また君に会う日。

りう .

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🌨   𝐒  𝐓  𝐀  𝐑 𝐓   🌨



「…神宮寺さんの、余命宣告を、します」
「っ、はい…」
「神宮寺さんの余命は、あと一ヶ月です」
「!?」
「……本当に申し訳ありませんっ、どうすることもできないのです…」
「そう、なんですね。ありがとうございます」
「ごめんなさい…」
「謝らないでください、。彼には私から、伝えておきます。」
彼なら、これからあとの一ヶ月、思いっきり楽しむよって言うと思いますよ^^*」
「っ…そうですか。精一杯、楽しんでくださいとお伝えください」
「はいっ。今までありがとうございましたっ」

余命宣告って、本当にされるんだ。
小説とか漫画でしかみたことなかったけど、私がこの立場になるとは。
ううん、私の彼氏…だ。
 ᴀᴍᴀᴍɪʏᴀ ʀᴜᴋᴀ                             ᴢɪɴɢᴜᴜᴢɪ ᴀᴏ
私は 海宮 瑠夏 、そして私の彼氏は 神宮寺 蒼 。 

「…蒼くんが、あと一ヶ月でいなくなる」

信じたくない。でも、信じなきゃいけない。悲しいっていうか…苦しい。
こんなに幸せなのに。こんなに楽しいのに。こんなに大好きなのに。
なんでそれしかもう一緒に過ごせないの?

そんなことを考え続けているうちに、蒼くんのいる病室のドアの前。
開ければいつも通り「瑠夏」ってすごいかっこいい笑顔が見えると分かっているのに。
分かっているのに、ドアの取ってにある手に力が入らない。

力の代わりのように、目から涙が流れて止まらない。
視界がぼやけて。喉がひくひくなって。
こんなに泣いたの久しぶりだ。蒼くんに告白されて以来。

「……瑠夏、?」
「、蒼くんっ」
「どうした?なんで泣いてるの…?」
「話さなきゃいけないことが、あるの、」
「…そっか。じゃあ、座って?」
「っ、うん…」

蒼くんに、全部話したの。蒼くんは、
『そっか』
『俺、あと一ヶ月でいなくなるんだ』
『もっと瑠夏と一緒にいたかった』
『あと一ヶ月、俺とたくさん思い出作ってくれない?』
そう言ったの。私は、『もちろん』って言った。

私はずっと泣いてた。
けど蒼くんは、
涙目で、でも泣いてなくて、ずっと前から分かってたような、切なそうな表情をしてた。
「そんな顔、しないでよ…」って言ったら蒼くんは、
『瑠夏も泣いてないで、笑ってよ。いつもの可愛い笑顔、見して?』
私は、終わりなく流れてくる涙を袖で拭きながら、精一杯の笑顔をみせた。
『ふふ、ありがとう』

それから蒼くんと、これからしたいことや行きたいところをたくさんノートに書いた。
『絶対ぜんぶ達成しようね』
そう約束した。





*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-





蒼くんの命が、明日、終わる。
これ以上考えるとパニックになってどうかしてしまいそうなので、
明日には明日の風が吹くと信じて、眠りについた。


今日は、蒼くんとの最期の日。
今日は、あのノートのページが終わる日。
いつか絶対行こうね、って5年前約束した、あの遊園地。
できる限りのおしゃれをした。
早歩きで待ち合わせ場所の駅に行った。
蒼くんはいつも通りおしゃれで、スマホにイヤフォンをつけて音楽を聴いていた。
私が近くに行くと、イヤフォンを外して、
甘い声で「瑠夏」と、私の名前を呼んでくれた。
「っ、蒼くん」
「ん、行こ?」
「うんっ」

ジェットコースター乗って、
私は絶叫大好きで両手あげて叫んだけど、蒼くんは絶叫苦手で怖がってて、
めっちゃ可愛かった。
お化け屋敷は、あんま怖くなかった。
入る前はずっと手繋いでようね!!って言ったけど、全然怖くなかった()
他にもいろんな乗り物乗って、
一緒にご飯食べて、ご飯粒ついてるよーってお互い笑い合った。

それでもう、夕方。私たちはこの遊園地の、関東でいちばん大きな、観覧車に乗ってる。
「…もう、終わっちゃうの?」
「、うん」
「嫌だよっ」
「俺も、もっと一緒にいたかった」
「蒼くん……大好き」
「俺も、瑠夏、愛してる」
「いなく、なんないで…」
「ごめん」
「蒼くんっ?」
「じゃあな、瑠夏」
「えっ?なに、いってんの、」
「愛してる」
「え?蒼、くん??蒼くん!!」
「……」
「っ!?蒼くんっ!!いかないで、!!」

蒼くんは私の肩に頭を預けて。私は開いた口が塞がらなくて。
蒼くんは息をしてなくて。私は大粒の涙を流して。
蒼くんは冷たくなってて。私は子供のように泣いて。





*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-




気づくと、蒼くんの写真の前で大勢の人たちが泣いていた。

あぁ、いなくなっちゃったんだ。
もう、蒼くんはいないんだ。

会いたいな。もう一度、いや、永遠に一緒にいる手段なんてこれしかない。

前々から考えてたこと。

私は無表情のまま部屋を出て、家に帰った。
真っ黒だった喪服は、涙に濡れてもっと濃い黒になっている。

ロープをクローゼットの棒に巻いた。
ロープの輪を首に入れようとしたところで、ドアフォンが鳴った。

「…誰?タイミング、悪いよ」

ロープを手から放して、一階に降りる。
ドアフォンには、いつかの蒼くんの友人、颯斗くんが。

「あ、瑠夏ちゃん、?」
「颯斗くん…?どうしたの?」
「蒼が、俺が消えたら瑠夏に渡してって言ってたのを持ってきた」
「え…!?」

私は急いで玄関にいって、ドアを開けた。

「はい、」
「…手紙、?」
「うん」
「蒼くんから、?ほんとに?」
「そうだよ。今日来たのはそれだけだから。じゃあね、。」
「あ…ありがとうっ!」

颯斗くんは薄く笑って、帰って行った。

私は丁寧にシールを剥がした。




⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ 




「俺についてくるなって……だめじゃん私っ、」

大好きな蒼くんからの願い事なんだ。
叶えよう。いや、叶えなきゃ。

幸せに、生きるんだ。



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-



それから5年後、私は結婚して、子供を産んだ。
毎日幸せだ。
夫が蒼くんだったら…とか、結婚して経ってない時は思ってたけど、
きっと蒼くんはこれを望んでたんだ、って今なら分かる。

きっと蒼くんは、ずっと私を見てくれてる。
だから、私はめそめそしないで前に進める。

「大丈夫だよ」

「…え?」
「?どうしたの、ママ?」
「いや、なんでも、ないよ…」

今の声、蒼くん…?

…そっか。隣に、いてくれてるんだ。

「、愛してる」
「え?ふふ、あたしもママ愛してるー!」


蒼くん、ありがとう。
これからも、ずっと隣にいてね。



🕊   𝐄  𝐍  𝐃   🕊



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