断罪されたので、最後に一度だけ嘘の占いをいたします
「二十年、お前の占いは不吉なことばかりだった」
そう仰って、王はわたくしを解任なさいました。日照りも、疫病も、橋の崩落も——当てて、備えて、防ぎましたのに。当たった占いは「何も起きなかった」ことになり、何も起きないと、わたくしの仕事はなかったことになる。二十年、その繰り返しでございました。
後任は、水晶玉に「輝かしい未来しか視えない」と仰る可愛らしい方。
よろしいですわ。では退任のご挨拶に、最後の星読みを献上いたします。
「大吉兆でございます。——兵を向ければ、負けることのない星回りですわ」
生まれて初めての、嘘の占い。
ただし、逃げ道は二つ置いてまいります。お選びになるのは、陛下ですわ。
そう仰って、王はわたくしを解任なさいました。日照りも、疫病も、橋の崩落も——当てて、備えて、防ぎましたのに。当たった占いは「何も起きなかった」ことになり、何も起きないと、わたくしの仕事はなかったことになる。二十年、その繰り返しでございました。
後任は、水晶玉に「輝かしい未来しか視えない」と仰る可愛らしい方。
よろしいですわ。では退任のご挨拶に、最後の星読みを献上いたします。
「大吉兆でございます。——兵を向ければ、負けることのない星回りですわ」
生まれて初めての、嘘の占い。
ただし、逃げ道は二つ置いてまいります。お選びになるのは、陛下ですわ。
6件
最新ホットランキング話を拝読して、こちらへ参りました。とても素敵な話で心動かされ、現役の占い師さんだったと知り なるほどと思いました。
何事も起きない日の素晴らしさをしみじみ実感いたしました。日々への感謝を持てた素晴らしい物語を ありがとうございました。
ミュート中です
解除
占い師が生涯未婚ならどうやって星読みの技術を伝えていくのかと思っていたが、弟子を取るんですね。前の国でリラがどんな経緯で国の占いを引き受けることになったのか分からないが、先の王の治世が続いていたならいずれ正しい占い師が完全に居なくなって、先の敗戦以上の致命的な失敗をして、国そのものがなくなっていたじゃないでしょうか。リラも国を移ったことで弟子を迎えられて良かったです。
ミュート中です
解除
もうね、甘言しか聞けないダメ為政者の典型だよね。多分、将軍の意見は無視される。その結果、この国、この国王はどうなる?
ところで彼女、独り身のようだけど占い師は結婚できない?見る目があれば、彼女に求婚者はあったと思うし、年齢は30台で未婚が不自然な気がする。それらしい人物は居なそうですね。
ミュート中です
解除
6件
あなたにおすすめの小説
【完結】番としか子供が産まれない世界で
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
地味な女はお払い箱ですか?なら、もっと身の丈に合う場所へ行きます
「恥ずかしくて一緒に歩けない」
……そんなひどい言葉で、私のすべてを否定した婚約者。
彼の隣には、私とは大違いの、誰もが振り返るような華やかな令嬢が寄り添っていました。
惨めで、哀れで、息をすることさえ苦しい。
冷たい視線に晒され、逃げるように走り出した私に、残されたものはもう何もありません。
【完結】後戻りはできません~婚約破棄されたので、あなたに尽くすのはやめようと思います~
「お前との婚約は解消させてもらう。それに伴い、学園生徒会会計職を解く」
名誉男爵家の養女にして貴族学園主席の才媛、リリテア。婚約者として、生徒会長エドワルドが押し付けてきた業務をこなしてきた。
けれどエドワルドは感謝するどころか、大勢の前で婚約破棄を宣言。リリテアは生徒会からも追放されてしまう。さらには予算の横領という身に覚えのない罪まで着せられてしまう事態に。
そんなリリテアに手を差し伸べたのは、公爵のルヴィアス。
「君はもう、あの生徒会を気に掛ける義理はない」
その一言で、リリテアは今までエドワルドに尽くしていた全てを、やめることにした。
リリテアの去った生徒会は静かに崩壊していく。そんな中、学園最大の行事・建国祭が刻一刻と迫っていた。
一方で、大量の業務から解放されたリリテアは、頻繁に会いに来るルヴィアスに少しずつ惹かれていく。
今さら全てに気付いても、もう遅いのです。
『遅い』と捨てられた聖女、離れた瞬間に勇者パーティが壊れました
「お前のヒールは遅すぎる」――そう言われ、聖女エリーナは静かに去った。
だが彼女は、パーティ全員の痛みを一人で引き受けていた存在だった。
すべてを手放した彼女が出会ったのは、暴走する魔力を抱えた公爵。
これは、“必要とされること”しか知らなかった彼女が、新しい感情に触れていく物語。
実家も国も私を捨てたが、私を愛さないと国が滅びる。絶望する人々を特等席で眺め、冷徹な王子の腕の中で思考停止する。
持参金がないという理由で家族と祖国から追放された私は、実はこの国を支える“加護”そのものだった。
私が去った瞬間、王都の結界は崩れ、国は崩壊へ向かい始める。
そんな私を拾ったのは、冷徹と噂される隣国の王子。
「やっと見つけた。お前は俺のものだ」
捨てられたはずの私は、気づけば滅びゆく祖国を背に、彼の腕の中で溺愛されていた。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
離縁されましたので、王妃の紋章はただの飾りになります
「十七年、お前は子を成さなかった」
朝の食卓で、パンを切りながら、王はわたくしを離宮へ移すと仰いました。侍女のロゼッタが身籠ったから、と。
わかりました。いつ発てばよろしいでしょう。
——ただ、皆さまおひとつだけご存じありませんの。
この国の王妃紋章は、装飾品ではございません。国庫と神殿と各領主の署名権を束ねる、血の魔術認証。わたくしの血に紐づいたそれは、他人が持てば、ただの銀の飾り。
引き継ぎの手引きは、九十六頁、書いて置いてまいりましたわ。読まれるかどうかは、存じませんけれど。
翌週から、国庫の支払いが、一件も通らなくなりました。
追放されたので、祝福はすべて回収いたします
「聖女エルシーを、国外追放とする」
罪状は、真冬の夜に許可なく子どもを治したこと。追放に賛同する署名は、四十三家。
わたしは弁明のかわりに、署名簿をじっと見つめました。
「お名前を、覚えておこうと思いまして」
誰も知らないことがひとつあります。聖女の祝福は「渡したら終わり」ではなく、細い糸でわたしと繋がり続けている。——手繰り寄せれば、戻るのです。
退去の期限は三十日。回るには、じゅうぶんですわ。
豊穣も、商運も、健守も。十年分の台帳と照らし合わせて、署名した家から順番に、一軒ずつ。
「ごきげんよう。祝福を、返していただきに参りました」
ただし——子どもと病人にかかっているものは、一件も引きません。回収とは、そういうふうに、するものですから。