くしたとあっては可哀想に、慰めてあげようか?のお誘いが増えたのだそう……解せん…!
これと言った大きな変化じゃ無い。けど廊下ですれ違った女子が横を通り過ぎた瞬間に何らかの奇声を発して走り去ったりとか、やけに色んな所から視線を感じたりとか、わざわざ他所のクラスの女子が誰目当てにかは知らんがうちのクラスに顔を出しにくる頻度が増えたりとか…
(何だ?)
最初は気にならなかったさ。女子って異常にテンション高い時があるからな?よく分からん事でキャアキャア騒いでることもあるしな?
けど、それが数日続くとどうよ?何かのブームがじんわりと学校中に広がってる?そんな感じ?
「なぁ、何か周り落ち着かなくねぇ?」
「ふ~~ん、そう?」
女子の機微にはめざとくレーダーを作動させる蒼梧が関心を示してない?
「お前、なんか知ってるだろ?」
「何をさ?」
「この騒がしさ。」
「別にうるさく無いだろ?」
ホームルームの前時間。登校してくる奴らが挨拶したり、スキンシップしたり、何かの話題で盛り上がったり…いつも通りにはうるさいわけだけど…でもそれとも違う、異質の色めきたった雰囲気というものがここ数日あるわけで…
「吐け、蒼梧。みそえ召喚するぞ?」
人の顔を見ないで携帯弄ってる蒼梧の鼻をつまむ。
「やだ…みそえうるさいし。」
「じゃ、知ってること言え?」
「………楓のファンなんじゃ無いの?」
「はぁ?……俺?」
「…正確には、もう一人…」
ものすっごく、蒼梧が嫌そうに言う。
何なのよ?もう一人って?
「誰だよ?それ?なんで俺とそいつがこんなに騒がしてんの?」
(蒼梧も嫌そうな感じだしさ。)
「それはさ~山手君に…」
「おはよう楓矢。僕がどうかした?」
蒼梧が言いかけてる時に刀貴の声が上から降ってくる。
「あ、刀貴。おっす…」
ポンッと刀貴が頭に手を置いて挨拶をしてくれる。ここ数日お互いにすっかり健全なもので、学校で刀貴は気安く手を出してこなくなった。
ま、毎日刀貴の所に入り浸るわけにはいかないし…そんな事をしたら家族にだって怪しまれるだろ?だから学校帰りにどっかに寄ったり、普通の高校生活を送ってる感じ…
なのに、何で騒がれてる?
「はよ~~」
「おはよう。それで桐谷君、僕がどうしたって?」
「あ、それがさ…」
「入り口にいる女子あれこれ。山手君、気がつかなかった~?」
「ま、賑やかだな、とは思うよね?」
「そ。楓がさ~気にしてるよ?」
「楓矢?」
「いやさぁ?騒がしく無い?」
「それが嫌なんだね?」
「まね、落ち着かないだろ?」
「分かった、待ってて。」
「刀貴?」
「忠犬くんだね?楓。」
「?」
鞄を置いた刀貴はスタスタとたむろってる女子達の中へと入っていく。
(よくあの中に行けんな…)
蒼梧だったらまだ分かる。けど、実際はそうじゃ無いけど草食系代表みたいだった刀貴が女子の群れにおくびれもせずに入って行ってるのはちょっと異様な雰囲気。それだけで何々?なんてさらなる注目を浴びてるし…
朝のホームルームが始まるまでずっと刀貴は女子達とそうやって話してた。
「猫ちゃんでした。」
「何がよ?」
「山手君、どっかに猫でもいた?」
話を聞きたくてうずうずしててやっとやって来た昼休み。ちょっと外野には邪魔されたく無いから屋上の隅の隅を陣取って昼食を食う。
「さっきの話か?」
「そ。」
「何?猫ちゃんて?」
「話の発端は、僕と楓矢が一緒にいる所を見かけた女子が何やら怪しい勘違いをして噂が流れに流れたみたいだったから、そこを訂正してきた。」
「で、猫ちゃん?」
「ふふ…うちにいた玉三郎が先日寿命を迎えてね?その相談を楓矢にしていたって事にした。」
「玉、三郎?……猫?」
居たっけか?猫なんて?猫の姿どころか猫の毛もおちてないくらいの家だったと思うぞ?
刀貴が言うには小さい頃から飼っている家族に等しい猫で、両親を早くに亡くした自分にとっては家族以上の存在であったと。それが自分の体調を崩した先日、運悪くその玉三郎も体調を崩しそのまま天に召されたと………そこに偶然居合わせた俺が親身になって色々と話を聞いてやるうちにそんな雰囲気を醸し出していた様だと……
「猫、いねぇだろ………」
なんとも単純な作り話。けど、これはことの他女子の心境を打ち抜いた様で、あの色めき立つ様な騒ぎをすんなりと収めることができた。のだが、逆に何故か刀貴が時々女子に囲まれている。
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