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第9話・突然の横やりと結構な窮地
裏切り(視点混合)
「お前たちは本当に仲がいいな。アルゼリオによれば、お前とその子が熱心にお題部屋に入ってくれたおかげで、最強装備を作る素材が手に入ったそうだな」
なんだか不穏なクレイグさんの発言。
自分の主である星月さんをご乱交のかどで追放しておいて、お前たちもやりまくっているじゃねぇか! という嫌味かと思いましたが
「ずっと導き手と一緒だったお前は知らんだろうが、導き手が居ないとあるはずの特殊部屋を見つけられなくなる。そのせいで俺たちはエリアボスと戦い経験値を稼ぐことも、最強装備を作ることもできなかった」
クレイグさんは憎悪の滲んだ声で言うと
「このままアルゼリオが戻らなければ、俺かカイゼルが封印の騎士になる。でも魔王と戦うのに、こんな装備じゃ心許ないから城に戻ったら、その子にぜひ協力してもらわないとな」
ゾッとするような視線を私に向けるクレイグさんに
「きょ、協力って何を?」
たじろぎながら問うと、彼は歪んだ笑みを浮かべて
「お題部屋のお題をクリアして、最強装備を作る素材を獲得するためのさ」
クレイグさんの言葉に、風丸は自分の背中に私を庇うと
「つまんねー冗談はやめろよ、クレイグの旦那。なんでうちのマスターちゃんが、アンタの装備を整えるために体を張らなきゃいけないんだ」
風丸の敵意の視線に、クレイグさんは
「それはここでお前が消えるからだ!」
宣言と同時に、剣を抜いて斬りかかって来ました。刃が振り下ろされる前に、風丸は私を抱いて回避しましたが
「風丸!?」
風丸はここから逃がそうとするように、私の背を強く押すと
「マスターちゃんは逃げろ! ユエルを呼びに行け! 多分コイツがアルゼリオを襲った犯人だ!」
「ど、どうしてクレイグさんが?」
封印の騎士であるアルゼリオさんを襲うことは、魔王の解放に加担するようなものです。でもクレイグさんは魔王の再封印を、無事に済ませたい側のはずなのに。
けれど私の疑問に、クレイグさんは
「どうしても何も、俺は導き手様の命令に従っただけさ。最終選抜の時に、和泉が言っていただろう。人選に不満があるなら、戦って勝って見せろとな」
「戦って勝てって言うのは、闇討ちしろって意味じゃないぜ。大勢の命がかかっているのに、仲間の魂を奪ってまで封印の騎士に選ばれたがるなんて。それがお偉い騎士様のやることかよ!?」
風丸の鋭い叱責に、クレイグさんも声を荒げて
「うるさい! お前のような小者に何が分かる!」
ギィン、ギィン! と激しく刃がぶつかります。本格的な斬り合いを前に私はようやく
「か、風丸! 待っていてください! すぐに皆を呼んで……うわぁぁ!?」
「マスターちゃん!?」
【風丸視点】
ユエルたちを呼びに行こうと、離脱しようとしたマスターちゃんを黒い魔力が襲う。木々の陰から歩み出て、麻痺して倒れたマスターちゃんの傍に立ったのは
「ネフィロス、テメェも仲間だったのか!?」
「犯人の一味に明らかに魔属性の者が含まれていると知りながら、一度も私を疑わないとはお優しい。おかげで誰にも計画を邪魔されることなく、ここまでこぎつけられました」
ネフィロスは普段と変わらぬ穏やかな笑みで返すと、今度は俺に杖を向けて
「後はこの場で、あなたと相楽さんに消えていただくだけです」
すでに詠唱を済ませていたようで、瞬時に全ステータスダウンをかけられる。思わず膝を突きそうになるほどの脱力感に襲われると同時に
「もらったぁ!」
分かっていても鈍った体では、その一撃を避けられなかった。
地属性のクレイグの固有スキル『装備破壊』。ただし装備の強度があまりに高いと効かないそうなので、いま俺が身に着けている最強ランクの武器や防具を壊すことはできなかった。その代わりクレイグが狙ったのは、魔属性対策につけていた『全状態異常無効』のアクセサリーだった。
恐らく事前に示し合わせていたのだろう。アクセサリーが破壊されると同時に、ネフィロスが俺に『沈黙』をかけた。魔法を封じられた俺は『加速』によって、素早さすら回復できなくなった。
マスターちゃんから借りている一角獣の腕輪のおかげで、素早さだけはクレイグと互角のままだ。しかし素早さだけが拮抗していても、他の能力値が軒並み劣っているのであれば
「ははっ! 足を失ったお前なんて紙屑同然だな!」
過去の2戦で大敗した屈辱を晴らすように、クレイグは「軽い軽い!」と幅広の大剣で俺を弾き飛ばした。
木の幹に背中をぶつける。体が重い。息が苦しい。声も封じられた。
でも俺が死んじまったら、マスターちゃんも危ない。もう役目を失った導き手を、裏切りの証人を生かしておくはずがない。
戦闘と言うよりはクレイグの一方的な暴力に、耐えるだけの時間が続いた。
あれからネフィロスによって毒も追加され、体の内外から激痛に苛まれる。麻痺や眠りを使ってダウンさせりゃ早いだろうに、そうしないのは俺をいたぶるのを楽しんでいるからだろうか?
モンスターが凶暴化するのと同じで、魔属性の魔力に染まった者は、残忍かつ破壊的になるのかもしれない。
なんだか不穏なクレイグさんの発言。
自分の主である星月さんをご乱交のかどで追放しておいて、お前たちもやりまくっているじゃねぇか! という嫌味かと思いましたが
「ずっと導き手と一緒だったお前は知らんだろうが、導き手が居ないとあるはずの特殊部屋を見つけられなくなる。そのせいで俺たちはエリアボスと戦い経験値を稼ぐことも、最強装備を作ることもできなかった」
クレイグさんは憎悪の滲んだ声で言うと
「このままアルゼリオが戻らなければ、俺かカイゼルが封印の騎士になる。でも魔王と戦うのに、こんな装備じゃ心許ないから城に戻ったら、その子にぜひ協力してもらわないとな」
ゾッとするような視線を私に向けるクレイグさんに
「きょ、協力って何を?」
たじろぎながら問うと、彼は歪んだ笑みを浮かべて
「お題部屋のお題をクリアして、最強装備を作る素材を獲得するためのさ」
クレイグさんの言葉に、風丸は自分の背中に私を庇うと
「つまんねー冗談はやめろよ、クレイグの旦那。なんでうちのマスターちゃんが、アンタの装備を整えるために体を張らなきゃいけないんだ」
風丸の敵意の視線に、クレイグさんは
「それはここでお前が消えるからだ!」
宣言と同時に、剣を抜いて斬りかかって来ました。刃が振り下ろされる前に、風丸は私を抱いて回避しましたが
「風丸!?」
風丸はここから逃がそうとするように、私の背を強く押すと
「マスターちゃんは逃げろ! ユエルを呼びに行け! 多分コイツがアルゼリオを襲った犯人だ!」
「ど、どうしてクレイグさんが?」
封印の騎士であるアルゼリオさんを襲うことは、魔王の解放に加担するようなものです。でもクレイグさんは魔王の再封印を、無事に済ませたい側のはずなのに。
けれど私の疑問に、クレイグさんは
「どうしても何も、俺は導き手様の命令に従っただけさ。最終選抜の時に、和泉が言っていただろう。人選に不満があるなら、戦って勝って見せろとな」
「戦って勝てって言うのは、闇討ちしろって意味じゃないぜ。大勢の命がかかっているのに、仲間の魂を奪ってまで封印の騎士に選ばれたがるなんて。それがお偉い騎士様のやることかよ!?」
風丸の鋭い叱責に、クレイグさんも声を荒げて
「うるさい! お前のような小者に何が分かる!」
ギィン、ギィン! と激しく刃がぶつかります。本格的な斬り合いを前に私はようやく
「か、風丸! 待っていてください! すぐに皆を呼んで……うわぁぁ!?」
「マスターちゃん!?」
【風丸視点】
ユエルたちを呼びに行こうと、離脱しようとしたマスターちゃんを黒い魔力が襲う。木々の陰から歩み出て、麻痺して倒れたマスターちゃんの傍に立ったのは
「ネフィロス、テメェも仲間だったのか!?」
「犯人の一味に明らかに魔属性の者が含まれていると知りながら、一度も私を疑わないとはお優しい。おかげで誰にも計画を邪魔されることなく、ここまでこぎつけられました」
ネフィロスは普段と変わらぬ穏やかな笑みで返すと、今度は俺に杖を向けて
「後はこの場で、あなたと相楽さんに消えていただくだけです」
すでに詠唱を済ませていたようで、瞬時に全ステータスダウンをかけられる。思わず膝を突きそうになるほどの脱力感に襲われると同時に
「もらったぁ!」
分かっていても鈍った体では、その一撃を避けられなかった。
地属性のクレイグの固有スキル『装備破壊』。ただし装備の強度があまりに高いと効かないそうなので、いま俺が身に着けている最強ランクの武器や防具を壊すことはできなかった。その代わりクレイグが狙ったのは、魔属性対策につけていた『全状態異常無効』のアクセサリーだった。
恐らく事前に示し合わせていたのだろう。アクセサリーが破壊されると同時に、ネフィロスが俺に『沈黙』をかけた。魔法を封じられた俺は『加速』によって、素早さすら回復できなくなった。
マスターちゃんから借りている一角獣の腕輪のおかげで、素早さだけはクレイグと互角のままだ。しかし素早さだけが拮抗していても、他の能力値が軒並み劣っているのであれば
「ははっ! 足を失ったお前なんて紙屑同然だな!」
過去の2戦で大敗した屈辱を晴らすように、クレイグは「軽い軽い!」と幅広の大剣で俺を弾き飛ばした。
木の幹に背中をぶつける。体が重い。息が苦しい。声も封じられた。
でも俺が死んじまったら、マスターちゃんも危ない。もう役目を失った導き手を、裏切りの証人を生かしておくはずがない。
戦闘と言うよりはクレイグの一方的な暴力に、耐えるだけの時間が続いた。
あれからネフィロスによって毒も追加され、体の内外から激痛に苛まれる。麻痺や眠りを使ってダウンさせりゃ早いだろうに、そうしないのは俺をいたぶるのを楽しんでいるからだろうか?
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