播磨守江戸人情小話(三) 老舗女将の夢

 南町奉行池田播磨守頼方(いけだはりまのかみよりかた)が下す裁断についての、江戸市民たちの評判がすこぶる良い。大見得を切って正義を振りかざすような派手さは無いのだが、胸にジンと染みる温情をサラリと加える加減が玄人好みなのだと、うるさ型の江戸っ子たちはいう。

 江戸でも有数の呉服屋である大松屋の主人良蔵が殺された。

 当初は押し込み強盗か盗みに入った賊の仕業と思われたが、調べが進むと、女将のお松が殺した可能性が出て来た。

 店は呉服屋の看板を掲げているもののそれ以外の品物を多く扱っており、呉服部門は赤字だった。その状況を打開するために、お松の発案で、呉服屋を前面に出した新装開店を目前に控えている。
 お松は先代の主人松蔵の一人娘で、番頭だった良蔵を婿に迎えていた。

 二人は、店の新装開店の方針について対立していただけでなく、お松の病気についても言い争いをしていた。

 頼方は、どうやって犯人を追い詰めるのか。そして、どのような処分を下すのか。
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