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211.深い穴に落ちた僕達

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『レン? レン!』

『大丈夫なの?』

『あんまり動かさない方が良いよ』

 う~ん、何? 何か周りが煩い。もう、僕寝てるんだから静かにしてよ。僕は僕の頭の周りで煩くうごうご動いている物を、払って退けようとします。そうしたら煩いのがもっと煩くし始めて。

『レン! 起きた!?』

『レン、目覚めたなの!?』

 本当煩いよ? 

「うりゅちゃいにょ!」

 僕はそう叫びながら、ガバッ!と起き上がりました。そして周りをキョロキョロ。え?ってなったよね。だって周りはゴツゴツしている壁が見えて、洞窟みたいなとっても暗い中、ルリ達が僕の事を心配そうに見てたんだもん。
 それと僕は誰かに抱っこされていて、後ろを振り返ったら、アーティストさんが僕の事を抱っこしてくれていました。

「どちたの?」

 僕がそう言うと、僕に抱きついて来るルリ達。ドラちゃんも僕と僕に抱きついてきたルリ達を一緒に、思いっきり抱きしめてきて。思いっきりだったから苦しくて、みんなでバタバタもがいてた苦しいって言ったら、ドラちゃんが慌てて離れたよ。

『ごめんね、僕レンが起きて安心しちゃって。強く抱き締めすぎちゃった。ルリ達潰れてない? 大丈夫?』

 ふぅってため息の僕達。その後何とか落ち着いたら、僕はもう1度周りの確認をしました。ここは何処なんだろう? 僕達さっきまで部屋に居たよね? それでいきなりお屋敷がズンッ!!て揺れたと思ったら、ちょっとだけ体がふわっと浮かんで、その後は落ちる感覚が…。落ちる? え? 

「ぼくまちがえ? じゅん!っておやちきゆれちぇ、おちちゃ?」

 僕が聞いたら、みんなが今までの事をお話ししてくれました。それでね、僕が聞いたこと、間違ってなかったんだ。

 あの時、ディアブナスがお屋敷を潰すように攻撃を仕掛けてきて。外から戻ってこようとしていたブローは見てたんだけど、どんどんお屋敷が崩れていったみたいです。
 僕達が居た部屋は、ちょうどお屋敷の真ん中くらいだったんだけど、崩れたのは1番最初だったみたいだよ。

 お屋敷が崩れる前に、スノーラ達は僕達を助けようとしてくれました。でも、ディアブナスの闇の魔法で邪魔をされて、なかなか僕達の所には来れずに。ただブローは闇の精霊だからね。何とかその闇魔法を、自分の闇魔法と混ぜながら通り道を作って、僕達が落ちる寸前で、僕達の所まで来ることが出来ました。

 それと同じくらいに、結界に無理やり腕を入れて、僕を掴もうとしていたアーティストさんが、結界の中に無理やり入る事に成功。みんなを抱きしめている僕を抱き上げて、ドラちゃんに掴まれって言って。そのまま僕達は崩れるお屋敷ごと一緒に落ちて行きました。僕はその時に気を失ったみたいです。

 ドラちゃんに飛べなかった?って聞いたら、ディアブナスの魔法でお屋敷を押し潰したでしょう?  その押し潰そうとする魔法のせいで、ドラちゃんも押されちゃって、上手く飛ぶことができなかっんだ。

 しかもね、そのディアブナスの魔法が、かなり強かったみたいで。お屋敷を潰したのはもちろん。地面に深い穴を開けちゃいました。僕達は今その穴の中、1番深い所場所にいます。

 落ちていく中、僕達が怪我をしないように、ブローが闇魔法で闇のクッションみたいな物を出してくれて。その上に落ちた僕達は、ふわっ! ぽよんぽよんっ!って感じにジャンプしながら着地。だから全然怪我することなく無事に着地する事が出来ました。
 ふわっ! ぽよんぽよんっ! みんなビックリしたけど、それが気に入ったみたい。僕もちょっと乗る瞬間を、感じてみたかったかも。

『え? 今みんなそれに乗ってるよ。ほらここに立ってみて』

 ん? 乗ってる? 僕は下を見ます。そう言えば何か黒い物体の上に乗ってる? そっとアーティストさんが立たせてくれて、その黒い物体に立ってみる僕。
 お、おおおお!? 足がふゆうって沈んでく? でもすぐにモコモコって足が浮かんで、そのあとはふわんふわんって揺れていました。
 何これ? 面白い!! この面白いクッションみたいな魔法で、ブローは僕達を助けてくれたんだね。ありがとう!!

 何歩か歩いて、ちょっとだけクッションを味わった僕。その後は、これからどうするかの話し合いをしました。でもその前にみんな大丈夫かなってお話しもして。スノーラ達はディアブナスに邪魔されて外にいたから、お屋敷が崩れるのには巻き込まれてないと思うかど。でもローレンスさんやセバスチャンさん達は?

「何箇所かで気配を感じます。私達よりも上の方ですね。動いているようなので大丈夫だとは思いますが」

 僕達が落ちてからすぐに、アーティストさんは周りを確認してくれてて、ディアブナスのせいでしっかりとした気配は分からないけど、ちょっと上の所に1人、それからもう少し上の所にもう1人気配を感じて。あとは何箇所かに気配が固まってて、それがみんな動いているみたいです。

「おそらく皆無事だと思います」

『あっ! そうそう! 僕が今、この辺に闇を広げて、僕達も気配を分かりづらくしたから、すぐにはディアブナスは僕達の所に来れないと思うよ。だから今のうちに、何とか地上に戻って、スノーラ達と合流しないとね』

 僕達、ディアブナスに狙われてるからね。ディアブナスの闇の力と、自分の闇の力を混ぜてそれを広げたブロー。これで少しの間、僕達の気配が分かりにくくなるんだって。

『でもアイスを逃した、あの闇の中を通って移動する魔法は、今ちょっと使えないんだ』

「ちゅかえにゃい?」

『そう、何でか分かんないけど、1度あれを使うと、次に使えるまで時間がかかってさ。これからまだまだ何があるか分からないから、本当にまずいって時まで、使わないようにしたいんだよ。目の前にディアブナスが来ちゃったとかの時にね』

 それからも色々と話し合った僕達。早く戻らなくちゃ、それでスノーラの無事を確認しなくちゃ!
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