一条戻り橋に霧雨が降る~目明かし陶次の小さな嘘が悲劇を呼ぶ

過去に大きな賞の最終に残った作品を大幅リライト。
(最終に残ったことがきっかけで、その後、別の出版社からデビューできました)

天誅が席捲する幕末の京
目明かし陶次は、己に自信がなく、お蔦への気持ちは空回りするばかり。
お蔦を失った陶次は、彼女を手にかけた者を追いますが・・・・・・。


テーマ:ストレートな東男と、心の内を婉曲にしか表現しない、京女のすれ違い

陶次:京の目明かし。41歳。

お蔦:21歳。色っぽい美女。安囲いの女で、三人の旦那を持つ妾。

喜助:31歳の美男。優男。大店八幡屋の大番頭。

あらすじ(5にネタバレあり)

1目明かし陶次は、妾のお蔦に、今月の手当の支払いを待ってもらうため、
『別れた女房が、大坂で育てている一人娘が長患いで、金が要る』と、軽い気持ちで嘘をつく。
 ちなみに、お蔦には三人の旦那(陶次、喜助、目明かし権三)がいた。

2陶次が訪ねた日、「次は七夕の晩に」と言いながら送り出される。
 陶次はお蔦と喜助の会話を聞いて、お蔦は喜助に惚れていると確信する。

3お蔦が、権三とともに、斬り殺され、阿漕な権三への天誅ではないかと考えるが……。
 陶次はお蔦が飾っていた七夕の笹飾りを持ち帰る。

4第一発見者だった喜助は「お蔦の死は、陶次のせいだ」と怒りをぶつける。
 陶次は、殺しの黒幕が、権三に強請られていた八幡屋だと気づく。

5浪士たちが、天誅を口実に、八幡屋を襲撃し、陶次は、大けがを負わされた喜助を目撃する。
 瀕死の喜助から、真実を知らされる。
 お蔦は陶次にぞっこんで、病の娘のための金子を用立てるため、権三に強請をけしかけていた。
 陶次は、枯れた笹飾りに、「お蔦、成仏」と書いた短冊をつけて川に流し、このまま京で生きていこうと考える。



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