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224.スノーラ達の危機

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『あいつ、全然立たない』

『たぶん立てないんだよ。一気に力を使いすぎて、自分の力が漏れてるとも気づかずに』

『コレイションも立たないなの』

『あっちは…、生きてるみたいだけど、どうなんだろう? ブロー、コレイションのあれ、何か分かる? 変な黒い炎が人型になって、コレイションが本物と影、2人になったみたいに見えたんだけど』

『あれは…、たぶんだけど、コレイションは完全に闇の住人になったって感じかな』

 ブローが説明してくれます。さっきは色々あって話しが聞けなかったからね。コレイションが黒い炎を纏った時、僕はどうしてコレイションは炎の中にいて平気なのって思ってたけど。あれは闇の力が炎に見えていたんだって。
 とっても強い闇の力が形になって見えて、それが炎の形に。そしてその闇の力を纏ったコレイションは、今までもかなり強かったけど、急激にその力を増して。

 そしてコレイションは人間じゃなくなりました。目が、白目がなくなって全部が真っ黒になってるのも、闇の住人になったって言う、それを証明する事になるんだけど。性質が違ったって。ただの闇の力が、今は闇の住人が使う力に変わったって。

 それから炎みたいに見えている闇の力が人型に見えたのは、力が強すぎてそう見えているんだって。今以上にコレイションの力が強くなると、もしかしたらその人型が、勝手に攻撃して来るかもしれないらしくて。つまりそれはコレイションとダブルで攻撃をしてくるって事。

 ダメダメ。そんなのダメだよ。今倒れてるのは、闇の住人になったばっかりなのに、ディアブナスの攻撃のためにたくさん力を使ったから、動けなくなってるだけ。そのうち起き上がってまた攻撃してくるの。闇の住人になったから、そう簡単にやられないって。良いよ、良いよ。そのまま倒れてて!

『どうしよう、今ここで動けるのは僕達だけ。でも出て行って僕達に何が出来るかな? 下手したら今ディアブナスは動けていないけど、僕達を見たあら無理矢理にでも動いて、僕達を取り込もうとして来るはず』

『何かに隠れながら近づく?』

『箱に隠れるなの。みんなであそこに転がってる箱に隠れて近づいて、レンにスノーラ元気にしてもらうなの!』

『ダメだよアイス。それだと今は僕達の気配はバレてないから僕達は良いけど、箱でバレちゃうよ』

『あっ、そっかなの。でもスノーラ達を元気にできるのはレンだけなの』

『それか、何とか誰かが今の動けないディアブナスに近づいて攻撃して、もっと力を漏れさせるとか。誰か立てる人いない? ハイエルフの中に遠くから弓の攻撃でも良いからさ』

 そう、ディアブナスの体からは、最初は噛み跡や傷跡から出ていた薄いモヤモヤが、今は体全体から漏れてるんだ。傷跡とか関係ないの。だからもっと傷を負わせれば…。

『どうしよう、早くしないと。少しずつ少しずつ、確実に怪我を治しちゃうだろうし。でもスノーラ達もそう簡単には動けないだろうし』

『気配を消したまま、姿も見せずに近づくなんてできないよね』

 と、みんなで話し合っている最中、何とあれだけボロボロで、苦しそうに息をしていたディアブナスが、力を漏れさせたまま立ち上がったんだ。僕もみんなもこんなに早くあいつが立ち上がる何て思っていなくて、ただでさえ気持ちが焦っていたのに、さらに焦る事に。

 立ち上がったディアブナスは、まずはコレイションの方へよろよろと歩いて行きました。そしてコレイションの所へ着くと腕を持ち上げて。持ち上げられたコレイションはぐたっとしたまま、全然動く気配がありません。

 ディアブナスがボソボソと何かを言って。全部は聞き取れなかったんだけど、まだ使えるとか、でも今は無理だ。回復するのを待ってても良いけど、その前にまずは…?とか。色々言っていたよ。

 その後ドサッとコレイションを落としたディアブナス。また別の黒服の方にも歩き始めて。僕は壁から出て、スノーラを助けようと思って、走り出そうとしました。そんな僕をドラちゃんが止めて。

『レン! ダメだよ! 無理やりだけど動いてるあいつの前に出て行くなんて、絶対にレン捕まっちゃうよ!』

「ぼくわかりゅ! でも、しゅにょー、あぶにゃい!」

『スノーラ!』

『ダメなの!!』

 今度はルリとアイスが出て行こうとして、僕を口で咥えたドラちゃんが、手でルリ達を掴まえて止めました。僕はバタバタ、ルリ達もバタバタ。そんな中ブローは向こうの様子を確認。今ディアブナスはスノーラとドラゴンお父さんの前に行こうとしてるみたいって。

 ダメ、ダメだよ!! スノーラ達は今動けない! スノーラが、スノーラが!!

『レン、みんなダメ』

 僕達はピタッと動くのを止めました。今のドラちゃんの声がね震えて、そしてそっと振り向く僕達。ドラちゃん泣いていました。

『ダメ。今はダメだよ。離すよ、良い? 動かないでね』

 僕達は頷いて、すぐにドラちゃんが僕達を下ろしてくれます。それからブンブン顔を振って、涙を飛ばしたドラちゃんは。

『やっぱり最初は僕が行くよ。何とか僕が、お父さん達が動けるようになるまで時間を稼ぐ。レン達が取り込まれちゃうより、その方が良いよ』

 …それもダメ。僕はドラちゃんの手を握りました。ルリ達も肩に止まったり、足にくっついたり。

『ダメなの!』

『そう、ダメだよ! 危ない!』

『でもさっきも言ったでしょう。僕が1番動けるって。それに多分この様子だと、魔法陣もどうなるか分かんないし』

 そうだ、ブローはさっき街全体って言ってて。それはお兄ちゃん達も一緒で。

『だから余計、お父さん達が動けるまで、僕が時間を稼がなきゃ』

 ドラちゃんが僕達を離します。そして向こうの壁の方に歩いて行って。ギリギリまで気配が分からないように、みんなで一緒に移動して。

『それじゃあ行ってくるね。大丈夫、すぐにやられたりしないよ、だって僕はドラゴンだもん。お父さんの息子だもん』

 ドラちゃんが僕達を一気に抱きしめました。そしてニコッと笑って、1歩踏み出そうとしたその時。

『な、何だ!? まさかこれは!? グワッ!!』

 ディアブナスの声が聞こえました。
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