ギアレノス・サクラオス ~司書アレンと白蓮の剣~

 カタカナで音を写してみたが、読めているだろうか。何せ私自身、これをあなた方の言葉で訳すのは初めての試みであるのだから。私はあなた方の国や文化、果てはその歴史に興味を持っている。何故なら、私の住む国と、あなた方の国が、似たような言語を使っているからである。
 しかし似てるといっても、かなりの差異がある。あなた方にもし、「としゅがんにいて、ししたんめ」と私が頼んだとしても、あなた方はこの言葉の意味通り、座って私の話を聞く姿勢を見せるだろうか。知らない言葉を聞いて、怪訝そうに私を見るはずだ。ならば私が、あなた方の言語を学ばなければならない。
 というわけで私は勉学のため、ある一つの英雄伝説を、あなた方の言語で訳すことにした。文化交流の一環として、訳したものを是非読んで貰いたい。その物語の冒頭はこうである。      
東大陸(きかたつち)
「メリア公国(きみぐに)」
なる国の
上つ果てなる
砂浜に
森生みたりし
村ありき

其が村の名は
「ナケマメラ」
大樹(おおき)にありし
図書館(ふみどころ)
司書(ふみつかさ)なる
少年(おとこ)あり

此が叙事詩(つたえ)
白蓮(しらはちす)なる
様持(たも)つ
剣(つるぎ)佩(は)きたる
司書(ふみつかさ)の
旅話(たびばなし)たるぞ
我今伝ふ







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