転生令嬢はやんちゃする

ナギ

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第一章

乱入者

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 お断りしたにも関わらず、殿下は引き下がらない。
 お兄様も、お前ふざけんなよと素を出しつつあるのだけども殿下はのらりくらりかわしながら、まだ私に言う。
 そして私は背後から! テオがこっちに刺さる様な視線を向けているのがわかる。
 それは私を通り越して、お兄様と殿下に向けてっぽい。
 私はもう、この空気に慣れてきて。お兄様達楽しそうだなぁとか思いながら紅茶を飲んでいた。
 おいしい。
「まぁ、楽しそうですわね、ご機嫌いかがでございますか。殿下、トリスタン様」
 紅茶おかわりー、と思っていると後ろから声がかかった。
 その瞬間、お兄様と殿下はぴたっと話すのをやめて営業スマイルを浮かべた。一瞬の早変わりだ。
「何か用ですか、ジュリア嬢」
「まぁ、トリスタン様。どうぞ呼びすててくださいといつも言ってますのに」
 お兄様の、張り付いたような、笑みー!
 うわ、うわぁ。とりあえずこの声をかけてきた人が、好きではないことは私にもわかる。
「そちらは、トリスタン様の妹君ですわよね?」
 わー、と思っていると突然私に言葉向けてきた。
 これは挨拶したほうがいいの? どうなの? とちらりとお兄様を見る。
 するとお兄様は何も言うなよというように一瞬視線合わせた。
「そうです。来年度から後輩になります。もうそろそろ迎えが来るので送ろうかと思っていたのですよ」
「まぁ! それならわたくしもぜひごあいさつさせてくださいませ」
 媚びいるような声色。私は突然やってきた人を今ちゃんと、やっとみた。
 どぎつい。
 その一言に尽きる。
 化粧ばりばり。めっちゃ胸を寄せてあげてコルセットでぐいっと。今日は説明会があるから制服でなくて良いといってもこれから夜会です! みたいな感じだ。場違い感すごい。
「すまないが妹は人見知りなのだ。今日は人の多いところにでてきて緊張しているからまたにしてくれ」
 すらすらとお兄様の口から流れる言葉。別に私、人見知りじゃないですよ。しかしどうやら、紹介したくないみたいだ。
 こうして遠ざけようとしているのは関わりたくない、関わらせたくないということだろう。
「ジュリア嬢。まだ私たちは大事な話があるから今度にしてくれ」
「大事なお話? まぁ、私も混ぜてくださいませ。興味がありますわ」
 空気読めないすごい。すごい。すごいなこのひと!
 私はびっくりして瞬く。
 お兄様と殿下は慣れてらっしゃるようだけど私には心の声が聞こえてくる。
 あーうぜーなー、さっさとどっかいけよー、とか。
 いつもながらに馬鹿だなこいつは、とか。
 そんな感じなんだと思う。
 空気を読まずに話しかけてくるジュリアという人。面倒だな、という印象しかない。
 あーあ、と思っているとふと視界の端に見知った顔を見つけた。
 ジゼルちゃんだー!
 私はジゼルちゃんに小さく手をふる。するとジゼルちゃんも気づいて手を振り返してくれた。
 そしてこっちへやってくる。
 お兄様と殿下の後方からきているので、くるっと回ってからきてくれた。
 二人の視界に入るように配慮とかさすがジゼルちゃん。
 突然声かけられたらびっくりするものね。
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