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第一章:チュートリアル

第1話:どうやらVRMMOの世界に入り込んだようだ……VR機器持って無いけど

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 目が覚めると、青い光を放つ壁と天井に囲まれた部屋に居た。
 なんだろう、頭の中に靄が掛かったような状態だ。
 部屋の中心には、青い球状の石が浮かんでいる。

「ここは……どこだ?」

 取りあえず立ってみて、自分の状態を確認する。
 白いワイシャツにスラックス。
 一応スーツの上着はすぐ横に落ちていた。
 少し肌寒いので上着を羽織る。
 ポケットにはティッシュと財布。
 内ポケットに名刺入れ。
 反対のポケットにはスマホが入っている。
 スマホを開く。
 一応電源は入っているようだ。

 圏外だけど……

「場所も調べられないか」

 取りあえずどういう仕掛けか浮かんでいる、淡い光を放っている大きな石に近づく。
 透明で青白く輝く、球体のそれはフヨフヨという表現が似合うように上下に動いている。
 周囲に土星の輪のように、帯状のリングが回転していて見たことない文字が浮かんでは消えている。

 なんとなく、石の上に手を翳す。
 ブオンという音がして、石が放つ光が強くなる。

「うわっ」

 思わず石から離れるが、特にそれ以上変化が起こるわけでもないので近付いてみる。
 うーん、なんだろう。
 特にこれといって仕掛けがあるように見えないが。
 ここ寒いから、光ってるし少しは暖かいかなと思ったけど。
 そんな気配はなさそうだ。

 ただ、もしかしたら価値のあるものかもしれない。
 そう思って石を取ろうと手を伸ばし、指先が触れたところで身体が光に包み込まれる。

「うわっ!」

 思わず後ずさったが、物凄く心地よい感じがする。
 今まで散々悩ませられてきた肩こりや腰痛が無くなった気もするし。
 ふと目の前の石に視線をやると、石の周囲の帯に文字が現れていた。

『HP/MP/状態異常が全回復しました。セーブしますか?』
 
 見たことない文字だけど、内容が理解できた。
 理解できてしまった。
 うん、ゲームとかによくあるやつだな。
 もしかして、ここはVRMMOの世界だろうか。
 まあ、こんな疑似体験レベルのゲームなんてまだまだ出来る訳無いけど。
 いや、まさかモニターに選ばれたとか?
 目が覚める直前の事を思い出そうとするが、頭痛がするだけで何も思い出せない。
 自分の名前とか昨日の事は思い出せるけど。
 記憶の中に、モニターの応募をした記憶は無い。
 
「取りあえず、このはいってのを押せば良いのかな?」

 セーブしますかの下にはいといいえの文字があったので、はいを押してみる。

『セーブされました』

 馬鹿にしてるのか?
 もう一度石に触ってみる。

『HP/MP/状態異常が全回復しました。セーブしますか?』

 身体が光に包まれたが、特に変わった所は無かった。
 ああ、なんか説明書とか無いのかな?
 周囲を見渡すと、壁に扉があるのが見えた。
 ああ、出口もあるのか。

 俺は何も考えずに出口から外に出る。
 目の前には一本の通路が伸びている。
 かなり離れたところに曲がり道が見えるが、取りあえずそこまで行ってみるか。
 そう思って一歩踏み出した瞬間にカチッと言う音がして、全身を何かが突き抜けた感触が走る。
 そして至る処から高熱が発せられるのを感じる。
 さらに服が湿っていくのも。

「グホッ!」

 何か喋ろうとして口から出たのは、大量の血だった……目が霞む。

――――――
刺突耐性を獲得しました。
レベル:1
名前:ヨシキ・クラタ
スキル
刺突耐性レベル:1
最後にセーブした地点で復活します。
――――――

 気が付いたら脳内にそんな言葉が流れ、さっきいた部屋で倒れていた。
 身体に異常はない。
 服も破れていない。
 なんだったんだ? 
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