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はじめの一歩〜ジークハルト視点〜
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母上と叔母上から、小一時間ほどダメ出しをされた。
何故、王命で婚約を決めたんだと言われた。
今になれば、まずアリスティア嬢に告白して、了承をもらってからにすべきだったと分かるのだが、あの時はこのチャンスを逃したら、またアリスティア嬢が他の人のものになってしまう、それしか頭になかった。
あれでは嫌ってくれと言っているようなものだ。
母上と叔母上からは、アリスティア嬢が好きになった相手と婚約させると言われた。
はっきり言って、僕には望み薄だ。
王命なんて手を使った僕は、マイナスからのスタートなのだから。
それでも十三年もの片想いを、簡単に消し去ることができない。
せめてこれ以上嫌われないように、せめて従兄としてでもそばにいられるように、頑張るしかない。
だがアリスティア嬢に近付けば、もっと近くに居たくなる。
僕はアリスティア嬢のことが、どうしようもなく好きなんだ。
仕方ないので、侍従侍女に頼んで、アリスティア嬢が少しでも楽しく過ごせるように色々と準備することにした。
アリスティア嬢が好きだという花を部屋に飾ってもらったり。
アリスティア嬢が気に入ったというお菓子を買ってきてもらい、お茶の時間に出してもらったり。
市井で流行っているという本をアリスティア嬢の目のつくところに置いてもらったり。
でも、出来ることもあまりなくて悩んでいたら、側近のひとりがアリスティア嬢の家族を迎えに行ったらどうか、と提案してくれた。
そういえば叔父上やライアン、それからライアンの婚約者の父親と兄たちがまだこちらに着いていないんだったな。
セオドア王国からローゼンタール王国へ来るには、馬で飛ばしても一ヶ月かかる。
アリスティア嬢たちが来てからまだ三週間だから、直後に出発したとしてもまだかかるだろう。
ローゼンタール王国は、魔法が発展している国だ。
セオドア王国にあったイングリス公爵家と我が王宮を繋いでいた転移陣も、ローゼンタール王国独自のものだ。
ただ転移陣は魔力が多く必要なため、ローゼンタールの王族の血を引いていなければ発動出来ない設定になっている。
ならば、僕が転移魔法具を使って、迎えに行けば良い。
アレは一度に転移出来る人数が三人までだから、三回は転移しないといけないが、それでも僕がやらかしたアリスティア嬢への詫びくらいにはなるだろう。
彼女は家族をとても愛しているし、家族からとても愛されているから。
叔父上たちとの打ち合わせを含めて四回の転移を行い寝込んだ僕に、アリスティア嬢からお見舞いが届くことを、この時の僕は知らない。
何故、王命で婚約を決めたんだと言われた。
今になれば、まずアリスティア嬢に告白して、了承をもらってからにすべきだったと分かるのだが、あの時はこのチャンスを逃したら、またアリスティア嬢が他の人のものになってしまう、それしか頭になかった。
あれでは嫌ってくれと言っているようなものだ。
母上と叔母上からは、アリスティア嬢が好きになった相手と婚約させると言われた。
はっきり言って、僕には望み薄だ。
王命なんて手を使った僕は、マイナスからのスタートなのだから。
それでも十三年もの片想いを、簡単に消し去ることができない。
せめてこれ以上嫌われないように、せめて従兄としてでもそばにいられるように、頑張るしかない。
だがアリスティア嬢に近付けば、もっと近くに居たくなる。
僕はアリスティア嬢のことが、どうしようもなく好きなんだ。
仕方ないので、侍従侍女に頼んで、アリスティア嬢が少しでも楽しく過ごせるように色々と準備することにした。
アリスティア嬢が好きだという花を部屋に飾ってもらったり。
アリスティア嬢が気に入ったというお菓子を買ってきてもらい、お茶の時間に出してもらったり。
市井で流行っているという本をアリスティア嬢の目のつくところに置いてもらったり。
でも、出来ることもあまりなくて悩んでいたら、側近のひとりがアリスティア嬢の家族を迎えに行ったらどうか、と提案してくれた。
そういえば叔父上やライアン、それからライアンの婚約者の父親と兄たちがまだこちらに着いていないんだったな。
セオドア王国からローゼンタール王国へ来るには、馬で飛ばしても一ヶ月かかる。
アリスティア嬢たちが来てからまだ三週間だから、直後に出発したとしてもまだかかるだろう。
ローゼンタール王国は、魔法が発展している国だ。
セオドア王国にあったイングリス公爵家と我が王宮を繋いでいた転移陣も、ローゼンタール王国独自のものだ。
ただ転移陣は魔力が多く必要なため、ローゼンタールの王族の血を引いていなければ発動出来ない設定になっている。
ならば、僕が転移魔法具を使って、迎えに行けば良い。
アレは一度に転移出来る人数が三人までだから、三回は転移しないといけないが、それでも僕がやらかしたアリスティア嬢への詫びくらいにはなるだろう。
彼女は家族をとても愛しているし、家族からとても愛されているから。
叔父上たちとの打ち合わせを含めて四回の転移を行い寝込んだ僕に、アリスティア嬢からお見舞いが届くことを、この時の僕は知らない。
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