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293.お片付け開始!!

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 僕達が何をするか話し合っているうちに、スノーラとブローが穴から戻ってきました。ちゃんと下まで見てきたみたいだよ、スノーラの光魔法で隅々までね。

「どうだった?」

『何も問題はない。誰かが隠れている気配もまったくないから大丈夫だろう』

「そうか、良かった。良かったが後はどうやってあの大きな穴を埋めるかだな」

『それならば我が塞いでやろう。中に落ちてしまっている家具なども、問題がなければ一緒に埋めてしまうが、どうだ?』

「本当か!? そうか、それはありがたい。ならば…」

 穴が安全…。もの凄く大きな穴だから安全って事はないけど。だって間違えて誰かが穴に落ちるかも。でも取り敢えず悪い人達や、攻撃してくる魔獣はいない事が分かったから、これからローレンスさんやケビンさん、使用人さん達が穴を確認するって。
 多分そのまま使える物は残っていないだろうけど、それでも少しでも使えそうな物は引き上げたいみたい。これから色々な物を修理しないといけないからね、それの材料にするの。

 それから今片付けている物に関しても、使えそうな物を分けて、要らない物を穴に入れるって。ちゃんと土に帰る物だけね。そうすれば少しはゴミが片付くから。
 ゴミの仕分けが終わったら、スノーラに穴を塞いでもらいます。スノーラ、あんなに大きな穴をどうやって塞ぐのかな? 塞ぎ時は見せてもらおう。

 すぐにローレンスさん達が、スノーラに穴の中へ連れて行ってもらいます。ローレンスさんとケビンさんは、スノーラの背中に。使用人さんは風魔法を使って連れて行くって。
 スノーラは自分が背中に乗せても良いって、思う人しか背中に乗せないでしょう? だからローレンスさん達は大丈夫。他の使用人さん達もいっぺんに運んじゃいたいから、それには風魔法がはやいって。

 ローレンスさんとケビンさんを背中に乗せて、使用人さん達は風魔法で包んで、下に降りて行きました。
 僕達は片付け開始。使用人さん達の邪魔にならないように、使用人さんが少ない場所で片付けをします。エイデンお兄ちゃんとレオナルドお兄ちゃん、アーティストさんも一緒だよ。
 エイデンお兄ちゃんは丁寧に物を動かして、それが使えるか確認しながら片付けて行きます。丁寧でも早いんだよ。サッサッサってどんどん片付けちゃうの。

 レオナルドお兄ちゃんは、ドッシャン、ガラガラ!!って。すごい大きな音を立てながら、大雑把にお片づけします。それでやっぱり使える物と分けるんだけど、あれだけ大雑把にやっても、それ以上物が壊れないんだ。凄いよね。

 アーティストさんは弓でお片づけ。お兄ちゃん達が手の届かない所の物を、弓で取ってお片付けです。あの矢で引っ張るやつね。どんなに大きな物でもシュンシュンッ!取っちゃうんだ。
 しかも大きなテーブルを取った時、お兄ちゃんに足の部分は外して、テーブルの板の部分だけ取っておいて欲しいって聞いて聞いたら。お兄ちゃんや使用人さん達は、魔法や道具を使って取り外しているのに、アーティストさんは素手でバキバキバキッ!!って取り外したの。

 僕もルリ達もお兄ちゃん達も、じっとアーティストさんを見ちゃったよね。だって大きなテーブル。脚の部分だけでも僕の腕の何倍もあって、それだけ太い脚なのに素手で外しちゃったんだよ。

「あ、アーティストさん凄いですね。魔法も道具も使わずに取り外すなんて」

「どうなのでしょう? ユイゴ様は私よりも力が強いですし、里の者も私と同じくらいには」

「へぇ、そうなんだ。何か特訓してるのか? じゃなかった、特訓してるんですか?」

「いいえ、特には」
 
「え~、良いなぁ。俺なんて毎日特訓してるのに」

 特訓…。僕ももう少し大きくなったら、魔法の練習したいなぁ。それに剣も持ってみたい。使えるかどうかは別だけどさ。

 と、取り敢えず今はお片付け。僕達はみんなで1つずつ、しっかりと片付けていこう! 

「りゅり、あいしゅ、ぶりょ、はじもっちぇ」

『持った!!』

『持ったなの!!』

『こっちも良いよ!!』

「しぇーにょ!!」

 みんなで何かの板を運びます。とっても小さい板だけどね、今の僕達にはこれが精一杯。ちなみにドラちゃんはやっぱりドラゴン。1匹でお兄ちゃん達よりも大きな物をヒョイヒョイ運んでるよ。

「レン、みんなも、それは使えそうだから、こっちに持ってきてくれる?」

「うん!! よいちょ、よいちょ」

『みんな、頑張る!!』

『重いけど頑張るなの!!』

『魔法で少し軽くするよ!』

 エイデンお兄ちゃんの所に運んで、よいしょ! ふぅ、最初の板は何とか運べた。さぁ、次々。次はあっちの何に使ってたか分からない、小さな椅子でも運んでみる? 引っ張れば何とか運べないかな?

 近づくとやっぱりとってもとっても小さな椅子で、でもどこも壊れてる感じはしません。これどこに置いてあったのかな? 僕にピッタリの小さな椅子だよ。あっ、向こうにも同じような小さな椅子が落ちてる。
 僕達が椅子を見ていたら、レオナルドお兄ちゃんがどうした?って近づいてきて、椅子を見て、ああって言いました。

「これ、まだ残ってたんだな。これは俺と兄さんが、レンと同じくらい小さい時に使っていた椅子だ。こっちのペガサスの模様が掘ってある方が兄さんので、ドラゴンの模様が掘ってあるのが俺のだ」

 お兄ちゃん達の小さい時の椅子。ローレンスさん達が大切に取っておいてくれたのかな? これ壊れてないから、また大事にしまっておけるように、スノーラが戻って来たら、持っててってお願いしてみようか? それでお屋敷が直ったらまたしまうの。

 僕がそう言おうとした時、スノーラとローレンスさんとケビンさんが戻ってきました。使用人さん達はまだ穴の中に居るって。壁を強化して来たから穴が崩れることはないから大丈夫だってスノーラが。

「おっ! 懐かしい椅子が出て来たな」
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