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とても恥ずかしいです

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「あの!ジークハルト様。お願いがあるのですが」

 わたくしは、お茶をご一緒している時に、意を決してジークハルト様にお願いすることにしました。

 お兄様とキャスリーン様には前もってお話してあります。
 ですから二人とも黙って見守って下さっております。

「僕にできることでしたら、何でも」

 お優しく微笑んで下さるジークハルト様に、最初の、王命での婚約を告げられたときのような熱情は感じられません。

 もう、わたくしのことを従妹としか思っていらっしゃらないのかも。

 仕方ありません。
あの時、ジークハルト様のお気持ちを蔑ろにしてしまったのは、わたくしたち家族なのですから。

「あの、一週間後にラグノア公爵令嬢であるシャルロット様のお誕生日パーティーがあるのです。それで、その・・・」

 アリスティア!勇気を出すのよ。

「それで、あの、わたくしをエスコートしてくださいませんか?」

「・・・」

「あの・・・駄目でしょうか?」

 沈黙が、こんなに怖いものとは思いませんでした。
 やっぱり、お嫌なのかしら。
シャルロット様は、ジークハルト様にも招待状をお送りしたとおっしゃっていました。

 もしかして、他の方をエスコートする予定なのかもしれません。

「誰か・・・他の方とお約束がありましたか?」

「いいえ。僕で良ければ、エスコートさせてください」

「ご無理はされていませんか?」

 わたくしが従妹だから、他の方との約束があるのに、無理をさせてしまっているのでは、と不安になってしまいます。

 そんなわたくしの問いに、ジークハルト様はきょとんとしたお顔をなさいます。

 あら。可愛らしいお顔。

 え?わたくし、今なにを・・・

「何が?アリスティア嬢をエスコートさせてもらえるなんて、嬉しいのだが?え、あ、いや、その、い、従兄として嬉しいというか、その。すまない。気持ち悪かっただろうか」

「い、いいえ、そんなことはありません。あの・・・それではエスコートをお願いしてもよろしいでしょうか」

「もちろんだ。でも一週間後か」

 笑顔で頷いて下さったジークハルト様が、何か考え込まれます。

 もしかして何か問題でもあるのでしょうか?

 シャルロット様は招待状を出されたとおっしゃられていましたけど、そういえば参加されるとは聞いていませんでしたわ。

「な、なにか問題でも?」

「一週間では、新しいドレスを作るのは間に合わないと思って。その、既製品になってしまうが、ドレスを贈らせてもらえるだろうか?」

「え、あ、は、はい。よ、よろしくお願いします」

 どうしましょう。
何だかとても恥ずかしいですわ。
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