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第五章

新しい生活の変化④

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 安産祈願にも、出産準備にも、彩葉が一緒に行ってくれた。姉であり、母のような存在だ。彼女なくして、今のさくらの安定した生活はありえない。

 予定日を迎える頃には、はちきれんばかりのお腹になり、どこへ行くにも彩葉が付き添ってくれている。

 予定日を三日程過ぎた朝方、急に締めつけるような痛みが来た。少しすると収まり、また始まる。初めての出産のさくらには、陣痛かもしれないが、どの程度の痛みになったらいいのかが分からない。十分間隔になれば連絡を入れることになっているが、十分以上だったり、短かったりと判断出来ない。

 痛みが来たらいつでも連絡しなさいと彩葉に言われていた。痛みが引いたタイミングで彩葉に連絡を入れる。

「もしもし。さくらちゃんどうしたの?」

 寝起きの掠れた声だが、すぐに出てくれた。

「朝早くにごめんなさい。さっきから痛みが来てて」
「わかった。すぐに行く」

 詳しくも聞かずに駆けつけてくれる。

「大丈夫?」

 電話から数分、着替えだけした状態だ。

「定期的に痛みが……。イタタタタッ」
「病院に連絡するわね」

 病院の指示を受け、二人は彩葉の運転で向かう。

「イタッ。イタタタタッ」

 時折苦しむさくらを乗せ病院に着いた。この時には、間隔が五分を切っていた。連絡を受けていた看護師が、車椅子を用意し入口で待っていてくれた。

「月島さくらさんで間違いないですね」
「はい……」
「どうですか?歩けそうですか?」
「痛みが五分間隔で、最初の頃より強いので、痛みが少し引いても痛いです」
「かなり進んでいるのかもしれないですね。車椅子に座って下さい」

 看護師に連れられ、分娩室に向かった。初産だから時間が掛かると思っていたさくらだったが、病院に着いた頃には、子宮口が7cmまで開き、あっと言う間の出産となったのだった。

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
「ありがとうございます……」

 出産の痛みに耐え、今は疲労困憊だ。性別を聞かずにいたので、男の子だと今知った。きっと、怜に似てイケメンになるだろう。

 名前を『月島 桂つきしま けい』と名づけた。

 母子二人の新たな生活が、ここから始まる――
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