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304光の精霊フーリ

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  ブローを連れ、我らは奴等ジャガルド達の元へ急ぐ。やはりカースで追いかけたのは正解だった。これならばすぐに奴等に追いつくだろう。
 が、追いついてからはすぐには動かずに、先ずは光の精霊フーリの状態を確かめてから、動く事になるだろうが。

『ねぇ、何処に行くの? 僕は何を手伝えば良いの?』

『お前の友を助けに行く。奴等が動き出したからな』

『わわ!? フフーリを見つけたの!? それならそうと先に言ってよ。でも見つけてくれてありがとう。それにしても良く見つけたね。だってみんなフーリの気配分からないでしょう?』

『奴等の気配は分かっているからな』

 もちろん最初からジャガルド達が、今回の魔獣誘拐事件に、そしてディアブナスの件に絡んでいるなど分かるわけもなく。しかし我もレン達も、何度か奴等と接触をしていて。が、今言った通り、何も分からない状態で接触してもな、まったく気にしてなどいなかった。

 が、色々と調べているうちに、そしてレン達が最初に攫われた時の感覚や、それ以降の出来事、ディアブナス達との戦いを通して、我等はある気配に辿り着き。その気配がジャガルド達のものだったのだ。
 
 まったく我等とした事が、どうしてこの気配に気づくことができなかったのか。もっと早く気づいていれば、レン達を攫われたり、傷つけさせることも。ブローやフーリ、魔獣達を攫われることもなかったかもしれないのに。もしかしたらディアブナスを復活させる事も…。起きてしまったことは仕方がないのだが。

 と、それでだ。ディアブナスが消え、完全に気配が分かるようになった今、奴等が何処に居るのかなど、これくらいの距離ならばすぐに分かる。そして今の奴等の側には、前には感じなかった気配が1つ。
 明らかに人間や獣人達とは違う物で、この気配にこの強さ。光の精霊フーリで間違いないだう。

『そっか。スノーラ達だったらそのくらいすぐに分かるよね。何でもできちゃう僕でも、気配はちょっとね。どっちかっていうと、僕は魔法を使う方が得意だし。気配を探るのは苦手なんだ』

『フーリはどうだ?』

『う~ん、フーリの場合は、僕と同じかな?』

 聞けばフーリは、毎日ブローと一緒に居たと。ブロー達が生まれ、そして出会ってから1度も離れた事がなかったらしい。
 性格はおとなしく、怖がりで、物凄い人見知りで、ブロー以外の魔獣や妖精達と遊ぶにしても、かなりの時間がかかったようだ。そしてそれはブロー達が住む場所を変えると、毎回だったらしい。

 そんな気弱なフーリ。魔法はブロー並みに使えるようなのだが、フーリの性格が魔法にも影響を及ぼし、威力が半減、いや最弱になってしまうと。

『分かりやすく言うと、僕が洞窟を明るくしてってお願いするでしょう。で、その時に新しい友達が側にいると。真っ暗な洞窟の中、他にもみんながいるのに、僕とフーリしか見えないくらいにしか、明るくする魔法を使えないんだよ』

『は?』

『だからもじもじしちゃって、僕の後ろに隠れて魔法を使うんだけど、僕とフーリしか見えないくらの光魔法しかできないんだよ。僕がもっとだよって言って、何回かそれを繰り返して、やっとみんなが見えるくらい明るくするんだ。本当だったら洞窟の中全部を明るくするくらい一瞬なのにさ』

『あ~、なんだ。それはもともとそれくらいの魔法しか使えないのでは? フーリが強い魔法を使えると言うのはお前の勘違いで』

『違うよ。勘違いなんかじゃないよ。僕達が生まれたばっかりの頃…』

 2人が生まれて間もない頃、その頃はまだ今のように魔法を使えなかったブロー。その頃にかなり強い魔獣に襲われたらしい。何とか2人で逃げたのだが、結局は追いつかれてしまい、ブローはその魔獣に捕まってしまった。
 そこでブローはフーリに逃げるように言ったのだが、フーリはブローから離れようとはせず。

 ブローを捕まえた魔獣は、ブローやフーリを捕まえて取り込むことで、ブロー達の力を奪い取ろうとしたらしい。もちろんディアブナスではあるまいし、そのような事をできるわけもないのだが、その魔獣はブロー達を食べれば、その力を手に入れられると思っていたようだ。

 そしてフーリがブローを助けようとしているうちに、ついにはフーリも捕まってしまい、いよいよ2人が魔獣に食べられようとした時、それは起こった。
 フーリから物凄い魔力が漏れ出すと、フーリを中心に一気に光の爆発が起きた。それは闇の精霊ブローにとって、あまりにもキツイもので。急いで自分の周りにだけ闇の空間を作ったブロー。

 どれだけ時間が経ったのか、いつの間にか、ブローを捕まえていた魔獣の感覚は消えていて。ブローが恐る恐る闇の空間から外に出るとそこには。
 魔獣の姿はなく、骨だけが残っていたと。そしてその骨の近くで倒れているフーリの姿が。

『おい、まさか光だけで魔獣を消したなどと言わないだろうな』

『そうだよ、光で相手を骨にしちゃったんだよ。後で気がついたフーリに聞いてみたんだけど、光の魔法がどんどん魔獣に集まっていって、それからその光が魔獣の体を消していったって。途中で気を失っちゃったから、全部は見てないけどそうだって』

『相手を攻撃して骨にする光魔法? そんな魔法聞いたことがないが』

『我も聞いたことはないな』

『でも確かだよ。ていうか僕も1回しっかり見てるし』

『闇の精霊のお前がか? 闇の空間に入らないといけない程なんだろう?』

『その時は、最初の時の半分くらいの力だったから、少し離れて隠れながらだったら見れたんだ。それでね…』

『待て待て、気になり事が多すぎて、このまま話しを聞きたいが』

 我はブローの話しを止める。思わぬ話しを聞いているうちに、ジャガルド達にかなり近づいていた。

『そろそろ追いつく。話しは後にするとしよう。ブローの話しだけではどうにもよく分からん。が、取り敢えずフーカは物凄い怖がりで人見知りなのだろう? 力を持っていてもそれでは動けんだろうな』

『そうそう、そうなんだよ。多分今は小さく小さく丸まって、じっとしてると思うよ。スノーラ、フーリを助けて』

『分かっている。必ず助けるし、奴等には色々と責任を取ってももらうとしよう』
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