悪女と蔑まれ処刑される令嬢は執着してくる元宰相閣下にだけは捕まりたくない。あなたにだけは嫌われたくないので溺愛しないで! 追ってもこないで!
その日、伯爵は一人の令嬢の後をつけていた。
彼女は、一族に虐げられ、王子の婚約者となった令嬢から手酷い扱いを受けていた。彼女のことをずっと思っていたし、いつかは処刑されてしまうことを案じていた。
(愛おしい…………好きだ。こんな命くらいならあげられるくらい好きだ。処刑なんて、俺が許さない。殺される前に、俺が必ず捕まえる。そしたら屋敷に監禁…………ではなく、一緒に住もうね!)
そんな胸の内を知らない令嬢は、今日も後をつけて来る伯爵に困惑していた。
(なんなの!? 一体……なんでつけてくるの!? 彼のことは尊敬してるし、お慕い申し上げているのに……振り向いて、なぜついて来るのですか? って聞いた方がいいのかしら? でも……)
令嬢には、なぜそんなことをされているのかも分からないし、そもそもそんなことをされるのは、初めてではなかった。
そして、彼の真意を尋ねることも怖いし、自分の本心も話したくなかった。
(どうしましょう……撒きましょうか。でも、つけて来る理由は聞きたい……もしかして疑われてる!? 私が社交界で一族に命じられて裏工作ばかりしていた挙句めちゃくちゃ嫌われていることがバレた!?? そんなはずないわ! 一年前に追放された彼は、私が悪女と呼ばれ蔑まれていることを知らないはず……彼にだけは嫌われたくないっ……!)
その一心で逃げる令嬢だったが、男は先回りして微笑んで、令嬢に手を伸ばす。絶対に逃さないと言って。
R18は保険です。残酷な描写があります。
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