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〈27〉予定外の道が開こうとしている
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「パーティーの招待状?」
「はい。少々時期外れではございますが正式な物ですし、ご出席なされた方がよろしいかと」
今度こそエリオットと一緒に買い物に行こうと出掛ける準備をしていた矢先、そう言ってリヒトが招待状を見せてきた。エリオットが「また邪魔ばっかりしてくる……!」と頬を膨らませるのをなだめながらその招待状を受け取って差出人の名前を確認すると……。
「これ、王家からの招待状!?なんでおねーさまに……?!」
背後から覗き込んできたエリオットが驚愕の色を見せた。少し震えながらどんどん顔色を悪くさせている。
「……エリオット、どうしたの?具合が悪いなら無理しないほうがいいわ。えっと、どのみち王家からの招待状なら断れないわね。出席の返事をしておいてちょうだい」
「畏まりました、エレナ様」
恭しく頭を下げたリヒトがエリオットをチラリと見てから踵を返す。なんだか最近リヒトの態度に今までに増して違和感を感じる気がする。まぁ、元々胡散臭いんだけどね。
「エリオット、大丈夫?」
「おねーさま……。おねーさまは、この世界の王家についてどこまで知ってるの?」
「どこまでって……。サンプル版には名前くらいしか出てこなかったし、侯爵家に来る前も関わることなんてなかったもの。王太子がいてその婚約者が確かこの国のなんとかっていう公爵令嬢だってことくらいしか知らないわ」
エリオットの様子に使用人たちが心配しだしたので小声でそう答えるがエリオットの狼狽えぶりは明らかに異常に見えた。
王家がどうかしたのかしら?なんだったかなぁ。王太子の名前と、王家と遠い親戚だかなんだかの公爵家の名前。ルーファスルートにはほとんど出てこなかったからよくわからないのよね。設定資料集には載ってたらしいから、誰かのルートには関わってると思うんだけど……。
「……サリヴァン王太子と、ラファエ公爵家。僕のーーーーエリオットルートの重要人物たちだよ」
震える声でそう告げたエリオットは不安そうに眉を下げる。そして「ごめん」と呟いた。
「もしかしたら、僕……エリオットルートを開いちゃったのかも……!」
「えっ、どうゆうことなの?!」
私たちの目的はどこかにあるはずの救済ルートを開くことだ。そのためにゲームの強制力に逆らい攻略対象者たちのルートを開かないようにしていたのだ。
エリオットルート……それはエリオット本人が最も避けたかったはずのヤンデレルートである。ヤンデレになるのだけは絶対に嫌だと言っていたのに、なぜ今になってエリオットルートが出てくるのか。
「と、とにかく落ち着いて……」
未だ震えるエリオットの肩を抱き部屋へと連れて行くことにした。いつものエリオットらしくないその雰囲気に妙に胸騒ぎがしたのである。
「……エリオットルートには、裏設定があるんだ」
「裏設定?それに王家や公爵家がどんな関係がーーーーー」
部屋に入った途端、エリオットは青ざめたまま口を開いた。「本当は知られたくなかったんだけど……。あいつが関わってきたらおねーさまも危険だし……」とうつむき、今度は諦めたように息を吐くとこう言ったのだ。
「実は僕は……エリオットは、生まれてきてはいけない子供だったんだ。
ーーーー僕は……王太子と、その婚約者である公爵令嬢の母親との間に産まれてしまった王太子の隠し子なんだよ」と。
「はい。少々時期外れではございますが正式な物ですし、ご出席なされた方がよろしいかと」
今度こそエリオットと一緒に買い物に行こうと出掛ける準備をしていた矢先、そう言ってリヒトが招待状を見せてきた。エリオットが「また邪魔ばっかりしてくる……!」と頬を膨らませるのをなだめながらその招待状を受け取って差出人の名前を確認すると……。
「これ、王家からの招待状!?なんでおねーさまに……?!」
背後から覗き込んできたエリオットが驚愕の色を見せた。少し震えながらどんどん顔色を悪くさせている。
「……エリオット、どうしたの?具合が悪いなら無理しないほうがいいわ。えっと、どのみち王家からの招待状なら断れないわね。出席の返事をしておいてちょうだい」
「畏まりました、エレナ様」
恭しく頭を下げたリヒトがエリオットをチラリと見てから踵を返す。なんだか最近リヒトの態度に今までに増して違和感を感じる気がする。まぁ、元々胡散臭いんだけどね。
「エリオット、大丈夫?」
「おねーさま……。おねーさまは、この世界の王家についてどこまで知ってるの?」
「どこまでって……。サンプル版には名前くらいしか出てこなかったし、侯爵家に来る前も関わることなんてなかったもの。王太子がいてその婚約者が確かこの国のなんとかっていう公爵令嬢だってことくらいしか知らないわ」
エリオットの様子に使用人たちが心配しだしたので小声でそう答えるがエリオットの狼狽えぶりは明らかに異常に見えた。
王家がどうかしたのかしら?なんだったかなぁ。王太子の名前と、王家と遠い親戚だかなんだかの公爵家の名前。ルーファスルートにはほとんど出てこなかったからよくわからないのよね。設定資料集には載ってたらしいから、誰かのルートには関わってると思うんだけど……。
「……サリヴァン王太子と、ラファエ公爵家。僕のーーーーエリオットルートの重要人物たちだよ」
震える声でそう告げたエリオットは不安そうに眉を下げる。そして「ごめん」と呟いた。
「もしかしたら、僕……エリオットルートを開いちゃったのかも……!」
「えっ、どうゆうことなの?!」
私たちの目的はどこかにあるはずの救済ルートを開くことだ。そのためにゲームの強制力に逆らい攻略対象者たちのルートを開かないようにしていたのだ。
エリオットルート……それはエリオット本人が最も避けたかったはずのヤンデレルートである。ヤンデレになるのだけは絶対に嫌だと言っていたのに、なぜ今になってエリオットルートが出てくるのか。
「と、とにかく落ち着いて……」
未だ震えるエリオットの肩を抱き部屋へと連れて行くことにした。いつものエリオットらしくないその雰囲気に妙に胸騒ぎがしたのである。
「……エリオットルートには、裏設定があるんだ」
「裏設定?それに王家や公爵家がどんな関係がーーーーー」
部屋に入った途端、エリオットは青ざめたまま口を開いた。「本当は知られたくなかったんだけど……。あいつが関わってきたらおねーさまも危険だし……」とうつむき、今度は諦めたように息を吐くとこう言ったのだ。
「実は僕は……エリオットは、生まれてきてはいけない子供だったんだ。
ーーーー僕は……王太子と、その婚約者である公爵令嬢の母親との間に産まれてしまった王太子の隠し子なんだよ」と。
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