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305世界中の生あるものと、人間や獣人達の関係

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『追いつくよ』

『ああ、奴等は気づいている様子はないな』

『おそらくな。奴等が動き始めてから逃げるスピードは変わっていないからな。もう少し近づいたら少し様子を見るぞ。できたら隠れながら、ブローにフーリを確認させられると良いのだが』

『ディアブナスやコレイションの事もあるからな。我等に気付かれないように、何かをしている可能性もある』

 そう、コレイション達は人間にしては、かなりの力を持っていた。そしてジャガルドも。奴もコレイション達ほどではないが、普通の人間よりは力を持っている、またそれは奴の部下も一緒だ。

 奴らに近づいたら、すぐにフーリの気配だけを頼りに、フーリに被害が及ばないように奴等を攻撃、それと同時にフーリを救出。それが1番早く色々と終える事ができるが、もし奴等が何か対策をとっていたら?

 我々が知らない魔法や魔法陣を、あれだけ使っていたのだ。今もそういった、我等が知らない魔法で対策をとっていて、我等の攻撃と共にそれを発動させられれば。
 もしかしたらフーリを殺されてしまう可能性もある。殺されないまでも、フーリが大きな怪我をする可能性も。それだけは避けたいからな。

 それにもしその知らない魔法や魔法陣で、我等の動きを止められてしまったら? ディアブナスの時のように、動きを止められてしまえば。フフーリを助けるどころか、奴等はレン達の元へ戻り、再びレン達を攫われてしまう可能性も。

 他にも色々考えられるが、そういった不測の事態にならぬように、奴等を攻撃する前に確認をしなければ。知らない魔法や魔法陣ならば、すぐに対処は難しいかもしれん。それでも確認をしないで突っ込むよりは良いからな。

『まったく、人間や獣人共は。昔から何も変わっていないな。まぁだからディアブナスは復活したのだが』

『自分達の首が締まることばかりするよね、自分達の命だってなくなるって言うのにさ。それだけじゃないよ。何だかんだと自然を壊そうとしてさ。自分達だけが生きているとでも思ってるいるのかな? 人間達が狩っている魔獣達は? 食べたり武器にしたり防具にしたり』

『そうだよね! 木や花や水だってそうだよね。全部伐採したり根こそぎ摘んで行ったり、水も枯らしちゃってさ。何もない場所に、勝手にまた色々復活すると思っているのかな? だって何もないんだよ。種だってどこからか持って来ないと、水だって雨が降って、それが貯まるのを待たなくちゃいけないのに』

 確かにそうだな。どちらかが一方的に全てを奪うようなことをしたらな。魔獣達も魔獣達によっては狩らなければならない時もあるが。花や木などもそうだ。あまりにも同じ種のもにばかりが生息してしまえば、他の物達が生きられなくなってしまう。

 どちらかが一方的に全てを奪ってしまえば…。後で困るのは自分達だというのに。何故それが理解できんのか。
 これでも昔は、お互い良い関係を作ってきたいた。その時その時で自分達に必要な分だけを手に入れ、完全に全てを奪うなんて事はなかった。

 それが今ではどうだ。どれだけの種が消えてしまったか。コレイションやジャガルド達のような者達が増えすぎた。これを元に戻すのは容易い事ではないだろう。それどころか増える可能性も。

『まぁ、これ以上悪くなるようならば、我等が動けば良いだろう。我等の力でどうにかなるうちにな。あまりこういう事は言いたくはないが、人間達がやってきた事を、今度は我等がやれば良いだけのこと』

『そうだね。世界中のみんなに呼びかければ、どうにかなるよね』

『おい、今はあまり物騒な事を言うな。せっかくディアブナスを封印したんだぞ』

『すまんすまん。だがなディアブナスが復活しなくとも、コレイションやジャガルド達のような者は、次から次に出てくるだろうからな。やはりこれからの事を考えるのは大事だろう』

『まぁな』

 そうだ。レンとルリとアイスと、もしかしたらこれからレンに惹かれて、他の魔獣達も契約しに来るかもしれない。
 我は静かに皆が幸せに暮らせるのであれば、これからもどんな事でもするだろう。レン達の幸せを邪魔する者達は全員消す、レン達になるべく気づかれないようにな。

 我等の幸せな生活を邪魔されてたまるか。そうだな、ついでにレン達が大切な者達も助けてやろう。レン達が悲しむのを見たくはないからな。何かあればすぐに消してしまえば良い。

 それには我も特訓を欠かさずやらねばな。ディアブナスのような奴が現れても、すぐに対処できるように。それだけの力を磨かなければ。

『さて、そろそろおしゃべりは終わりかな。どうするみんな、僕から降りてそれぞれ追いかける? もうここまでくれば、僕に乗ってなくても大丈夫でしょ?』

『ああ、ここからは自分達で進む。ブローはスノーラと共に。奴等がどんな対策を取っているか分からんが気をつけろ』

『奴等を攻撃する前に、フーリを助けられれば、それが1番良いのだがな。我等の攻撃でもし怪我をして、これ以上怖い思いはさせたくない』

 我とエンはひょいっとカースの背から降りると、近くの木に降り、木を足場に走り始め、カースも人間の姿になり共に走り始める。

『そうそう、さっき言ったけどさ。もし魔力が膨れ上がる気配や、光が広がり始めたら、みんな1度逃げてね。もしかしたら骨になっちゃうかもしれないから。僕が来たって分かって安心して、力が暴走しちゃうかもしれないからね』

『分かった』

『ふむ…。助け出した後は、魔法について教えた方が良さそうだな』

『あっ! あれじゃない!』

 我等の前方、木々の間に馬と人影が見えた。
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