竜は恋に啼く~まやかしの愛に満たされて~
──それは、愛ゆえに死に至る竜の病。
麗国を護る黄竜・療(りょう)は、麗国大司官の長・紫雨(むらさめ)と、ある事件をきっかけに密やかな関係を持っていた。
だが紫雨が心に想い続けるのは、すでに失われた妻と、別の誰かと結ばれた愛息。
療は自分が『代わり』であると知りながらも、彼を慕わずにはいられなかった。
紫雨は枯渇した術力を補うために薬を酒で服用する。
だがその副作用は療の姿を「愛しい人」の幻影に変えてしまう。
療はそれを知り、幻を壊さぬように、そして自ら幻を利用して、想い人を演じ続けた。
たとえ自分が代わりであっても、紫雨の傍にいられるのならそれでいい。
だがその代償はあまりにも残酷だ。
幻を演じるたび、秘めた恋は深まり、黄竜の鱗は一枚、また一枚と黒く染まっていく。
それはやがて命を奪う竜の恋病──落鱗病。
治療法はふたつ。
ひとつは想いを叶えること。
もうひとつは、愛した記憶を消すこと。
幻と真実の狭間で揺れる竜の愛は、果たして救済へ辿り着くのか。それとも破滅へ堕ちていくのか──。
切なさと濃密な愛が交錯する、竜と人の異種恋愛譚。
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