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第六話 幽鬼到来
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「翠凛《すいりん》!!」
聖秀《せいしゅう》は慌てて翠凛の元へ駆け寄った。
謀反《むほん》を犯した者の幽鬼《ゆうき》が現れたのだ。
(…見たことがある)
忘れてしまいたいが、忘れてはいけない。
(あんな事件は、もう起こさせるものか…)
『ああ…聖秀さま…』
幽鬼がしゃべる。その声はどこか神秘的だ。
「そなたはもしや…」
『そうです…。春雷《しゅんらい》です。覚えてくださっていたのですね…』
以前、聖秀に仕えていた者だ。
「…どうして…忘れられよう…」
春雷の一族は無実の罪を罪を着せられ、続滅した。
「すまない…。すまない…すまないっ…」
何度行っても足りない。わかっていたのに、守れなかった。あのとき、確信した。
自分は無力なのだと。
父を止めることしらてまきない、ただのお飾りの皇太子なのだと。なぜ今、玉座《ぎょうざ》に座っているのかがわからない。自分は無力だというのに。
『いいえ。違います。…自分を責めないで』
「ありがとう…。春雷。それより、なぜ、そなたは幽鬼の姿で出てきたのだ?」
感動のあまり忘れていた。この者が幽鬼だということを。
『適当に放浪していたら、いつの間にかここに辿り着いていたのです』
適当なところは、今も昔も変わらない。
「ふふっ。変わらないな。そなただけは」
春雷以外の者は変わってしまった。
(余のせいだ…)
『殿下…ではなく、主上。わたくしめは…まだ、あなたさまにお仕えできるでしょうか』
この者の忠誠心は変わらない。
幽鬼となった今でも、聖秀に仕えたがっている。
「ああ。もちろん」
『ありがとうございます…。聖秀さま…』
名を呼んでくれるのも、この者だけだ。
『何を…お望みでしょう…。わたくしめにできることがあれば、どんなことでも』
聖秀は覚悟を決めた。
「それでは…」
聖秀《せいしゅう》は慌てて翠凛の元へ駆け寄った。
謀反《むほん》を犯した者の幽鬼《ゆうき》が現れたのだ。
(…見たことがある)
忘れてしまいたいが、忘れてはいけない。
(あんな事件は、もう起こさせるものか…)
『ああ…聖秀さま…』
幽鬼がしゃべる。その声はどこか神秘的だ。
「そなたはもしや…」
『そうです…。春雷《しゅんらい》です。覚えてくださっていたのですね…』
以前、聖秀に仕えていた者だ。
「…どうして…忘れられよう…」
春雷の一族は無実の罪を罪を着せられ、続滅した。
「すまない…。すまない…すまないっ…」
何度行っても足りない。わかっていたのに、守れなかった。あのとき、確信した。
自分は無力なのだと。
父を止めることしらてまきない、ただのお飾りの皇太子なのだと。なぜ今、玉座《ぎょうざ》に座っているのかがわからない。自分は無力だというのに。
『いいえ。違います。…自分を責めないで』
「ありがとう…。春雷。それより、なぜ、そなたは幽鬼の姿で出てきたのだ?」
感動のあまり忘れていた。この者が幽鬼だということを。
『適当に放浪していたら、いつの間にかここに辿り着いていたのです』
適当なところは、今も昔も変わらない。
「ふふっ。変わらないな。そなただけは」
春雷以外の者は変わってしまった。
(余のせいだ…)
『殿下…ではなく、主上。わたくしめは…まだ、あなたさまにお仕えできるでしょうか』
この者の忠誠心は変わらない。
幽鬼となった今でも、聖秀に仕えたがっている。
「ああ。もちろん」
『ありがとうございます…。聖秀さま…』
名を呼んでくれるのも、この者だけだ。
『何を…お望みでしょう…。わたくしめにできることがあれば、どんなことでも』
聖秀は覚悟を決めた。
「それでは…」
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