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叙爵 編
商業ギルドの諜報員
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緊張している場面にそぐわない祝言歌が流れる。しかし他の者達は精霊が出てくると思っているのだろう。厳かな雰囲気に加え神妙な顔をしているので『プッ』っと吹き出しそうになるが、グッと堪えて歌う。
「高砂やこの浦舟に帆を上げて……」
歌いながらオークキングとクイーンの持っている古代の魔道具である剣とロッドの周りに無効化空間を造り出す。
「攻撃が来ます!」
「お、おい!」
「"醜女のヒモ"君?」
「大丈夫です。精霊が抑えてくれていますので攻撃してください」
「本当かよ……」
「解った。モンテス、先ずは奴らの腕を使えなくする」
「あいよ、了解」
プリリアさんはアイテムBOXから剣を取り出した。それは美しく、元の世界の螺鈿細工の様にみえる鞘に入っていた。
鞘から現れた細身の剣を上段に構え、「烈風」の掛け声とともに振り下ろし直ぐさま手首を返し下から切り上げた。
モンテスさんが追従して呪文を唱える。
「インクリーズ・ジ・エフェクト!」
プリリアさんの剣は風魔法が付与されているのだろう。いくつもの風の渦が縄の様に縒られて大きくなって行き、2本の荒ぶる風の束になってオークキングとクィーンに向かって行く。
そしてそれはモンテスさんの呪文によって更に変化した。スピードを増し円盤状のノコギリの様に円を描き回転し、剣とロッドを持っているオークキングとクイーンの腕に襲いかかる。
「ブギュウィーィィィイ!」「ブギャッーァァァア!」
キングとクイーンの悲鳴と共に2頭の腕が地に[ボトリ]と落ちた。
「やったぜ!」
「モンテス、"烈風"の勢いが止まらないようだが?」
「そりゃあ、気合い入れて魔力を錬りましたからね」
「そうか……ではこのまま決めるぞ。やれるな?」
「仰せのままに」
2頭の腕を切り落とした円盤状のノコギリになった"烈風"がブーメランのように戻って来て再び襲いかかる。今度は首をハネる気だ。
なるほど、魔力を操作しているのか。モンテスさんはとても優秀な人のようだ。
Sクラスの冒険者の力量は凄い。などと関心していたら2頭の首が[ゴロリ]と落ちていた。
「さすっが~!」「いつもながらホレボレするね」
「"醜女のヒモ"君、助かったよ。ありがとう」
「お役に立てて良かったです」
「よし、素材を回収して街に戻るぞ」
「「「「おお~!」」」」
ーーーー
プリリアさんがギルド長に今回の報告をした後、ギルド長によって2日後に再びオーク討伐に参加した皆が集められた。
「オークキングとクイーンが持っていた剣とロッドはギルド預かりとなって出処など調査する事になった。皆には相応の分配金が依頼料の他に支払われるだろう」
「おお~」「やったぜ」「ギルド長、愛してる!」
「うるさいわい。さて、お主は"醜女のヒモ"ことユタカだったな」
おっ、初めて名前で呼ばれた気がするな。
「はい」
「サユリア君と共によくやってくれた感謝する」
「どうも」
「この調子でいけばBクラスは目の前だ頼むぞ」
「はい」
もう誤魔化しは利かないようだ。仕方ないね。
「パーティ"醜女のヒモ"もBクラス入か」
「たくっ、てっきりブスの姉ちゃんでもってるパーティだと思っていたんだがな」
「あれだけ活躍されちゃあな。さすが"醜女のヒモ"だぜ」
ううっ、実力は認められても呼び方は変わらんのかい!
ギルド長の言った通り各冒険者に金貨50枚が配られた。破格の額と言っていい。それだけあの魔道具が貴重な物という事か。
取り敢えず冒険者ギルドの方はこれで暫くは依頼を受けなくても大丈夫だろう。俺達の家に戻り大地の再生に専念する事にした。
2週間が経ったある日の夜、気配を察知するスキルが無い自分の為に造った監視装置"視てる君"、まあ、精霊が乗っているドローンの様な物なのだがこれに引っかかた物があった。
「ユタカ様の造る魔道具はどれもこれも凄いですね」
「嬉しい事を言ってくれるね」
「何で遠くの物の映像が目の前にあるのです?」
「簡単に言うと光の属性を持った精霊に協力してもらっているんだ」
「はぁ?」
精霊にドローンから視たものをホログラムにしてもらっているのだが説明がちょっと難しい。
「どうやら人のようだ」
「盗賊でしょうか?」
「そうは見えないが」
「壁の中に入るのは無理でしょうに」
「ちょっと懲らしめるか」
"爆撃君"の出番のようだ。これは大型のドローンと言っていい。
たい肥を作る為に豚と牛の様な家畜を飼う事にしたのだけれど、"爆撃君"には家畜達の糞尿が積んで有る。
「なんか気の毒ですね」
「そうか?よかったらサユリアが投下のスイッチを押してみるかい?」
「良いのですか?ではお言葉に甘えて。ポチッと」
ーーーーーー
「で、どうだった村の跡地の様子は?……ん、チョザレ、なんか臭わんか?」
「……それが……ギルド長、その……」
「くっ、くっ、くっ」
「笑い事ではありませんぞ」
「すまん、すまん。只者ではないと思ってはいたが……癪だが私が自ら出向いて見せて貰うしかあるまいな」
「高砂やこの浦舟に帆を上げて……」
歌いながらオークキングとクイーンの持っている古代の魔道具である剣とロッドの周りに無効化空間を造り出す。
「攻撃が来ます!」
「お、おい!」
「"醜女のヒモ"君?」
「大丈夫です。精霊が抑えてくれていますので攻撃してください」
「本当かよ……」
「解った。モンテス、先ずは奴らの腕を使えなくする」
「あいよ、了解」
プリリアさんはアイテムBOXから剣を取り出した。それは美しく、元の世界の螺鈿細工の様にみえる鞘に入っていた。
鞘から現れた細身の剣を上段に構え、「烈風」の掛け声とともに振り下ろし直ぐさま手首を返し下から切り上げた。
モンテスさんが追従して呪文を唱える。
「インクリーズ・ジ・エフェクト!」
プリリアさんの剣は風魔法が付与されているのだろう。いくつもの風の渦が縄の様に縒られて大きくなって行き、2本の荒ぶる風の束になってオークキングとクィーンに向かって行く。
そしてそれはモンテスさんの呪文によって更に変化した。スピードを増し円盤状のノコギリの様に円を描き回転し、剣とロッドを持っているオークキングとクイーンの腕に襲いかかる。
「ブギュウィーィィィイ!」「ブギャッーァァァア!」
キングとクイーンの悲鳴と共に2頭の腕が地に[ボトリ]と落ちた。
「やったぜ!」
「モンテス、"烈風"の勢いが止まらないようだが?」
「そりゃあ、気合い入れて魔力を錬りましたからね」
「そうか……ではこのまま決めるぞ。やれるな?」
「仰せのままに」
2頭の腕を切り落とした円盤状のノコギリになった"烈風"がブーメランのように戻って来て再び襲いかかる。今度は首をハネる気だ。
なるほど、魔力を操作しているのか。モンテスさんはとても優秀な人のようだ。
Sクラスの冒険者の力量は凄い。などと関心していたら2頭の首が[ゴロリ]と落ちていた。
「さすっが~!」「いつもながらホレボレするね」
「"醜女のヒモ"君、助かったよ。ありがとう」
「お役に立てて良かったです」
「よし、素材を回収して街に戻るぞ」
「「「「おお~!」」」」
ーーーー
プリリアさんがギルド長に今回の報告をした後、ギルド長によって2日後に再びオーク討伐に参加した皆が集められた。
「オークキングとクイーンが持っていた剣とロッドはギルド預かりとなって出処など調査する事になった。皆には相応の分配金が依頼料の他に支払われるだろう」
「おお~」「やったぜ」「ギルド長、愛してる!」
「うるさいわい。さて、お主は"醜女のヒモ"ことユタカだったな」
おっ、初めて名前で呼ばれた気がするな。
「はい」
「サユリア君と共によくやってくれた感謝する」
「どうも」
「この調子でいけばBクラスは目の前だ頼むぞ」
「はい」
もう誤魔化しは利かないようだ。仕方ないね。
「パーティ"醜女のヒモ"もBクラス入か」
「たくっ、てっきりブスの姉ちゃんでもってるパーティだと思っていたんだがな」
「あれだけ活躍されちゃあな。さすが"醜女のヒモ"だぜ」
ううっ、実力は認められても呼び方は変わらんのかい!
ギルド長の言った通り各冒険者に金貨50枚が配られた。破格の額と言っていい。それだけあの魔道具が貴重な物という事か。
取り敢えず冒険者ギルドの方はこれで暫くは依頼を受けなくても大丈夫だろう。俺達の家に戻り大地の再生に専念する事にした。
2週間が経ったある日の夜、気配を察知するスキルが無い自分の為に造った監視装置"視てる君"、まあ、精霊が乗っているドローンの様な物なのだがこれに引っかかた物があった。
「ユタカ様の造る魔道具はどれもこれも凄いですね」
「嬉しい事を言ってくれるね」
「何で遠くの物の映像が目の前にあるのです?」
「簡単に言うと光の属性を持った精霊に協力してもらっているんだ」
「はぁ?」
精霊にドローンから視たものをホログラムにしてもらっているのだが説明がちょっと難しい。
「どうやら人のようだ」
「盗賊でしょうか?」
「そうは見えないが」
「壁の中に入るのは無理でしょうに」
「ちょっと懲らしめるか」
"爆撃君"の出番のようだ。これは大型のドローンと言っていい。
たい肥を作る為に豚と牛の様な家畜を飼う事にしたのだけれど、"爆撃君"には家畜達の糞尿が積んで有る。
「なんか気の毒ですね」
「そうか?よかったらサユリアが投下のスイッチを押してみるかい?」
「良いのですか?ではお言葉に甘えて。ポチッと」
ーーーーーー
「で、どうだった村の跡地の様子は?……ん、チョザレ、なんか臭わんか?」
「……それが……ギルド長、その……」
「くっ、くっ、くっ」
「笑い事ではありませんぞ」
「すまん、すまん。只者ではないと思ってはいたが……癪だが私が自ら出向いて見せて貰うしかあるまいな」
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