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誓い
ピクニック
しおりを挟むルカと恋人同士になって一ヶ月。
朝起きてから夜寝るまで、隙あらば愛してると囁いてキスをし合う生活は、恋人同士になったとしても何も変わらないなんて思っていた少し前までの自分を哀れに思ってしまうほどに幸せで、満たされていた。
今も、ルカが用意してくれた美味しい朝食を頬張っていたら、彼が真っ白な腕を後ろから巻きつけ甘えるように背中に擦り寄ってくるものだから、思わずデレデレしてしまう。
相変わらず俺達はラブラブで、相変わらず俺のルカは世界一可愛くて。
ルカの為ならなんだってしてやりたい、ルカのお願いならなんだって聞いてやりたい。
そんな風に思いながら毎日を過ごしている俺に、
「ねぇーりひとー。おれ、シロツメクサの丘にピクニックに行きたい」
彼は突然、そんなことを言い始めた。
「へっ…?なんでピクニック…?」
あまりに唐突すぎる申し出に、思わず素っ頓狂な声が洩れる。
話を聞けば、なんでも近所のおばあちゃんの手伝いをした時に、こんな天気のいい日はシロツメクサの丘でピクニックでもしたくなるねぇ、と言われ。
え…ぴくにっく...?なにそれ、楽しそう!してみたい!
…と思ったらしい。
なんだよそれ…可愛すぎかよ…。
と思わず頭を抱えていると、肩越しに顔を覗き込まれ、上目遣いでダメ…?なんて言われて。
「駄目じゃないよ。いいね、ピクニック。今度の休みに行こうか」
間髪入れずにそう言ってやれば、彼は嬉しそうに笑った。
その笑顔もまた堪らなく可愛くて、彼の手を取り膝の上に向かい合う形で座らせ、腰をギュッと引き寄せる。
そのまま胸元にグリグリと額を擦り付けると、くすぐったいよ、なんてくふくふ笑うルカは俺の髪を優しく撫でてくれながら、それでね、と続けた。
「あのね、おれ、みんなで行きたいの」
「みんな?」
「おれとリヒトと、リアムとカイとケンさんとクオン。6人で行きたい」
俺的には2人でデートのつもりだったから正直そのおねだりには少し残念な気持ちになったけど、甘えた声でお願い、なんて言われてしまったら嫌とは言えない。
「分かった。今日ちょうどケンさんとクオンと仕事一緒だから、予定確認してみるね」
そう伝えると、やったぁ、ありがとう、と可愛い笑顔を見せてくれるから。
やっぱり俺はこの笑顔の為ならなんでもしてしまうんだろうな。
改めてそう思った。
それから、膝の上に乗った柔らかい尻にムラッときてしまって。
少しだけ彼に悪戯をしていたら、頬を真っ赤に染めた彼に仕事遅れちゃうよ、と言われ、時計を見ると家を出なければいけない時間を過ぎていて、大慌てで支度をし、行ってらっしゃいのキスをしてもらって急いで家を飛び出した。
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